COP24 IPCC特別報告書の影響は?

2018 / 12 / 25 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

Photo: “A Path Through Darkness Often Leads to a Brighter Future” by Brian is licensed under CC BY-SA 2.0

ポーランドのカトヴィツェで開かれていたCOP 24。

今回の会議は、2020年のパリ協定運用開始に向けたルールづくりの場であるとともに、10月に公表されたIPCCの1.5℃特別報告書がどのような形で議論に影響するのかという点も注目されました。

パリ協定で「2℃目標」と「1.5℃の努力目標」を掲げたのが2015年末。
特別報告書は、2017年時点で人為活動による気温上昇がすでに1℃に達しているとし、気温上昇が1.5℃と2℃の場合ではその影響に大きな差があることを明記しています(関連記事参照)。

そうした危機感が示された上で開催された今回のCOPでしたが、その合意文書では特別報告書について最終的に次のように記述されました。

  • Invites Parties to make use of the information contained in the report referred to in paragraph 25 above in their discussions …(Proposal by the President IV 28項
    (意訳:特別報告書に含まれる情報を今後の議論で活用するよう締約国に呼びかける…)

もともとinviteの代わりに、より積極的に受け入れる姿勢を表すwelcome(歓迎する)が提案されていましたが、米国や一部の国が反対したことで文言が変更されました

一方で1.5℃を目指す国と地域によって「野心連合(High Ambition Coalition)」が結成されるなど、一定の成果もありました。

ただ全体としては、1.5℃という野心的な目標に立ち向かおうとする熱意にばらつきがみられ、何とか折り合いをつけたという印象です。

 

こうした動きのなか、会期終盤に15歳の環境活動家グレタさんが行ったスピーチは非常に力強く心に響きました。一部を引用してご紹介します。

You only talk about moving forward with the same bad ideas that got us into this mess, even when the only sensible thing to do is pull the emergency brake.
(試訳:あなたがたは、私たちをこんなめちゃくちゃな状態にしたのと同じ考え方で前に進むことばかり議論する。唯一すべきなのは非常ブレーキをかけることだというのに。)

You say you love your children above all else, and yet you are stealing their future in front of their very eyes.
(試訳:あなたがたは自分の子どもを何より愛していると言う。でも、まさにその子どもたちの目の前で、未来を奪っているのだ。)

Until you start focusing on what needs to be done rather than what is politically possible, there is no hope.
(試訳:政治的に可能なことじゃなくて、なすべきことに取り組まないかぎり、希望はない。)

当たり障りのない言い回しを探るのではなく、自分の言葉で率直に話す姿からは、静かな怒りとともに真の危機感が伝わります。ぜひお時間のあるときに映像もご覧ください。

IPCC特別報告書にもあるとおり、気候対策に関してはすでに一刻の猶予もないところまできています。
その危機感を今一度広く共有し、足並みのそろった、より大胆な取り組みが期待されます。

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