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CSR報告書 労働環境/働きやすさの開示事例―CSR報告書勉強会より(2)
CSRレポーティングの内部勉強会より事例をご紹介します。
((1)マテリアリティはこちら)
今回のテーマは「労働環境/従業員の働きやすさ」です。
各地での社会情勢を反映し、
日本企業では女性の登用やワークライフバランス、
海外企業では人種を含めた多様性や若年層向けのキャリア支援
に関する情報が多く見られました。
■Unilever(オランダ・日用品)
Annual Report and Accounts 2015 P30
https://www.unilever.com/Images/annual_report_and_accounts_ar15_tcm244-478426_en.pdf
Unileverの ”Annual Report and Accounts 2015”が
Our Peopleのページ冒頭で大きく取り上げるのは、
人材確保の取り組みと教育プログラムです。
消費財メーカーの中で人気の就職先であることを挙げ、
ソーシャルメディアを活用した学生とのコミュニケーションや
学生が経営層との議論の機会を得られる国際コンペなどの活動が
有効だったと紹介。
教育プログラムでは、
必要なときにどこからでも受講できるよう
オンデマンドの社内プログラムを体系化していることや、
外部専門家と共同の研修も行っていることを伝えています。
また、サプライヤー向けの研修プログラムを重視しており、
1300のオンラインコースを提供しているとしています。
なお、同社は
2015年に「国連人権報告フレームワーク
(UN Guiding Principles Reporting Framework)」
に世界で初めて準拠した人権報告書を発行しましたが、
アニュアルレポートの中でも
人権アンバサダー研修等の受講人数が報告されていました。
■Kingfisher(イギリス・小売業)
Sustainability Report2015/2016 P38
http://www.kingfisher.com/sustainability/files/reports/cr_report_2016/2016_Sustainability_Report.pdf
英国の小売業Kingfisherの”Sustainability Report2015/2016”は、
Diversity and Inclusionの項目で
多様性のある職場は創造性とイノベーションにつながることや
優秀な人材の確保が可能になることを説明。
その上で、雇用において
人種やジェンダー、年齢、障がい、婚姻状況、性的指向、宗教によって
差別をしないことを明記しています。
また、小項目に
・Gender diversity
・Ethnic diversity
・Age diversity
を挙げ、それぞれについて説明とデータを掲載しています。
Ethnic diversityについては
エスニックマイノリティを「白人英国人以外」と定義し、
英国内での数値を掲載。グループ全体のデータは開示していません。
これは、国によってマイノリティの定義が異なること、
フランス等では従業員に人種を尋ねるのが違法であることが理由です。
この他、
若年層向けのキャリア構築支援や
リストラ対象者向けの再就職支援について丁寧に記載されています。
次回は、脱炭素や再生可能エネルギーについての事例を取り上げます。
<勉強会で分析した企業 労働環境>
生活・化粧品(資生堂、Unilever)
流通(イオン、ファミリーマート、ローソン、IKEA、Kingfisher)
メーカー・重工業(富士通、Panasonic、Siemens、Apple)