/  CSR・サステナビリティリサーチャー・アドバイザー

藤原斗希子さん Tokiko Fujiwara-Achren

企業の持続性に関するリサーチや報告書作成のアドバイスをしている藤原さん。今のお仕事をライフワークにするまでの道のり、フィンランド流の子育てや、自然豊かなフィンランドでの生活の魅力について、いろいろお聞きしました。

仕事を通じて、日本とフィンランドの架け橋になりたい

-TSAパートナーになったきっかけは?

2013年にフィンランドに移住する直前、移住後もご一緒できそうな仕事のパートナーを探していたときに、エコネットワークス(ENW)のウェブサイトを見つけました。「個を重視しながら、サステナブルに変化し続ける」というコンセプトに共感し、問い合わせをしたのがはじまりです。移住直後は妊娠、出産に追われましたが、現在、育児と両立しながらゆるやかに関わらせていただいています。

-ENWではどんなお仕事をしているのですか?

主にリサーチ関係の仕事をしています。特に企業のレポートレビュー、情報開示に関するリサーチが多いです。最近は、海外ネットワークをより広げるための「海外専門家インタビュー」を担当しました。「北極圏の生物多様性」のインタビュー記事(記事はこちら

-普段はどんなお仕事をされているのですか?

企業のCSRやサステナビリティに関するリサーチや、CSR報告書に関するアドバイスを、日本の企業にしています。その他には、ウェブサイトRhythmoonのコラム「世界から届く多様な生き方のヒント」などでフィンランドの現地情報を発信しています。

地元では、トゥルク港湾の持続可能な開発に向けたリサーチ・プロジェクトに携わったり、移民や難民問題の勉強会に参加したりして、ネットワークを広げています。

それから、母親業も大事な仕事の1つ。フィンランドでは3歳まで自宅で保育すると補助金がもらえる「在宅保育制度」があるので、これを活用しながらかけがえのない乳幼児の時間を一緒に過ごしています。

子どもと近くの森へ散歩。

-どんなきっかけで、今のお仕事をするようになったのですか?

学生の頃からの環境問題への関心を持ちつつ海運会社に就職したのですが、働いているうちに社会の中の企業活動について興味を持ち始めました。ちょうどその頃、世の中の環境問題への関心が高まり、CSRやサステナビリティの概念が、日本に少しずつ入ってきたこともあって、レポーティングのコンサルティング会社に転職しました。そこでの仕事は、企業のCSRやサステナビリティ報告書づくりの支援を通して組織や社会を変える、というもの。しかし当時はまだ環境報告書が主流だったため、なかなかCSRやサステナビリティの概念を受け入れてもらえず四苦八苦しました。

その後少しずつCSR勉強会を企画したり、社内にCSR部を作るように働きかけたり…と組織にCSRを浸透させるために様々な取り組みを実施しました。企業の方と一緒に、組織やその先にある社会を変えるための支援は本当に面白く、大きなやりがいを感じ「これを自分のライフワークにしよう」と決意。今に至ります。

-今はどこに住んでいるのですか?今住んでいる土地の魅力を教えてください。

フィンランド南西部の都市トゥルクです。フィンランド人の夫と結婚して2013年に移住しました。トゥルクはフィンランドの古都で、歴史ある港湾都市。大小さまざまな島(群島)があり、その地形を活かしたヨットレースなどのマリンスポーツも多数開催されています。

住んでいて便利なのは、港、駅、空港、ショッピングセンターなどに、町の中心部から車で30分以内で行ける点。自宅から歩いて5分かからないところに森があるのも気に入っています。市がサステナビリティ活動に積極的だったのも、嬉しい驚きです。2040年にカーボンニュートラルを達成することを目標にしており、EUからSustainable Cityに選定されているんですよ。

トゥルクの街中を流れるアウラ川。奥に町のシンボルのトゥルク大聖堂が。

10月ごろのトゥルク城。この後一気に暗くなり、南西部では1日6時間ぐらいの日照時間となります。

-サステナビリティに関するお仕事をするには最高の環境ですね! フィンランドは子育て、教育制度の面からも注目されていますが、実際、子育てしてみてどうですか?

フィンランドはベビーカーでバスに乗るのが無料で、カフェやレストランにも離乳食用のレンジが置いてあり自由に使えるので、生まれた直後から外出しやすかったです。

面白いのは、外遊びを重視しているところ。こちらでは、雨でも雪でも公園や散歩に行くので泥んこになるのが当たり前。幼稚園や保育園でも、森の散歩が日々の活動に入っています。冬でも-20度を超えなければ、外で遊んでいるんですよ。

-みなさん、おおらかに子育てを楽しんでいらっしゃるのですね。藤原さんは家で仕事をしながら3歳のお子さんを子育て中ですが、仕事と子育ての両立で工夫している点は?

逆にみなさんに聞きたいくらいですが(笑)、我が家の場合は、家族との協力体制づくりを工夫しています。夫も自営業なので家事も含めて役割分担をしています。

他に工夫している点としては、子どもの昼寝の時間に集中して仕事をすることと、早起きですね。フィンランド時間の早朝はちょうど日本の就業時間にあたるので、夜は子どもと同じくらいの時間に寝て、早起きしています。

-このインタビューもフィンランド時間の5時半からのスタートでしたよね。朝からありがとうございます。次に、OFFの過ごし方を教えてください。

思い切り、大自然を楽しんでいます。りんご園を経営している義家族のサマーコテージで、夏はボートで島めぐりをしたり、BBQやサウナを楽しんだり、ハンモックで昼寝したり。秋は森でベリー摘みやきのこ狩り、りんごの収穫の手伝い、冬はそりすべり…とフィンランド流のサマーコテージライフを満喫しています。

あと、家から森まで5分もかからずに行けるので、よく森に散歩に行きます。これは日本では考えられなかったことで、恵まれた環境に感謝しています。

夏は島巡りでリラックス。

義家族の森にて。子どもが大好きなブルーベリー狩り。

9月下旬ぐらいからリンゴの収穫が始まります。

-サステナビリティに関して、フィンランドと日本には、何か違いはありますか?

ありますね。日本は企業のCSRを率先することで、日本社会に少しずつ「サステナビリティ」の概念が浸透してきました。

一方フィンランドでは、人口も資源も少ないためか、企業の「社会的責任」を果たす、というよりは社会全体の「持続可能性」のために環境・社会活動をおこなう、イノベーションを起こすという意識が強いです。国や企業が持続可能性へ向かうには、革新性や創造性を用いた改革が必要、という認識があります。「CSRのリサーチ」と言うと「CSRって何?」と聞かれて説明すると「それって企業のサステナビリティに関する活動のことですね」と納得しつつ、CSRへの興味を示す人が多いですね。

-なるほど。アプローチの違いがあるのですね。最後に、日本とフィンランドのCSR、サステナビリティに取り組む藤原さんの今後の夢を教えてください。

現在の専門分野である、企業の持続性についてもっと深めていきたいです。また、フィンランドのような小国家が、どのようにして持続可能な国家を目指しているのかの理解を深め、日本に発信していきたいです。フィンランドでも日本の取り組みを伝え、両国それぞれの課題解決に役立つように架け橋のような役割ができたらと考えています。

2015年に人生で初めて見たオーロラ。2015年は当たり年で南西部でも観測できました。

経歴:

2013年よりフィンランド在住。海運会社に勤務後、学生の頃から関心があった環境問題と社会の中における企業活動に関心を持ち、CSR/サステナビリティレポーティングのコンサルタント会社へ転職。結婚後フィンランドへ。主に企業の持続性についてのリサーチやアドバイス、コーディネーションを行っている。(取材日2017/4/10)

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