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硲允さんインタビュー(第2回目)
*こちらのインタビューは、硲允さんインタビュー第1回目からの続きです。
大田: 「働き方」についても、聞かせてください。「フリーランス」という働き方の、硲さんが対面されているメリット・デメリット(マイナスな点という意味ではなく、今後の課題という意味で)は何でしょうか?
硲: 平日の昼間に畑に行ったり、というのはフリーランスで働いていなかったらなかなか難しかったと思います。
平日の昼間に会社で働いていそうな人も同じ畑を借りていますが、会社帰りに畑に来るともう真っ暗ですし、平日に毎日夜まで働いていたら、疲れのたまっている土日に畑に出かけていくのは大変だろうと思います。
仕事の時間を比較的自分の都合で決められて、休憩時間を自由に使えるのはありがたいことだと感じています。ちょうど今も、インタビューの前に落ち着いて考えたいと思って公園に行ってきました。
画像「近所の公園」硲允さん撮影
それから、会社の一員として働いていると、仕事で人と付き合うときに、どこどこの会社の誰々さん、というように、余程仲良くならないと会社と会社の関係という感じが強いと思いますが、フリーランスだと最初から個人と個人としての関係を築きやすいのではないかと感じています。
会社での経験が少ないので比較するのが難しいですが、フリーランスのデメリットというか、難しいところは、受け身の姿勢では仕事のレベルアップがしにくいことかと思います。
これは会社で働いていても同じことが言えると思いますが、会社なら、今の自分には少しレベルが高い難しい仕事でも任されて、周りに助けてもらいながら自分の能力を伸ばしていける機会が比較的多いのではないかと思いますが、フリーランスの場合、独立して最初のうちは安心して任せられる仕事を依頼されることが多いので、自分から何かしらの方法で働きかけていったり、日頃から自分で勉強することが特に重要だと思います。
今後の課題としては、これまではこういう内容の仕事を引き受けてもらえないかという形で依頼されて仕事をすることが多かったのですが、これからはもっと自分から働きかけて、自分で企画して仕事を作っていきたいと思っています。
大田: 仕事でのスキル向上のために毎日(定期的に)されていることはありますか?
硲: 以前は、将来の目的を立てて、それに向かって毎日勉強することを生きがいのようにしていましたが、最近は勉強のために、とかスキル向上のために、と思って何かをすることは止めました。
その時々に自分の興味のある本を読み、調べたいことを調べたり、ということはしていて、それが結果的に仕事にも役立っています。やっていることは勉強だと思ってやっていることと同じでも、本当に興味があることだけをするようにしています。
もう一つ心がけているのは、心の余裕をもつことです。
散歩をしていても、仕事が忙しいときや時間に余裕がないときは、草花を見てもその感じが強く心に届いてきません。歩きながら草花を見ていると、自分の心の状態がよくわかります。そういうことを感じて、心の平静を保ったり、必要なときに精神的に集中できる状態でいられるように心掛けています。どんな仕事をするにしても、心に余裕がないと深く入っていけないので、それが仕事にも役立っています。
一つの分野で上を目指して、そのために毎日勉強していた頃は、そうやって自分が成長していくことに喜びを感じているつもりでしたが、日々何をしているかというと、時間を見つけては勉強し、それでもまだ勉強の時間が足りなくて焦っている。そしてその勉強が楽しいかというとそうでもない。それに、目指しているレベルの仕事ができるようになったからといって、そう大した幸せを感じるわけでもないと思うようになりました。
(硲允さんインタビュー第3回目最終回に続く)