Access and Benefit-Sharing=「(遺伝資源への)アクセスと利益配分」

2014 / 3 / 11 | 執筆者:Futakuchi Kazuko


Photo by Ian Armstrong

2014年が明けてから、ずっとABS(access and benefit-sharing)に関するさまざまな国々の法律の翻訳をお手伝いしています。そもそも遺伝資源、ABSって何? 環境とどういう関係があるの? そんな風に思われる方も多いと思います。

遺伝資源(genetic resource)とは、もともと人間にとっての遺伝子の潜在的な有用性に着目して使われる言葉でした。さまざまな生物の遺伝子は、独自の機能を持つものが多く、医学や生物工学などに応用すれば人間に有用となるものも含まれているからです。しかし、近年は、長い進化過程の末に残されてきた生物の遺伝子は、それ自体が貴重で、人間にとっての有用性に関わらず保護を図るべきと考えられるようになってきました。国によってはこれを「遺伝的な遺産(genetic heritage)」と法律で呼んでおり、貴重な資源と考えていることがわかります。

ABSは正式には「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」です。長いのでタイトルのように短く「アクセスと利益配分」と呼びます。腑に落ちるように考えた結果、貴重な遺伝資源を手に入れるチャンス、そしてそれを使って生み出したベネフィットを分け隔てなく、相応に分けること、と私なりに理解しました。ベネフィットは、経済的な利益(profit)よりももっと大きな意味合いを持ち、幸せのためになるもの(こと)で、便益ともいいます。

そして遺伝資源だけでなく、それを持続可能な方法で利用し続けてきた先住民や地域社会が持つ伝統的知識にも適用が必要だと、この知識へのABSに関する法律が整備されています。道端に生えている草が健康に良い栄養や効果を持っていても、そのことを知っていて、実際に利用する方法を知らなければ、健康にはなれないわけですから、その通りだなぁと思います。先代の知恵、おばあちゃんの知恵ですね。

まだまだ奥が深いABSですが、環境省のEICネットで、わかりやすく説明されていました。難しい法律をきちんと理解しながら翻訳を進める上で、大変参考になりましたので、ご紹介します。
ABSのABC

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