監査役 = kansayaku

2015 / 9 / 5 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

audit

今年の6月に日本で「コーポレートガバナンス・コード」が施行され、
東京証券取引所でも適用が始まりました。
その英語版 Japan’s Corporate Governance Code を見ると、
監査役、執行役の英語呼称がそれぞれ
kansayaku、shikkoyakuとなっています。

しかし、監査役と執行役はそれぞれ
corporate auditor、executive officer
という一般的な英語呼称がありますので、何か理由があるはず。

翻訳では、主に外国語で表せないものはローマ字表記にし、
補足的な説明を訳語で追記するのが通例です。

調べていくと、公益社団法人 日本監査役協会がまとめた
報告書「監査役等の英文呼称について」に理由を見つけることができました。

日本の監査役制度が、一部アジア地域を除き他国に例を見ない
独自の特性を持つ制度であるため、
具体的には、日本の「監査役」は internal auditor(内部監査人)や
external auditor(会計監査人)とは違い、取締役会と協働して
コーポレートガバナンスにおける監督機能の一翼を担っている
とあります。
(注:取締役会、監査役会はともに非業務執行役員からなる)

各国法制の比較が大変興味深く、

  • 英国の Non-executive Director では社外取締役の意味合いが強くなる/日本では取締役=Directorが定着している
  • ドイツの Supervisory Boardは日本の監査役にはない業務執行者の選解任の権限も有している

など、日本の監査役の機能とピタリと合致する英文呼称はなかなかないようです。

同協会では、Audit でその監査機能を、
Supervisory Board でその監督機能を表すと案として
監査役 Audit & Supervisory Board Member
推奨しています。

さらに、
英文で作成した監査役制度説明資料(”Explanatory Memorandum on the Audit & Supervisory Board Members”)
も公表して、海外の投資家、各企業の海外の子会社でも誤解なく理解されるように努めています。

先にご紹介した同協会の報告書の最後にまとめられている
様々な候補のメリットと懸念点は、
企業が自社の英文呼称を決定する際に参考になるでしょう。

Photo by Lucas Hayas

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