まずは小さく始めよう! ~体験者に聞く、コンポストのイロハ(前編)~

2021 / 2 / 26 | カテゴリー: | 執筆者:mihosoga

エコネットワークス(ENW)には、コンポストについてオンラインで情報交換をする「コンポスト部」という活動があります。部員は10人ほどで、ほとんどのメンバーが自宅でコンポストを実践中です。そこで、今回「コンポストをやってみたいけれど二の足を踏んでいる…」というENWの仕事仲間に向けてコンポストのあれこれを語る会を、オンラインで実施しました。


執筆:曽我 美穂
富山県在住のエコライター、エディター。


【今回、集まった部員】

前田 真砂子さん(茨城県在住):台所で「自然にカエルS SKS-101型」(自治体の助成金も活用して購入)を実践中。

野澤 健さん(神奈川県在住):庭に「キエーロ」(自治体の助成金も活用して購入)を設置。入りきらない分は庭に埋めている。

俣野さん(京都府在住):古民家の土間で「EMバケツ」(自治体の助成金も活用して購入)を実践中。

佐藤さん(千葉県在住):これまで数々のコンポストを試してきた。今は、庭に埋める形のコンポストを実践中。

曽我 美穂(富山県在住):庭に自作のキエーロを設置。段ボールコンポスト、プランターコンポストの経験もあり。今回の記事の筆者。

●やりかたいろいろ、コンポスト

コンポストは、生ごみなどを堆肥にすること。その方法は、気軽にできるものから大規模なものまで多彩です。この記事では、いろんな方法と難易度、予算をご紹介します。

難易度:★★★(★3つが最高)
予算:★★★(★3つが最高)

●庭に埋める

難易度:★
予算:なし←「ゼロ」なので★なしにしました。

昔からおこなわれている、シンプルで初期費用ゼロの方法で、最も多くの部員が実践中です。実践者の佐藤さんいわく「一番簡単な方法で、いろいろ試したけれど、これにたどり着きました。ポイントは、しっかりと土をかぶせること」とのこと。

●キエーロ

難易度:★
予算:★★
(自治体の補助金を活用したり、自作すると比較的安く抑えられます)

「キエーロ」は、黒土に含まれるバクテリアの力を活かし、生ごみを分解、消滅させるコンポストです。神奈川県の葉山町で生まれ、全国に広まっています。使い方は簡単。通気性がある木の箱の中に黒土が入っており、穴を掘って生ごみを入れ、土をかぶせます。時期にもよりますが、早いと数日間で生ごみが消えます。半永久的に使い続けられるのが最大の魅力です。

ベランダに設置できるミニサイズのものから、庭に設置する大きめサイズまであるので、家の大きさ、住まいの形態に応じて実践できます。部員の1人、小野 梨奈さんは自宅のベランダでミニ・キエーロを実践中です。こちらで紹介されているお店に直接問い合わせをして購入したそうです。

※詳しくはこの動画もご覧ください。

キエーロ

我が家で自作したキエーロ。縦70cm×横1m弱あります。

ミニキエーロ

小野さんが使っているミニ・キエーロ。

●室内置きタイプのコンポスト

難易度:★
予算:★★★

庭やベランダに生ごみを出しに行くのはちょっと面倒…という方におすすめなのは、室内置きタイプです。

前田さんが台所に置いている「自然にカエルS SKS-101型」は、生ごみを入れてから蓋を閉め、ハンドルを回してかくはんするタイプです。説明書によると、700g/日ぐらい分解可能だそうです。「外まで捨てに行くのが面倒なので、室内置きタイプを買いました。虫が心配でしたが、1年間使ってみて、虫は1匹も出ませんでした」とのこと。こまめに生ごみの処理をしたい方には良さそうです!

不織布のカバー(付属品)をかけて使用。

水分を蒸発させたいので日中は外に出しています。

●EMバケツ

難易度:★★
予算:★★

EMバケツは、液肥を作るタイプのコンポストです。生ごみとぼかし(ぬかでもOK)を混ぜて、じっくり発酵させていくので、実践者の俣野さんいわく「生ごみがじっくり発酵し、まるでぬか床のような香りになる」とのこと。液肥ができるので、植物を育てている方にオススメです。

中に新聞紙、生ごみ、ぼかしを混ぜて入れます。

普段は蓋をしめておきます。

●プランターコンポスト

難易度:★
予算:★

筆者がキエーロの前にやったのが、こちらの方法。プランターに土を入れ、生ごみを埋め、上に土をかぶせるだけのサンドウィッチ方式です。ポイントは土をしっかりとかぶせておくことと、生ごみを入れすぎないこと。実践者の佐藤さんは「分解前に次の生ゴミを入れたら虫が発生してしまい、ここ1、2年はお休みしています」と語っていました。

筆者が実践した際は、春に小さなミミズが発生(我が家はミミズは「かわいい」ということになっているのでOK)。その後、埋めたジャガイモの切れ端から芽が出て、最終的にはジャガイモが収穫でき、子どもたちが大喜びしていました。できたジャガイモはポテトフライにして食べました。

なお、予算がかからない他の方法としては、多くの自治体で推薦されている「段ボールコンポスト」もおすすめです。(検索で「段ボールコンポスト」と入れると、たくさんやり方が出てきます)

左側が、大きく育ったジャガイモの株です。

●LFCコンポスト

難易度:★
予算:★★★

福岡県で生まれた「LFCコンポスト」というシステムが、都市部を中心に話題となっています。スタイリッシュなトートバッグの中に土を入れ、そこに生ごみを入れ、ベランダなど風通しの良い場所に置いて堆肥化する方法です。定期的に費用がかかりますが、コンパクトで実践しやすく、困った時はアドバイザーに相談できる点が魅力です。参加者の1人、近藤 圭子さんは、この会の後にLFCコンポストを始めたそうです!

近藤 圭子さんが使っているLFCコンポスト。

以上、今回はおすすめのコンポストを紹介しました。後半では、メリット、気になる点、経験者からのアドバイスをお伝えします。お楽しみに!
まずは小さく始めよう!~体験者に聞く、コンポストのイロハ(後編)~

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