ユニバーサルツーリズム/Accessible tourism

2017 / 8 / 1 | 執筆者:Masako Maeda


Photo by Rachel Samanyi

先日のユニバーサルデザインに続き、今回は「ツーリズム 」でのバリアフリーをご紹介します。「ユニバーサルツーリズム」という言葉をご存知でしょうか?観光庁は「すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」と定義し、その普及・促進を図っています。

英語では”accessible tourism”と呼ばれ、Wikipediaでは、”the ongoing endeavour to ensure tourist destinations, products and services are accessible to all people, regardless of their physical limitations, disabilities or age.”と定義しています。

Accessible tourismは、もともとヨーロッパで欧州委員会を中心に研究と普及が進められました。ENAT(European Network for Accessible Tourism)は、次の観点からの配慮を求めています。

・目的地のバリアフリー化(設備、施設など)
・交通手段(すべての利用者に配慮した空路、陸路、海路)
・質の高いサービス(訓練されたスタッフ)
・活動、展示、アトラクション(参加者全員が楽しめる内容)
・予約システム、Webサイト等のサービス(誰もがアクセスできる情報の提供)

先日お手伝いした英訳案件の中で、このユニバーサルツーリズム(accessible tourism)の一つの例として「視覚障がい者の自動車運転体験ツアー」の存在を知りました。目が見えない方の「クルマを運転してみたい」という夢を叶えるため、クラブツーリズム(株)とツインリンクもてぎが年に1~2回開催しています。

施設内のホテルを盲導犬の宿泊に対応させ、関係スタッフを教育。実際に障がい者とクルマに同乗して運転方法を指示するインストラクターは、一つひとつの動作を言葉だけで分かりやすく伝えるために特別な訓練を積んでいます。

クルマが動いた瞬間に参加者が見せる歓喜の表情、言葉にならない声。夢の体験をサポートしているという実感が、インストラクターの皆さんの大きなモチベーションになっているといいます。

乗る前から笑顔。運転した後も笑顔。
Smiles abound, before and after driving
~Honda Hearts 安全ドキュメンタリーより

毎回キャンセル待ちが出るほどの人気という同ツアーは、国内外の組織の持続可能な優れた取り組みを表彰する「ジャパン・ツーリズム・アワード(国内・訪日領域優秀賞)」を受賞しています。

Accessible tourismの対象は、高齢者や障がい者の方々にとどまりません。旅行や体験ツアーへの参加をさまざまな理由から躊躇している人が心から安心して参加でき、家族や友人と感動を分かち合えるようなプログラムが、これからますます増えていくといいなと思います。

参考:Honda Hearts Vol. 16
日本語 「運転の夢」へのチャレンジを応援したい。
英 語 The Dream of Driving

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