子育ても仕事も大切に(第4回)

2012 / 3 / 14 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks

第4回は英日翻訳者で数多くの訳書もあり、特に生物多様性や自然環境保全に関する分野でお仕事をお願いしています。弊社では翻訳のチェッカーでもあるDさんにインタビューしました。
—————–
プロフィール:栃木県在住。保育園に通う4歳半と2歳のお二人のお子さんがあり、2002年よりエコネットワークスに登録。家庭菜園は2011年はお休み。今春からふたたび、じゃがいも、トマト、キュウリ、ナス、ピーマンなど、少量多品種を栽培予定。住んでいるところは夕立ちとカミナリが多く、夕方の水まきがいらないずぼら農法実践中。

<1日のタイムスケジュール>
基本は8:30~4:30が仕事。ただし、夜9:30に寝て、3:30起床、6時まで仕事する場合もある。合間を見て家事。煮込み料理をしたり、洗濯ものやお布団を外に出し入れしたりできるのがうれしい。子どもがいるときは仕事しない。

二口(以下F):今日はお時間をいただき、ありがとうございます。先日も下のお子さんが丈夫になって、ずいぶん楽になったとおっしゃっていましたね。

Dさん(以下D):はい、本当に。下の男の子は生後半年で保育園に入ったのですが、4月はならし保育、5~6月はほとんど行っていないという状態でした。身体が慣れるまで時間がかかりましたね。それからも、風邪を引けば必ず熱を出すという状態がつい最近までずっと続きました。

F:お子さんが小さくても、納めていただく翻訳は常にクオリティが高いので、いつも本当に驚いているのですが、どのように管理されているのですか?

D:万が一、子どもの体調が悪くなっても、徹夜で時間を捻出すればなんとか仕上げられるという範囲内で、お仕事を受けるようにしています。子どもたちのその時の体調や気質――私が仕事に注力しているのがわかるとやきもちを焼くので――にかなり制限されています。原文200ワードを1時間半、チェッカーの場合は30分で見積もって、実際にそれより足が出た分は早起きしてキャッチアップ、と言った感じですね。

F:なるほど。前にチラッとお聞きした、上のお嬢さんの育休中の過ごし方について、教えていただけますか。

D:育休を1年近く自主的にとったので、リビングに信頼のおける翻訳書の原書(英語)と訳本(日本語)を開いておいて、抱っこしながら、比較して読み上げたりしましたね。あと、英語の歌、マザーグースやクリスマスソングのCDをかけて歌ってあげながら、歌詞を覚えるようにしました。翻訳って文化的、宗教的なバックグラウンドを理解できていて初めて訳せるものもありますから。
それから、朝日新聞の天声人語やインタビューの「ひと」欄を声に出して読みました。子どもに聞かせることもできるし、読みながら、私はこのことばや言い回しを翻訳で使えてるかなと、考えましたね。育休中は翻訳調のことばから離れ、なるべく純粋な日本語だけに触れようようと心がけました。翻訳業界の中にいると、「これぐらいはしょうがないよね」という、翻訳のにおいがする部分が残ってしまうことがあります。そういう状況から抜け出るために、意識してやったトレーニングでした。

F:そのように心がけたきっかけは何だったんですか?

D:出産の前にナショナルジオグラフィックの通信講座を受講して優秀者になり、仕事で20本近くコラムの翻訳をさせていただいたんですね。その時に、仕上がってくる記事がものすごくいいんですよ。私たち翻訳者には原文から離れないでください、という指示なんですが、実際に記事になると、最初から日本語で書いてあったかのように読めるんです。翻訳者は編集までしてはいけないけれど、なるべく編集者さんの手をわずらわせない翻訳に仕上げるためには、と考えたんです。

F:効果はいかがでしたか?

D:産休明けにがらりと訳し方を変えましたね。類語辞典なども、ものすごく調べるようになりました。

F:育休中の努力、実を結んでいると思いますよ。訳を拝見していて、とても読みやすいと思います。これから産休に入られる方にメッセージをいただけますか?

D:「女性の品格」で有名な坂東眞理子さんの「坂東式ハッピーライフ両立力」に女性の人生を大きく3つの時期に分けていたんですね。
以下は前述の書籍よりの抜粋:
=====
ステージA:独身期 家族を気にすることなく、仕事に没頭するとき。自分へ惜しまず投資する。
ステージB:子育て期 ペナルティボックスに入るとき。仕事と家庭のバランスを一番うまくとる。
ステージC:再び仕事に全力投球。プライベートも充実し、人間的に磨きがかかる。
=====
そこにステージBは「仕事を辞めずに続けることで、その後の長い人生を充実させることができます。」とあったんですね。今は細くつなげればいいんだと、この本にずいぶん救われました。

F:そうですか。コーディネイターとしても、できないことはできない、だけどこれだけならできる、とはっきり言っていただいた方がいいですね。今はそういう時期なんだ、と私も考えていますから。引き受けていただいたお仕事のクオリティがすばらしければ、継続してお願いしていますし、今後仕事に配分できる時間が増えれば、がっつりお願いしたいと思いますよ。(笑)

今日は、出産を控えた方や、小さなお子さんをお持ちのワーキングペアレンツに、とてもいいメッセージをいただきました。本当にありがとうございました。

Photo by 癒しの空間

このエントリーをはてなブックマークに追加