翻訳の未来 AI翻訳と翻訳者

2018 / 3 / 7 | 執筆者:Futakuchi Kazuko

Photo: “名古屋城” by Shinji is licensed under CC BY 2.0

2月24日に、名古屋で「翻訳の未来、働き方のミライ」を開催し、
24名の翻訳者の方々と共に翻訳や働き方の未来について考える時間を持ちました。

2016年11月にGoogle翻訳がニューラル機械翻訳(NMT)を採用し、
英語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、ドイツ語、中国語、日本語、韓国語、
トルコ語の8言語に対応すると公表。さらに100以上の言語への対応も順次進めるとのこと。

今年の1月には、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が、企業向けにAIによる
超高精度の自動翻訳を実現する「AI翻訳プラットフォームソリューション」を、
3月1日から提供すると発表しました。

翻訳者の中には「自分たちの仕事がなくなってしまう」という恐怖感から
AI翻訳を敵視したり、試してみたこともない、と拒絶する方もあるかと思います。

しかし、NTT Comの発表でも分かるように、AI翻訳は確実に世の中に広がっています。
ただ漠然と恐れるのではなく、実際に使ってみて、どのようなものかを知ることが大事で、
そのうえで、私たちの行動を決定していくことが必要です。

セミナーでは、AI翻訳の現状を簡単にまとめた資料を共有した後に、
3名ずつのグループに分かれて、 Google翻訳を実際に体験するワークを行いました。

参加者のみなさんが日頃取り組んでいる内容に近いテキストを事前に用意し、
ご自身の専門分野だけでなく、他の分野のテキストではどうなるのかを体験。
お互いの結果を見ながら、気づいたことをグループごとにまとめて発表いただきました。

最初はどことなく不安げな様子だった皆さんも、ワークの途中から、
Google翻訳の動きを見極めようとする真剣な表情になり、
どのテーブルでも活発にディスカッションが生まれていました。

再確認したり、新たに気づいた長所と短所は、以下の通りです。

長所
・圧倒的に速い。(当たり前ですが、この速さは当たり前じゃなかった機械翻訳の時代も)
・全般的に、自然で流れの良いアウトプット(英語、日本語)が得られる。
・そのまま納品できる翻訳のアウトプットが得られるケースもあった。(英語→日本語)
・難解な専門用語(例えば装置名)をA、Bと置き換えてGoogle翻訳にかけると、納品できるレベルの訳文のアウトプットが得られた。最初に置き換えをして、 Google翻訳→置換した用語に戻すというプロセスをとれば、実用できる可能性が高い。(日本語→英語)
・句読点の位置を変えると、訳文が変わることがあった。(日本語→英語)

短所
・「ですます」調と「である」調が混在するケースがあった。(英語から日本語)
・訳抜けが生じることがあり、その規則性が特定できない。(英語⇔日本語)
・意味の反転(否定が肯定に、部分指定が全否定になるなど)が生じることがある。これも規則性が特定できない。(英語⇔日本語)

その他
・句点「。」を最後に入力する前と後では、全く異なるアウトプットが得られた。
・少しずつテキストを入力すると順番に翻訳するが、途中から、あるいは句読点を打つと、訳が抜け落ちた。

文をパーツごとに分けて、それぞれを翻訳していた従来の統計型機械翻訳(SMT)では
見られなかった特徴が浮き彫りに。

1つの文を全体で理解する、と聞いていましたが、実際に使ってみてなるほど、と
わかりました。句読点が翻訳のアウトプットに大きな影響を与えるのも、
そのようなNMTの特徴が影響しているようです。

エコネットワークスでは、機械翻訳を導入していませんが、さまざまなITツールを使い
精度を上げ、短期間での翻訳納品を目指しています。

更なる納期短縮とコストダウンが実現すれば、AI翻訳の導入は進んでいくでしょう。
しかし、「訳抜け」と「意味の反転」が規則性もなく生じるため、
AI翻訳のアウトプットを精査し、正しい翻訳に仕上げる人間の作業(ポストエディット)が必要です。

次のブログでは、AI翻訳が普及していく中で、人である私たちはどのような働き方を
選んでいけるかについて、お伝えします。

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