途上国支援の活動を仕事にしている夫が、アフリカ・タンザニアで日本の干し芋技術とコラボレーションしたドライフルーツ工場を立ち上げました。タンザニアで生産した無添加ドライフルーツの販促を少しでも手伝いたい、という想いで始めた、私の人生初の輸入販売業。居住地の藤野町とアフリカをつなぐ店、というモットーで「藤野良品店」という屋号をつけ、藤野の友人アーティストにパッケージデザインをお願いし「藤野とアフリカを融合したデザイン」で販売を始めました。
無添加100%果実のドライフルーツ
(パッケージは藤野のアーティストにデザインしてもらいました。)
タンザニアのカカオ農家さんと(手前中央が夫)
ドライフルーツプロジェクトの関係で何度もタンザニアに出張に行く中、夫が次に出会った農産物が有機カカオ。農家さんから直接購入したカカオ豆を日本に持ち帰り、焙煎してすりつぶして砂糖を混ぜ、冷やして固めると、ザラザラとした食感は残るものの、フルーツのような甘酸っぱい香りが広がる、今までに食べたことのない美味しいチョコレートができあがりました。
カカオ豆と砂糖だけで、こんなに美味しいチョコレートができるんだ!今まで食べてきたチョコレートはなんだったのだろう!?と感動した私達は、「安心安全で美味しいチョコレートをたくさんの人に知ってもらいたい! 」という想いで、小さなチョコレート工房を立ち上げました。
チョコレートができるまでの行程は長く、まず、カカオ農家で収穫したカカオの実から種と白いワタを取り出し、バナナの皮などに包んで1ヶ月程度発酵させます。
カカオの実を半分に割ったもの
(中の種がチョコレートの原料)
発酵によってチョコレート特有の香りが出てきます。
その種を乾燥させたものが、チョコレートの原料となり、これを日本に輸入します。
輸入した乾燥カカオ豆を焙煎します。一般的にはオーブンで焙煎しますが、私たちの工房では、より環境に配慮したものづくりを目指したく、地元藤野産の炭で焙煎しています。炭で焙煎することにより、コクと深みのある香り高いカカオ豆となります。
乾燥させたカカオ豆
焙煎したカカオ豆の皮を剥き、細かく砕いてから石臼に入れて約2日間挽きます。すると摩擦熱によりカカオ豆の油脂がとけだし、チョコレートらしいトロリとした液体になります。そこに有機砂糖を入れ、さらに半日程度混ぜます。
石臼で約2日間挽いたチョコレート
このトロリとしたチョコレートを微妙な温度の上げ下げを繰り返し、調温(テンパリング)して最適なチョコレートの結晶構造を作ります。このプロセスにより、手で触ってもとけにくく、ツヤがある食感の良いチョコレートになります。
紙素材の包装紙に手でパッキング
テンパリングしたチョコレートをオリジナルの型に流し込みます。型のデザインも藤野の彫刻アーティストにお願いしました。カカオの実を半分に割った様子をデザインしてもらいました。
型に入れたチョコレートを冷蔵庫で冷やして固め、型から取り出して、一つひとつ手作業で包装していきます。環境負荷を減らしたいという想いから、包装材も一般的に使用されているアルミ素材等は使用せず、全て紙素材にしています。また、パッケージデザインも「藤野とタンザニアとカカオを融合」というイメージで藤野のアーティストに描いてもらいました。
地元のアーティストデザインの包装紙
カカオ豆から板チョコまでを一貫して1つの工房で作るチョコレートを「bean to barチョコレート」と言い、健康志向の高い人向けのこだわりチョコレートとして、チョコレート業界でも注目されているとのこと。そこに、さらに「とことん環境と地元とアフリカにこだわる」という要素を加えた、地球にも地域にもカラダにも優しいチョコレート工房であり続けたい、と思っています。
柳田 真樹子
※「bean to barチョコレート」について、詳しくはこちらをご覧ください。