多様性について考えよう〜Vol.3 誰もが自分らしく生きられる社会に向けて、私たちができること 

2021 / 10 / 29 | 執筆者:EcoNetworks Editor

エコネットワークス(以下ENW)では、「ダイバーシティ&インクルージョン」をテーマにした継続的な学びの場づくりを進めています。人の多様性に焦点を当て、当事者や支援者の声から理解を深めていく勉強会で、ENWのパートナーやクライアントが参加しています。

これまでの勉強会を通じて見えてきた共通のテーマの一つは、「皆が多様性の一部であり、何らかの当事者である」ということ。第3回はこのテーマを深掘りし、参加者一人ひとりが当事者の視点で内省しながらインクルーシブな社会(多様性の受容)を考えていくとともに、ENWとしてできることについて考えました。

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執筆:岩村 千明

外資系メーカーの広報として働いた後、フリーランスのライター・翻訳家に。「多様な生き方や価値観」・SDGsをテーマに、企業の広報物や環境・エネルギー分野で取材・執筆活動を展開。自分自身が感じてきた生きづらさを、価値観や自己肯定感などの観点からブログを通じて発信中。


 

マイノリティと感じるかは周囲の環境によって変わる

私たち一人ひとりが多様性の一部であり、何らかの当事者である。こうした前提のもと  、今回の勉強会では、ENWのパートナー11名がそれぞれ「マイノリティ」(少数派)だと感じた体験談をシェアすることから始まりました。

話題は人種や文化、障がい、性自認(心の性)、ライフスタイル、価値観など多岐にわたり、その根底にある「問題の深さ」もそれぞれ。そうした多様な内容に対しては、人と違うことに対する「居心地の悪さ」や、そこから生じる「心の壁」と、人を傷つける言動が伴う「差別」は区別して考える必要があるよね、という意見がありました。また、「個」ではなく属性で判断されたことに違和感を覚えた一方で、自分自身も属性で人を見てしまった経験があるという人も。先入観や固定観念で決めつけてしまう無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)の存在が、多様性向上を阻む一因となっているようです。

そのほか、参加者からは「海外で自分が“外国人”になったときにマイノリティを感じた」との声も。この経験からも見て取れるように、マイノリティと感じるかは周囲の環境によって大きく変わることがわかります。

気軽な声掛けで多様な人と触れ合うことが大切

では、誰もが生きやすいインクルーシブな社会にするには、どうしたらいいのでしょうか? こうした議論を踏まえた上で、私たち一人ひとりができる小さな一歩について考えました。

多様性の受容に向けて大切な一歩となるのが、世の中には色々な人がいることを知り、経験することです。  周囲への気軽な声掛けや助け合いによって、日々の生活の中で多様な人たちと関わる機会をつくる。そうすることで想像力が働き、相手の気持ちや立場を考慮できるようになるという意見がありました。また、周囲の人と触れ合う一つの例として、ビーチクリーンの事例が紹介されました。この活動は、ビーチクリーンをすることで参加したLGBTQ当事者の人々と海に遊びに来た人たちとの間に自然と触れ合う機会をつくっていくというもので、殊更に多様性の側面を強調するのではなく、結果的に関心をもってもらうことを意図しています。

このように多様な人たちと直接触れ合うことで、それぞれがもつ固定観念が取り払われ、外見や属性によって「差別」や「特別視」することが減るのかもしれません。

誰の中にもマジョリティ性とマイノリティ性がある

そもそも 人間は多面的であるため、100%何かの「当事者」にはなり得ないとの声も。一人の人間の中には多様な側面が存在し、周囲の環境によってその側面がマジョリティまたはマイノリティに属するのかが変わり、それに応じて自身の中のマジョリティとマイノリティの比率も変わっていく。100%何かの「当事者」と断定せず、「当事者性」または「マジョリティ性/マイノリティ性」と捉えることが重要ではないかという提案です。

自身にマジョリティ性がどれだけあるかを列挙してみると、その裏側には同じだけマイノリティ性の側面を抱えている人がいることや、その生きづらさに気づけるのではという意見も。一方で、自分と他者の「違い」ではなく「共通点」に光を当てれば、あえて「心の壁」を作ることもなくなるのではという意見も寄せられました。

「違い」を自然に受け入れる意識や文化の醸成が必要

では、なぜ人は「違い」に焦点を置くと「心の壁」を作ってしまいがちなのか? それは、「自分と違うこと」に対する恐れや偏見があるからではないでしょうか。多様な人がいることを認識した上で、「一人ひとり違っていい」「違っても同じところに存在していこう」という「違い」を自然に受け入れる意識や文化の醸成が、誰もが生きやすい社会の形成につながるのかもしれません。

そんな社会の形成に向けて、ENWはどのような役割を担っていくことができるのでしょう。日本において多様性を語るとき「企業の女性管理職比率」などが議論のテーブルにのせられがちですが、今回の勉強会では環境、価値観や感性、経験といった外から見ただけではわからない「深層の多様性」の受容に向けて社会に働きかけていくべきだという意見が多く出ました。同時に、性別や人種、年齢、身体的特徴などに関連する多様性の受容については、表面的に捉えるのではなく「差別」など人権(権利の侵害)の観点からしっかりと理解し向き合うべきだと広く呼び掛けていくことも、ENWが担うべき役割の一つだと話し合いました。

ディスカッションに参加して

参加者の一人として初めてディスカッションに参加した後、「みんなと少し視点が違ったけれど、あんなことを言ってよかったかな?」という不安が心をよぎりました。が、その感情はすぐに消え去りました。なぜなら、今回の勉強会は「一人ひとり違っていい」と個を尊重する姿勢を強く感じられる場だったからです。周りと違うことを恐れ、自分の意見を上手く口に出せない。昔、私が感じていた生きづらさの原因を改めて認識することができました。同時に、この違いを尊重するENWのようなマインドが幅広い層に広がっていけば、それぞれが自分自身、そして他者を自然に受け入れる生きやすい社会になるのではないかと感じています。企業においては、こうした心理的安全性の確保が、社員一人ひとりが自己の考えをのびのびと発言し、その能力を発揮できる職場環境の形成につながるのかもしれません。

今後も多様性について考えていく機会をさまざまな形で設けていく予定です。ご意見ご提言ございましたらお気軽にお問い合わせください。

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