ENW Lab. ENWラボ
まずは小さく始めよう!~体験者に聞く、コンポストのイロハ(後編)~
エコネットワークス(ENW)には、コンポストについてオンラインで情報交換をする「コンポスト部」という活動があります。部員は10人ほどで、ほとんどのメンバーが自宅でコンポストを実践中です。そこで、今回「コンポストをやってみたいけれど二の足を踏んでいる…」というENWの仕事仲間に向けてコンポストのあれこれを語る会を、オンラインで実施しました。前編では、いろんなコンポストを紹介。後編では、メリット、虫問題、手間…などの気になる点、経験者からのアドバイスをお伝えします。
執筆:曽我 美穂
富山県在住のエコライター、エディター。
【今回、集まった部員】
前田 真砂子さん(茨城県在住):台所で「自然にカエルS SKS-101型」(自治体の助成金も活用して購入)を実践中。
野澤 健さん(神奈川県在住):庭に「キエーロ」(自治体の助成金も活用して購入)を設置。入りきらない分は庭に埋めている。
俣野さん(京都府在住):古民家の土間で「EMバケツ」(自治体の助成金も活用して購入)を実践中。
佐藤さん(千葉県在住):これまで数々のコンポストを試してきた。今は、庭に埋める形のコンポストを実践中。
曽我 美穂(富山県在住):庭に自作のキエーロを設置。段ボールコンポスト、プランターコンポストの経験もあり。今回の記事の筆者。
●思いがけないメリットがたくさん!
コンポスト部員たちに、メリットを聞いてみました。
「ごみ袋が軽くなる!」
一番よく出たメリットが「ごみ袋が軽くなった」ということ。実は、家庭ごみの3割程度が生ごみ。水分を含むので重いので、生ごみが減ると「ごみが減ったなあ!」と実感でき、とゴミ出しの時にウキウキします。他にも様々なゴミを減らす策を実践している野澤さんの家(3人家族)では、毎回のゴミ出しの際の量がなんと、食パンの袋1個分で済んでいるそうです!
「循環を感じられる」
コンポストを始めると、生ごみが大幅に減ります。「捨てないから気持ちいい」「生ごみは本来、循環していくもの。循環させることができて嬉しい」「いのちの循環を実感できる」という声も多数、ありました。
「においが気にならなくなる!」
肉や魚は、ごみ出しの日までに放置しておくと、独特の臭いを放つことがあります。コンポストがあれば、この「におい」問題から解放されます! 筆者の家では、魚をさばいたあとに出る大量の内臓の臭いが悩みの種でしたが、コンポストを始めてからは、土の中に入れるだけで済むので、とても便利です。また、ゴミ出しを忘れた朝も、臭うゴミがないので平静を保っていられます。

筆者の場合、台所の勝手口から10歩で行けるキエーロに穴を掘って入れるだけです。
●虫問題、手間…気になる点を聞いてみました
始める前に気になるのが、虫が発生しないか、手間にならないか、という点。実践者が経験したトラブルとその解決法と共に、生の声をお届けします。
「虫が出るのではないか、と不安です…。」
虫がどうしてもイヤだ! という方には、比較的虫がわきにくい、庭に直埋め、EMバケツ、室内に置くタイプなどがオススメです。ただ、虫は分解を手伝ってくれるので、うまく共生するという手もあります。「虫が出てくるたびに気持ちが萎えますが、うじが出てきても成虫になって飛び回るのは数匹だそうです。屋外の場合は許容してしまってもいいかも」(佐藤さん)との声もありました。
筆者のキエーロでは、夏になるとダンゴムシやワラジムシなど足のついた虫が歩き回ったり、春にプランターに小さなミミズが大量発生しましたが、屋外ですし、子どもたちが好きなタイプの虫なのでOKにしています。

息子(小2)が宿題で書いた日記。
「手間が増える気がして、二の足をふんでいます」
実践者はみんな「続かないかな」と思っていた、と話していました。最初の数か月はどうなっているか気になり、ついつい、こまめに処理したり、見に行ったりしてしまいますが、だんだん、やりかたが適当になり、生活の一部になっていくようです。
数日分をためて処理する形にすれば、コンポストに入れる時間は数分程度。想像以上に、簡単です。

野澤さんは、蓋つきの容器に保存し、数日に1回、庭かキエーロに埋めているそうです。

こちらが野澤さんが使っているキエーロです。
「分解しないものがあって、面倒くさそう…。」
分解しないものや、しにくいものは、あります。
例:玉ねぎの皮、卵の殻、貝殻、肉の骨(魚はOK)など
ウェブサイトで検索したり、経験を重ねて、頭の中やスマホ、メモに「分解しないものリスト」を作っていくのが良いと思います。
「できた土の保管場所はどうすれば…?」
プランターなどに入れて、野菜や花を育てるのがオススメです。コンポストの容量にもよりますが、そんなに大量には出ないので、うまく活用してベランダ菜園などに活かしましょう。または、新たな堆肥が出ないキエーロを使うと良いと思います。
●まずは小さく、気楽にやってみよう!
最後に、今までやってきた経験から、アドバイスをいただきました。
コンポストに失敗はありません。どうやっても土には還るので気楽にやってみてください。(佐藤さん)
最初は「ちょっとでも生ごみ減ればいい」というくらいの気持ちで完璧を目指さずに、適当にやるのがいいと思います。(前田さん)
私はなかなか踏み出せずにいたのですが、コンポスト部に入ったのをきっかけにスタートしました。初めてみたら、思ったほど大変ではなかったので、まずはトライしてみると良いかも。(俣野さん)
みなさんが強調していたのは、小さな範囲からでもいいので「やってみる」こと。私も、冬の間にプランターに少しだけ埋めた生ごみが春には消えていた、という成功体験がコンポストを続ける原動力になりました。
冬~早春は虫もわきにくいので、コンポストを始めるチャンスです。記事をお読みいただいたみなさまも、気楽な気持ちでやってみてください。