コンピュータに感性豊かな翻訳はできるのか?

2014 / 12 / 3 | 執筆者:Masako Maeda

Photo by david pacey

先日、新聞で「コンピュータに小説を書かせよう」という面白いプロジェクトがあることを知りました。短編小説(ショートショート)で人気を博した星新一さんの作品を分析して人工知能に同様の小説を書かせ、あわよくば匿名で文芸賞に入選させよう(!)というかなり真剣な取り組みです。

星さんの作品には起承転結があって構造が分かりやすいこと、また1000編に及ぶ作品をデータベース化して単語や文章の長さなどを解析できることから、書き方の体系化、プログラミングが可能なのではないかというのです。

これを読んで真っ先に頭に浮かんだのが、機械翻訳です。コンピュータに「創作」ができるのなら、「読みやすいこなれた翻訳」もできるかも?でも、定型表現の繰り返しならまだしも、メッセージ性の高い原文の真意を汲み取って、その熱まで伝えるような翻訳が果たして機械にできるのか…?

世界中の人々がまるで自分の隣にいるようにダイレクトにつながる。

People continents apart can communicate as if they were neighbours.

最近、ネイティブ翻訳者の英訳をチェックしていて見つけた素敵な表現のひとつです。「世界中の人々」にpeople continents apartと気の利いた訳をあてたり、「自分の隣にいる」をneighborsと名詞形にしたり。ちょっとしたことですが、訳文からは遠く離れた二人が肩を寄せて語り合うようなイメージさえ浮かんできます。

このようなネイティブのセンス(感性)にコンピュータが追いつき追い越すには、どれだけの情報量が必要になるのでしょう?

前述のプロジェクトには、「人工知能にも感性が扱えることを示したい」というもう一つの狙いがあるようです。チェスなどの「理性」勝負では、コンピュータに軍配が上がるまでになりました。今後、「感性」の世界でも本当にコンピュータが活躍する日がやって来たら?人工知能に借用されるような心に響く訳文を提供し続ける、それしかありません!

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