「地域共生」を英語でいうと?

2015 / 7 / 24 | カテゴリー: | 執筆者:Masako Maeda

Hike

「地域共生」、サステナビリティ関連の翻訳をしていると
しばしば目にする言葉です。

どのような文脈で登場するのかというと、まず企業のCSR活動。
たとえば、「地域共生」を考え方の中心に据えた
CSR活動を展開している大和ハウスでは、
「地域社会の課題を把握し、地域組織・NPO等と協働しながら、
課題の解決や地域社会の持続的発展に貢献していく」
と謳っています(『大和ハウスグループCSRレポート2014』より)。

環境問題や社会問題との関連では、
成田空港地域共生・共栄会議」のような組織があります。
同組織では「共に生き、共に栄える」を理念として、
空港からの「マイナスの影響をできるだけ減らす(共生)」こと、
そのうえで空港がもたらす「プラスの影響を活かす(共栄)」こと
を目指しています。

また最近では、「地域共生ステーション」や「地域共生センター」と
名付けられた施設が各地で増えています。
福祉サービスを提供する施設から大学附属の施設まで
いろいろありますが、地域の課題解決や住民・組織との交流を
目的としている点では共通しているようです。

さて、この「地域共生」。
英語ではどのように表現すればよいでしょう?

「共生」を辞書で引くと、coexistenceやsymbiosisといった言葉が出てきます。
Oxford Dictionariesでは、それぞれ次のように定義しています。

coexistence (n.):
Exist at the same time or in the same place;
(Of nations or peoples) exist in mutual tolerance despite different ideologies or interests

symbiosis (n.):
Interaction between two different organisms living in close physical association, typically to the advantage of both;
A mutually beneficial relationship between different people or groups

なるほど、これを見ると
coexistenceは「相反する利益・関心をもつもの」、
symbiosisは「互恵的な関係をもつもの」
が共在するニュアンスがあるようです。

では、ネイティブの訳例を見てみましょう。
以下のフレーズはすべて、「地域共生」にあたる訳として
実際に現場で使用したものです。
– community involvement
– for community benefit / benefit the community
– giving back to the community
– building connections/relationships with the community
– connecting with the community
– getting involved with the community
– being a good corporate citizen
– open and useful to surrounding communities

ちなみに、symbiosis、coexistの二語も使用しましたが、
coexistの場合、
”coexist in harmony with…”や”coexist harmoniously”
のように修飾語とともに用いました。

翻訳において用語や表現の統一は重要ですが、
固有名詞または特別な指定がない限り、
意図的に訳し分けることで
その言葉に対する読者のイメージが喚起される
というメリットがあります。

文脈に即したバリエーション豊かな表現で、
読者を引き込む訳を目指したいですね!

Photo by Amy

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