コミットメント(commitment)は、どんな約束?

2017 / 10 / 31 | 執筆者:Yukiko Mizuno

Image by Nick Youngson
License: Creative Commons 3 – CC BY-SA 3.0

企業の報告書や、各国の地球環境問題への取り組みなどに関して、commitmentという言葉がよく使われます。今回はこの言葉を用いた表現 make a commitment について取り上げます。英和辞典には「~すると確約する」、「~ことを約束する」などの記載があります。

(例)Company X made a commitment to phase out PVC from their products.
(仮訳)X社は自社製品からポリ塩化ビニルを段階的に削減すると約束した。

よく目にする表現なのですが、英語の原文と日本語の訳文を読み比べると、これでいいのか?と悩むことがあります。なぜ引っかかるのか改めて考えてみると、「commitment」と「約束」では言葉の持つ広がりが違うからだと思い当たりました。

約束は

1) くくりたばねること。
2) ある物事について将来にわたって取りきめること。契約。約定(やくじょう)。
種々のとりきめ。規定。「舞台の—」
3) 約束事(かねてから定まっている運命。宿命。因縁。)に同じ。(広辞苑第六版)

Commitmentは

1. The state or quality of being dedicated to a cause, activity, etc.
1.1. A pledge or undertaking.
2. An engagement or obligation that restricts freedom of action.(Oxford Dictionary

Commitmentのほうが意味の広がりが大きい――具体的に言うと、commitmentに含まれる1つめの意味、ある理由や行動に対する強い熱意のようなものが、「約束」という言葉では伝わらないような気がするのです。

英英辞典でcommitmentの類語を調べると、以下のような単語が並んでいます。

1. dedication, loyalty, devotion
2. responsibility, tie, duty
3. pledge, promise, guarantee

熱意のある、責任を伴った誓約。Commitmentという言葉は、「約束」という事実だけでなく、それを交わす者の強い思いや確固たる姿勢も表わします。和訳する際には、文脈に応じて、こうした含意も汲み取った表現の提案を心がけたいと思います。

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ところで今回commitmentという言葉を調べていて、もう一つ気になったのは、「コミットメント」というカタカナ語の意味。いくつかの辞書を見ましたが、「約束、誓約、公約、確約、言質」、「関わり、関わり合い、関与、介入」といった記載にとどまるようです(注:英語のcommitmentに近い定義を紹介するサイトもあります)。日本の政府や企業が「コミットメント」という言葉を使うとき、それが熱意と責任感を伴うcommitmentであることを願います。

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