Global Risk Landscape―異なる視点で見るリスク(2)

2017 / 5 / 9 | 執筆者:Futakuchi Kazuko

前回に続き、世界経済フォーラムのグローバル・リスク報告書2017のグローバルリスクを表現している図についてみていきます。

図3は、2017年のリスク見通しを表すマトリックスです。縦軸は上に行くほど与える影響が大きく、横軸は右に行くほどが起こりうる可能性が高くなっており、右上にあるリスクほど優先度が高いと位置づけられ、異常気象、自然災害、大規模に起こる選択の余地のない移住が優先度トップ3となっています。

影響(impact)の平均(average)以上のエリアに環境リスク(緑のアイコン)と社会リスク(赤のアイコン)が集まっています。また起こりうる可能性(likelihood)の上位にサイバー攻撃(cyberattacks)やデーター詐欺/盗難といった技術リスク(紫のアイコン)があることも見て取れます。

図4は、2017年のグローバルリスクの相互関連性です。現代のリスクが複雑に影響しあっていることがよくわかりますが、特に太い線でつながっているリスクは強い関連性が示されています。例えば、関連性が強いのは、
・異常気象、気候変動緩和策・適応策の失敗、食糧危機、水危機の4つ
・国家崩壊/危機、大規模に起こる選択の余地のない移住の2つ
・深刻な社会不安、失業/不完全雇用の2つ
です。なかでも、最初のグループは、そのリスクの特性上、人命に与える影響が大きく、気候変動緩和策・適応策の重要性が際立っています。

Figure 4: The Global Risks Interconnections Map 2017

 

世界「経済」フォーラムのリーダーが環境や社会リスクの影響を重要視している。それほどこの2つのカテゴリのリスクが経済に与える影響が懸念されているのが、 2017年と言えるでしょう。ともすれば無力感に襲われがちな多くの問題の中で、パリCOP以来、特に欧州で政府や企業の脱炭素アクションが加速度的に進んでおり、複雑に絡んだリスクの糸を何とかして解きたい(「ほどきたい」とも「ときたい」とも読めます)と言う意思の表れのように思います。2017年4月、日本企業として初めてリコーが RE100 に参加しました。日本でも、同様の動きが着実に進むことを期待します。

同時に、個人も危機管理能力を強化し、世界のトレンドや政治情勢をにらみながら、自身の経済活動や意識をアップデートし続ける時代に突入したと感じます。私自身は、AIを活用した翻訳の進化を注視し、いかに活用していくか、あるいは人による翻訳との違いや良さを明確にしていく必要があると感じています。また、より多くの地域のメンバーとつながり、ネットワークを強化したいとも考えます。

皆さんにとって腑に落ちたり、最も印象深かった図はどれでしょうか。なぜそう感じたのか、考えを深めることで、より多くの選択肢が見えてくるかもしれません。

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RE100:2014年に設立された、100%再生可能エネルギー由来の電力使用を目指す世界の主要企業による組織。

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