統合報告をより深く理解するための内部勉強会

2017 / 9 / 5 | 執筆者:EcoNetworks

統合報告報告書の発行企業は年々増加し、
2016年には279社の企業が統合報告書を発行しました。

2016年統合報告書 発行企業数

(KPMG ジャパン 日本企業の統合報告書に関する調査2016より)

しかし実際には、CSRレポートと財務報告を1つにまとめただけの統合報告書
となっているケースも多く、
統合報告が目指す「結合思考」や開示情報の「簡素化」には
必ずしも結びついていないのが現状です。

ENWでは、GRIスタンダードに関する共有会に引き続き
統合報告をより深く理解するための会を内部で実施し、
IIRC(国際統合報告評議会)によるフレームワークに沿って
国内外企業の報告書の内容の確認をしました。

日本企業はガバナンス分野における情報開示が不足しがちです。
今回確認した事例でも、日本企業では取締役の構成メンバーについて経歴や性別のみが
記載されている報告書が多かったのに対し、
好事例として良く挙げられるNovo Nordisk社は、
現在と将来の取締役構成メンバーについて
「ジェンダーと国籍の多様化を目指す。現在、女性取締役3名、非ノルディック5名。
20年までに北欧国籍2名と北欧以外の国籍2名の選任取締役を選出する。」
と具体的な目標が掲げられており、
目指すべき姿が明確に伝えられています。

また、価値創造に関する情報は統合報告書全体にわたり伝えるべきものですが
特に日本企業の報告書では
価値創造戦略と各テーマの情報との結びつきが弱いことから
一貫したストーリーを把握しにくいという傾向が見られます。

今後は、各章のトピックにおいて、戦略を支える具体的な情報を提供していくことで、
読み手がより理解しやすい報告書を作成していくことが期待されます。

統合報告では、短、中、長期の価値創造に焦点を当てた統合思考を
組織のマネジメントに浸透させ、
より結合性の高い情報をステークホルダーに提供することが求められます。

ENWでは引き続き、統合報告に関する理解を深める研究を行っていきます。

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