CSR報告書 脱炭素/再生可能エネルギーの開示事例―CSR報告書勉強会より(3)

2017 / 1 / 5 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks Editor

CSRレポーティングの内部勉強会より事例をご紹介します。
((1)マテリアリティ、(2)労働環境/働きやすさ

今回のテーマ「脱炭素/再生可能エネルギー」では、
気候変動問題を自社にとっての重要課題と位置づける様子が読み取れ、
パリ協定を受けた記述も各社に見られました。

■Vodafone(英・通信)

https://www.vodafone.com/content/dam/vodcom/sustainability/pdfs/sustainablebusiness2017.pdf

英国の通信業VodafoneのSustainable Business Reportでは
冒頭に2025年に向けたビジネス戦略が紹介されていますが、
大きく掲げられている3つの変革目標の1つが「エネルギー改革」です。

これを重視する理由には
・ICT産業による温室効果ガス(GHG)排出が増加している
・ICTが顧客のエネルギー消費削減に貢献できる
という2つの側面があります。

エネルギー改革の詳細ページでは、
同社が気候変動問題をどのように捉えているかが明確です。

まず、気候変動を巡る世界の動きを解説。
人口増加に伴うエネルギー需要の伸びや
政情不安による原油の安定供給への懸念から
GHG排出量削減、レジリエントな電源確保が重要であるとしています。

その上で、ICT業界にとっての気候変動問題として、
・2007年から2014年の間に携帯電話通信が2倍以上になるなど
エネルギー消費におけるICT業界の存在感が既に増していること
・2030年にはICT業界が排出する温室効果ガスは、
世界の排出量の1.97%を占めるまでに増加し航空業界と肩を並べること
に言及し、同社がエネルギー改革に取り組む必要性を明らかにしています。

■IKEA(オランダ、流通)


http://www.ikea.com/ms/ja_JP/pdf/sustainability_report/IKEA_sustainability_report_2015.pdf

スウェーデン発祥でオランダに本社を置くIKEAは
2020年8月までに事業で使うエネルギーと同等の
再生可能エネルギーを生み出すと宣言しています。
2009年以降、15億ユーロを再エネ設備に投資してきました。

Sustainability Reportでは、
・再エネ発電量(風力、太陽光、バイオマス)、発電量が全エネルギー使用量に占める割合
・施設別再エネ使用割合(自家発電と購入の合算)
を経年の表で示しており、
2015年時点で全エネルギー消費の61%を
再生可能エネルギーでまかなっていることがわかります。

IKEAは政策提言にも積極的で
Sustainability Reportにも
COP21への関与やRE100等のイニシアチブへの協力状況が報告されています。

次回はサプライチェーンを取り上げます。

<勉強会で分析した企業 脱炭素/再生可能エネルギー>
流通(イオン、IKEA)
通信(NEC、Vodafone)
メーカー・重工業(Panasonic、Apple)
エネルギー(Shell、E.ON)
衣料(ファーストリテイリング、patagonia)

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