FPICの権利とは?

2018 / 9 / 5 | 執筆者:EcoNetworks

FREE, PRIOR AND INFORMED CONSENT: MANUAL FOR PROJECT PRCTITIONORS by FAO

FPICとは、free, prior and informed consentの略。日本語では通常「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」と訳されます。

主に土地や資源の開発を進める際に尊重すべき先住民の権利として謳われることが多く、森林開発などを背景として国連機関を中心にいくつかのガイドラインが出されています。

そのうちのひとつ、国連食糧農業機関(FAO)が2016年に作成したFPICのマニュアルではその定義を次のように説明しています。

Free refers to a consent given voluntarily and without coercion, intimidation or manipulation.
「自由意思による」
とは、強要、脅迫あるいは不正操作を行うことなく、自分の意志で同意することを意味する。(試訳)

Prior means that consent is sought sufficiently in advance of any authorization or commencement of activities, at the early stages of a development or investment plan, and not only when the need arises to obtain approval from the community.
「事前の」とは、活動が許可あるいは開始される前に十分な余裕を持ち、当該コミュニティの承認が必要になってからではなく、開発や投資計画の初期段階に同意を求めることを意味する。(試訳)

Informed refers mainly to the nature of the engagement and type of information that should be provided prior to seeking consent and also as part of the ongoing consent process.
「十分な情報に基づく」とは、主として、同意を求める前や同意を得る継続的なプロセスにおいて提供されるべき取り決めの性質や情報の種類を意味する。(試訳)

すべて当然のことのように思われますが、裏を返せば、こういった権利が蔑ろにされてきた過去がある、ということなのでしょう。

調べてみると、FPICが初めて具体的に言及されたのは2007年の国連による「先住民族の権利に関する宣言」。つい十数年前の出来事であることに驚きますが、世界人口の増加にともなって開発が急速に進むなかで、先住民の権利や土地、暮らしに敬意を払ってこなかった反省から生まれた表現だと考えられます。

このような定型的な表現は、ただそういうものとして捉えるのではなく、その言葉が生まれた背景にも思いをはせて適切な使用を心がけていきたいものです。

(翻訳コーディネーター/翻訳者 山本 香)

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