教育にもユニバーサルデザインを

2019 / 6 / 26 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

Photo by Florida International University

 

識字障がいを持つ人にも読みやすいユニバーサルデザイン(UD)フォントを導入しようとする動きが行政を中心に広がっています。

なかでも、教科書や学校で配られる資料にUDフォントを取り入れて、より多くの子どもがストレスなく勉強に取り組めるようにと、教育現場への導入が目立ちます。

「フォントを変える」といったちょっとしたことで実は大きな違いを感じる人がいる。
自分自身が当事者にならないかぎり想像できないような不便さがいたるところにあることをまずは認識する必要があると改めて感じます。
同時に、子どもたちの将来への影響を考えると、あらゆる人にとって利用しやすいユニバーサルデザインの考え方は、フォントに限らず、もっと広く教育現場に取り入れるべきでしょう。

リサーチをする中で、米国にある非営利団体CASTがUniversal Design for Learning(UDL、学びのユニバーサルデザイン)というアプローチを提唱していることを知りました。

「インクルーシブ教育」にも通底する部分はあるものの、“障がいの有無”に限らず、もっと広く“個人の特性”に合わせた教育を実現しようとしている点がより新鮮に写ります。

従来の教育と異なるUDLの具体的な特徴をいくつかご紹介します。

Teaching focuses on both what is taught and how.
「何を」「どうやって」教えるかという両面に注目する(試訳)

新しいことを教えるとき、一般的には教科書を使います。
UDLでは、例えば音声や動画、ときには体験学習などさまざまな方法から子どもたちが自分に合うものを選べるアプローチを提案しています。

The classroom has a flexible setup.
教室での学習環境に柔軟性を持たせる(試訳)

一人で静かに勉強する。グループワークをする。クラス全体で先生の話を聞く。
学習内容によって、子どもたちのニーズによって、学習環境を変えることが推奨されています。

There are multiple ways to complete an assignment.
宿題の多様なやり方を認める(試訳)

プリントだけではなく、プレゼンテーションや動画の制作など、それぞれが得意とするやり方で学習の成果を発表できるようにという提案です。

そのほかの特徴も見てみると、子どもたちの多様性を認めて、方法をひとつに限定せず、特性に合わせて柔軟に対応できるようにするというのがUDLの基本原則と言えそうです。

キーワードはずばりflexibility(柔軟性)

UDLは、あらゆる子どもたちがより意欲的に楽しく学習に取り組めるよう考えられたアプローチであると同時に、子どものころにお互いの特性を自然に認め合える環境を経験できるという大きな利点も持っています。

現実を見ると、教育現場で働く先生たちの労働環境がなかなか改善されないなど理想とのギャップを感じずにはいられませんが、UDLで提唱されているような楽しい環境で勉強できる子どもたちが少しずつでも増えていくことを願っています。

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