/ アナリスト /  プランナー

佐藤百合枝さん Yurie Sato

エコネットワークス(ENW)で、CSRに関する調査、CSR情報開示の分析・提案などを担当している佐藤さん。米国、フィリピンなどでの多彩な経験や、普段のお仕事の内容、社会課題解決への想いを伺いました。

 より価値のある社会的取り組みを増やしていきたい

-ENWに関わるようになったきっかけは?

CSRの仕事を探していたときにENWがお仕事仲間を募集しているのを見つけ、2013年3月から、最初はフリーランサーとして働き始めました。

-どのような経緯でCSRに関わりたいと思うようになったのですか?

企業は、社会や環境に対して大きな影響力を持つことはもちろん、一人ひとりの暮らしと世界をつなぐ結節点です。企業は持続可能な社会をつくるために重要な役割を担っているので学生時代からCSRには関心がありました。

その関心がさらに高まったのは、途上国で活動をしていたときです。「ミッションがよければよい」「予算消化が目的」といった活動を見るなかで、社会的な取り組みではあまり成果に重きが置かれていないと感じました。企業では、目標達成のためにPDCAを回すことは基本なので、企業が行う社会的取り組みの可能性や、公共/非営利セクターが企業の思考から学べることは大きいと考えました。そこで企業の視点に立って事業活動の仕組みやCSRに関するテーマを一通り学ぶために、CSR分野で働こうと思いました。

-ENWでのお仕事は?

主にCSR情報開示の分析と提案を行っています。具体的には、国際的な報告基準や、社会の流れ、企業動向などをふまえて、より評価される開示方法を提案します。その他には、社会課題や政策に関する調査、ステークホルダー調査、CSRを解説するコンテンツ制作などもしています。

ENWでは国内外の様々な経験・専門性を持った人と協働できるのが楽しいです。社会課題を調査し、具体的な取り組みの検討につなげるプロジェクトや、より多くの人に社会課題について伝えられる仕事に特にやりがいを感じます。

-現在はCSR情報開示分析のスペシャリストとなった佐藤さんですが、そもそも、社会問題や環境問題に関心を持つようになったのはいつごろからですか? 今までの歩みを教えてください。

環境問題に関心を持ったのは、地元のこどもエコクラブで世界の環境問題を知りショックを受けたのがきっかけです。その後、大学では環境問題と経済活動の関わりを学ぶために環境経済学を専攻。経済活動によって多くの問題が途上国で起きていることを知り、開発学も学びました。在学中は奨学生としてカリフォルニア大学に留学し、世界中から集まってきた学生と共に学びを深めました。大学卒業後は企業に就職し輸出業務に携わっていたのですが「もっと社会の問題に直接取り組みたい」という想いが募り、青年海外協力隊に応募し、フィリピンの農村開発に関わることに。その経験から、CSR分野で実務経験を積みたいと考えるようになりました。

フィリピンで暮らした地域の様子。電気はほとんど届かず、水は井戸から汲みます。狩猟採集で生きる民族と一緒に生活したこともあり、彼らの生き方にも大きな影響を受けました。

-協力隊終了後は、ヨガ講師の資格を取ったのですよね?

はい。フィリピンに行く前からヨガを実践し始め、自分の心・身体・精神を自分で整える大切さを実感していました。自分がヨガから学んだことを他の人にも伝えたいと思ったので、ハワイ島で3カ月修行し、ヨガ講師の国際資格を取得しました。

電気も水道もないジャングルで生活しながらの研修では、島で出会った方の紹介で、一晩中溶岩の上を歩いてマグマを見たり、部外者は通常参加できないネイティブアメリカンやペルーの先住民族の儀式に参加させていただいたり…とヨガ以外にもたくさん、貴重な体験をしました。

ハワイ島での生活は「自分が地球の一部である」ということを、身をもって学ぶ機会になりました。いまの私の基盤を作った大切な経験です。

 

ヨガのトレーニングの様子

修行・生活を共にした同期と師匠と共に。

帰国後は、ヨガの教科書の翻訳やヨガ講師をしていました。その傍ら、CSRの仕事をENWで始め、今に至ります。

-多彩な経験が今の佐藤さんを作っているのですね! ここ数年は、ENWのお仕事や、ヨガ講師に加え、大学や研究機関の客員研究員もしているとお聞きしました。どんなお仕事なのですか?

明治大学では、ソーシャルインパクトボンド(SIB)という社会的インパクト投資とインパクト評価に関する海外調査のお仕事をしています。(SIBについて

CSRは主に企業のバリューチェーンに関わる課題が活動の対象になります。CSRの仕事をするようになってからこの点が気になり、公共政策や市民社会の活動の重要性を再認識していました。それらの取り組みを後押しするテーマを仕事で研究できるようになり嬉しいです。昨年は英国と米国に4回調査に行き、社会的投資家やNPO、研究者、政府の方にインタビュー調査を行いました。報告書は日英両言語で順次公開予定です。

公共経営・社会戦略研究所では、実際に社会的取り組みのインパクト評価にも携わっています。

-報告書を読むのが楽しみです。さて、ライフスタイルについてお聞きします。そういえば、肉を食べないことにしているのだとか。

学生時代から肉は控えていたのですが、日本で外食するときは周りに気を遣わせるのが嫌で食べていました。最近は「これがわたしのポリシー」と伝えようと思えるようになりました。

理由はいくつかありますが、まず環境負荷です。家畜を育てるには膨大な資源が必要で、これは何十人分もの食料に相当します。また、自分で狩りをして動物の命から自分の命をつなぐ生き方は尊いと思う一方、現代社会のシステムでは、家畜がモノのように扱われ大量生産されています。そもそも私は自分の手で動物を殺したくないので、食べないほうが気持ちいいです。

-オフはどのようにして過ごしているのですか?

ダンスと山歩きが大好きです。繁忙期でも週に1度、できるときはなるべくたくさんダンスのトレーニングをしています。筋肉一つずつの変化を感じることや、できる技が増えるのが楽しいです。

コンテンポラリーダンスの舞台にて。

山歩きは、低山歩きにちょこちょこ行っています。これは八ヶ岳縦走に行った時の写真です。

-サステナブルな働き方のために大切にしていることは?

行き詰まったとき一人では打開策を見つけにくいので、色んな国や分野の仲間を大切にし、広い視点で意見をもらうようにしています。また、公私ともに人とのつながりから新しい機会や発見があるので、人とのつながりを大切にしています。

-仕事を通じて、今後やってみたいことは?

ENWではCSRの開示に関する業務が多いですが、戦略や取り組みに関する案件も増やしたいです。また、前述した「成果視点の社会的取り組み」について、最初は事業視点で成果が高まると考えていましたが、そうすると利益が優先されて、重要な課題が取り残される可能性があります。

企業活動では「お金」が価値を測る尺度ですが、社会的取り組みでは「支援を受ける人や社会の変化=インパクト」が尺度であるべきです。そこで重要になるのがインパクト評価なので、この考え方をもっと広げていきたいです。

-今後のプライベートでの夢は?

多様性や社会課題に対する意識など、日本では考え方のギャップを感じることがよくあるので、一度、日本以外の国に拠点を移したいと思っています。(取材日18/4/23)

経歴:

大学では環境経済と開発を中心に学び、奨学生として1年間カリフォルニア大学に留学し学びを深める。在学中、米国のアジア女子大学支援財団でDevelopment Specialist Assistantとして翻訳を担当する。卒業後は製造業の輸出部で勤めた後に青年海外協力隊に参加し、フィリピンで有機農業の普及と村落開発に携わる。帰国後、米国にてヨガ講師の資格を取得し、ヨガ講師と翻訳者としてフリーランスで働く。現在は、主にENWで活動しながら明治大学の客員研究員、公共経営・社会戦略研究所の研究員をしている。

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