横のつながり-組織論の「ヨコ」

2015 / 4 / 24 | 執筆者:Futakuchi Kazuko


Photo by Pink Sherbet Photography

前回、縦割主義の表現をご紹介してから時間が空いてしまいました。さて、今回は企業のレポートでよく見かける「横」の表現3つについて、例文をあげてご紹介します。

1. 横のつながり
2. 横展開/水平展開
3. 部門横断的な

「横のつながり」は horizontal connection、「横展開/水平展開」は lateral deployment でも間違いではないのですが、少しぎこちない印象です。どうすれば、より自然な表現になるでしょうか。もとの日本語の表現が伝えようとする真意にポイントをしぼって考えてみます。

1. 横のつながり
この表現は、普段は接点のない者同士があることをきっかけに知り合い、共に行動していく状況を表すのによく使われます。ポイントは対等な関係であること、そして「つながり」=連帯感や円滑なコミュニケーションがあることです。

(例文)この清掃活動を通じて、社員同士の横のつながりが生まれました。

1-1. This clean campaign helped employees connect with each other./「お互いとつながりを持つ」と表現してみました。

もう少し踏み込んで、
1-2. This clean campaign helped employees have better communication with each other./「お互いとより良いコミュニケーションを図る」ともできるでしょう。

2. 横展開/水平展開
「横展開/水平展開する」は、例えば「ある課題の原因を解決できた場合に、その方法を他の部署や類似の課題に適応する」ことを表します。1カ所から他の箇所で、あるいは全体へ「同じように適用する」というニュアンスです。

(例文)われわれは、この技術を海外支社全社へ水平展開しました。
2-1. The technology was transmitted to all our overseas branches.
2-2. We rolled the technology out to all our branches.
roll out はある製品やサービスを本格的に市場に展開する場合にも使われます。

3. 部門横断的な
この表現は「部門にまたがり」「部門を超えて」と言い換えることができますね。これには簡潔な表現があります。

(例)部門横断的なプロジェクト
3-1. cross-divisional project /cross は動詞として使う場合「渡る、横断する」を表します。
3-2. multisectoral project / 「多くの部門を巻き込んだ」様子を表します。

また、
3-3. a project that involves all divisions
のように「すべての部署が関わる」プロジェクト、と説明するように訳出することもできます。

「ヨコ」が表しているのは、それぞれの文脈で、実は「対等な関係」「つながり、連帯感」「同じように広がる」「みんな一緒に」といった関係性を表しているようです。

よく出会う表現にふさわしい定訳を見つける、あるいは創り出すのと同時に、その表現が全体の中でどのような役割を果たしているのかを見極めて訳出するスキルも、文章全体の品質を向上させる上で必要です。

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