アップサイクル ~ 新たな価値を生み出すリサイクル

2019 / 1 / 23 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

サーキュラーエコノミーが広まるにつれ、「アップサイクル」という言葉にも光が当たるようになっています。衣類の余剰品やサンプル品など、アパレル関連商品のリサイクルについて語られることが多いほか、海外の古着ショップを紹介する日本語の記事でも使われているのを見かけます。

英英辞典 Merriam-Webster によれば、アップサイクル=upcyclingは、1994年に初めて下記のような意味で使われました。(4半世紀近くも前なんですね!)

Upcycle : to recycle (something) in such a way that the resulting product is of a higher value than the original item : to create an object of greater value from (a discarded object of lesser value)
結果として得られる商品が元の商品よりも高い価値を持つように(あるものを)をリサイクルすること。(より価値の低い廃棄物)からより大きな価値のあるものを作ること。(試訳)

リサイクルの一種ですが、「より大きな価値を持つ」ことが特徴です。

アップサイクルといえば、多くの人が思い浮かべるのがフライターグ
グラフィックデザイナーだったフライターグ兄弟が、デザインの下書きを持ち運ぶのに最適な、機能性、撥水性に優れた丈夫なバッグを、使い古しのトラックの幌、廃棄された自転車のタイヤチューブ、車のシートベルトから作ったのが始まりです。

私も金沢21世紀美術館のミュージアムショップで実際に手に取ってみたことがあります。
撥水性のある生地でありながら、はき込んだデニムのようにくたっとしていて、手になじむ。
広い面積に大きく描かれていた絵やロゴを、小さな面積のバッグに使うことで大胆な色使いとレイアウトになっている。全て一点ものと言う新たな魅力も加わっています。

さて、日本では、と思い出したのが「金継ぎ」です。割れたり欠けたりした陶器やガラスの器を修復する、日本の伝統的な修復技法です。

(1)接着用の漆を断面に塗って接着。乾燥させてから、足りないかけらの部分などに、接着用とは別に配合したパテのような漆を入れ、砥石や炭で平らに表面処理

(2)粘りをもたせるため顔料を混ぜた漆でヒビの上をなぞり、そこに金、銀、錫などを蒔く

(3) 乾燥の後、金属粉を固定させるため漆を吸わせてまた乾燥。その後、磨いて完成です。


Photo: (c) Yukiko Futakuchi

トラックの幌の、痛みの少ない部分をカットして「どう使えば面白いものができるか?」と考えるフライターグ。
偶然できたひびや欠けを最初からあった柄のように見せる金継ぎ。
「アップサイクル」は、手間と時間をかけて、創造力(creativity)と発想力(inspiration)を活かしたリサイクル、と言えそうです。

* * * * *

P.S. 金継ぎと言えば、こちらのYouTubeも人気のようです。

(c) Sean Branahiran

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