文章にリズムとウィットを

2016 / 12 / 7 | 執筆者:Masako Maeda

noteネイティブ翻訳者の英訳を見ていると、時々ハッとする表現に出会います。
韻を踏んでいたり、掛け言葉を使っていたり、
機転の利いた言葉遣いにうなる瞬間が度々あります。

最近ではこんな例がありました。

(1) Wearing our integrity on our sleeve
「誠実さを身にまとう」

見出しに用いた表現で、“wear ~ on one’s sleeve”は
「~をはっきりと前面に出す」ことを意味する慣用句です。
“wear one’s heart on one’s sleeve”なら「感情」を、
“wears one’s ethnicity on one’s sleeve”なら「民族性」を
包み隠さずに出すことを意味します。

コーポレートカラーを制服に使用している企業が、
自社の理念をイメージさせる色の制服を着用することで、
社員一人ひとりの自覚を促していることにふれた本文に掛けています。
制服として「着る」という事実と、理念を「前面に出す」という
両方の意味合いをうまく表現しています。

(2) Tourist numbers dwindled and the population thinned.
「観光客は減り、過疎化も進んでいた」

“dwindle”と”thin”という2つの動詞がリズムを生んでいます。
「減少」は、”decrease”や”decline”としてしまいがちですが、
動詞の選択から、語彙の深さとそれを使いこなす表現力の豊かさを感じます。

(3) employee health and long-term corporate health
「社員の健康と企業の発展」

健康機器メーカーの記事で使用した表現です。
文脈から切り離してお伝えするのは難しいのですが、
企業の「発展」を”growth”ではなく”health”とするセンスは、
直訳の発想からはなかなか生まれません。

リズミカルでウィットに富んだ文章は、
文章の流れをスムーズにし、読者を退屈させません。
ストーリー性のある文章の翻訳ではもちろんのこと、
単調になりがちな報告書などの翻訳でもうまく取り入れたいものです。

Photo by nicole danielson

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