ムダを出さない、regenerativeな食のしくみ

2019 / 1 / 28 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

CITIES AND CIRCULAR ECONOMY FOR FOOD by  ELLEN MACARTHUR FOUNDATION

  • ・世界で生産される食料の約3分の1が食べられることなく廃棄されている。
    ・世界の50%の人が栄養不足で苦しんでいる一方、約3分の1にあたる22億人以上が肥満や過体重である。
    ・機械や合成肥料を多用する工業型農業により、世界全体の約4分の1の地表で土壌劣化がみられる。

私たちの豊かな食生活を支える今の食料生産や消費のあり方は、こうした数々の問題を抱えています。

世界人口のさらなる増加や、都市化の進行、気候変動の影響などさまざまな要因がいっそうの圧力となり、現在の工業型食料生産が続けば、2050年までに年間500万人が命を落とす可能性があるというショッキングな推定もあります。

先日のダボス会議でエレンマッカーサー財団が発表したレポートでは、こうした事態を回避すべく、食のしくみにサーキュラーエコノミーの原理を適用するアプローチが提案されました。

レポートを読み込むなかで、regenerativeというワードが目に留まりました。

生産だけでなく、消費や廃棄物の再利用にいたる全体の流れをひとつのシステムとして捉え、そのなかでムダを出さない方法を構築し、それでも生じてしまうムダを別の形にして再び活用するアプローチをregenerative food productionとして推奨しています。

具体的には、

・合成肥料から有機肥料への切り換え、輪作、作物の多様化、廃水の適切な管理等により、再活用に向けて土壌や水の健全性を向上させる

・廃棄物の価値を最大限高めて肥料やバイオエネルギーとして再び活用する
 など

こうしたことによって、食料生産に必要な土壌や水などの資源は次のサイクルのための力を蓄え、廃棄物は別の形に生まれ変わり、やはり次のサイクルを回す力となります。

そういえば、ハイブリッド車などで採用されている回生ブレーキは、英語にするとregenerative brake。
減速時のエネルギーを電力に変えて再び動力源として使うこの魔法のような技術も、エネルギーの流れを循環させるという点で共通しています。

“別の価値あるものに再生させる”(=regenerative/regeneration)というサーキュラーエコノミーの根幹をなす概念は、さまざまな場面で問題を解決するヒントとなりそうです。

最後に、私たちの多くにとって最も関わりの深い消費のあり方について、印象的だった文章を上記レポートより引用します:
Rather than a final destination for food, cities can become centres where food by-products are transformed into a broad array of valuable materials, …
(試訳)都市は、食料が行き着く最終地点ではなく、その副産物がさまざまな価値あるものに生まれかわるための拠点となりうる・・・

日々の買い物や食事、ゴミの出し方といった身近なところでも、“ムダを出さない”、“別の形で再活用する”ことを意識していこうと思います。

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