/ 翻訳者

ランディ・ヘルテンさん Randy Helten

カナダ・バンクーバーで暮らす翻訳者のランディ・ヘルテンさん。日本のNGOと共に環境活動をしながら、翻訳者として環境・サステナビリティに関する和英翻訳を続けています。環境やサステナビリティ、市民運動への想いなどをじっくり伺いました。

翻訳と環境活動を通じてサステナビリティを広めたい

-エコネットワークス(ENW)にはいつから参加したのですか? きっかけは?

エコネットワークス(ENW)が2002年に発足したころから参加しています。当時の代表の小林一紀さんと、現在の取締役の二口芳彗子さんからお声がけいただきました。2人とは、ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)ができた頃から一緒にお仕事をしていたのですが「主に環境やサステナビリティに関する翻訳をする」という仕事内容を聞き、ぜひ参加したいと思いました。その頃からずっとENWに関わっているので、もう15年以上のお付き合いになりますね。

-来日されていたのはいつ頃ですか?

カナダのブリティッシュ・コロンビア大学を1988年に卒業した直後、昔から大好きだった日本でビジネスと日本語を勉強するために、来日しました。マーケティング専攻だったので、最初はコンサルティング会社に入社し、東京で働いていました。日本語の他に環境問題にも昔から興味があったので、仕事以外の時間は国際環境NGO FoE Japan熱帯雨林行動ネットワークに入り、活動に参加していました。まだ日本語が完璧には分からなかったので、メモを取りながら環境に関する会議に参加したのですが、これが自分の日本語力を上げる大きな力となりました。

その後、環境・森林問題がますます大変になっていく様子を目の当たりにし、コンサルティング会社の仕事を辞め、環境活動に本腰を入れることにしました。環境活動だけでは食べていけないので、活動のかたわら、環境とロックンロールがテーマのラジオ番組のDJをしたり、翻訳の仕事をしたり、マーケティング会社の手伝いをしたりと、様々な仕事をしました。その間に今、代表理事として関わっている FoE Japanの事務局長を務めていた時期もあります。

-環境に関する様々な仕事を日本で体験したのですね。その後、いつごろカナダに戻ったのですか?

1999年の11月にカナダ・バンクーバーに帰国しました。2000年には息子が生まれ、今まで子育て、翻訳の仕事、余裕があれば市民活動をして…という生活を続けてきました。普段は自宅の窓のそばの自然光の当たる小さなホーム・オフィスで働いています。

-現在は、主にどんなお仕事をしているのですか? それぞれの仕事のやりがいを教えてください。

ENWではCSR報告書や環境レポート、企業のイントラネットの記事の英訳をしています。それ以外には、企業や大学の環境関連のレポートの英訳などの仕事をしています。もともと言語学に興味があり、言葉の背景にある文法や文化の知識を深め、世界の多様性を感じられるのがとても楽しいです。

また、FoE Japanの仕事として環境保護のキャンペーン活動をしています。日本の若い人たちが知識と情熱を持って行動している姿を応援できるのが嬉しいです。

-ランディさんの目には、日本の市民活動はどう映りますか?

私は日本の市民活動が大好きです。市民活動をしている人の中には「世界を良くしたい」というモチベーションが高い、素敵な方がたくさんいらっしゃいます。また、森林保護活動に仏教関係の方々が参加しているのを見た時は、感動しました。カナダで生まれ育った僕の目には、日本の仏教、神道の考え方は自然に近い宗教に映ります。だから、日本人はその精神を持ちながら、環境活動をしているのだと思います。

-なるほど。日本人の宗教観が森林保護と密接に関わっているのですね。次に、今住んでいる場所について聞かせてください。今住んでいる場所と、その魅力は?

今住んでいるバンクーバーは、先住民族が7000年以上住んできた土地です。そうした先住民族の時代から歴史を感じられる場所と、新しい文化を感じられる場所が混在している点が面白いです。

また、山、海、森があるのも大きな魅力です。翻訳中は机に座ってコンピューターのキーボードを叩いている時間がほとんどですが、休憩の時には家の外に出て山、海を見ながら散歩することができます。こういう豊かな時間が持てるのは、本当にラッキーだと思います。

自宅から歩いて10分くらいの場所にビーチがあります。

夏の夕方にはビーチヨガのイベントがおこなわれました。

近くの夜景、イングリッシュ・ベー、バンクーバー ( Burrard Bridge, English Bay)

近くに散歩できる森があり、ペットの犬2匹を連れてよく散歩しています。

-オフはどのようにして過ごしているのですか?

オフの時は水泳、犬の散歩や読書をしています。ブルースハープを弾くのも大事な時間です。また、カナダの市民運動にも参加しており、市役所の政策のモニタリングや政治献金を禁止するキャンペーンなどをおこなっています。2011年には「根深い問題を市長の立場で何とかしたい」と思い立ち、バンクーバーの市長選に立候補しました。当選しませんでしたが、たった5週間の選挙運動で全体で3位の得票数を獲得でき、良い経験になりました。

-サステナブルな働き方のために大切にしていることは?

翻訳の仕事をやめないこと。自分が成長できるいろんなことに興味をもつこと。自分が面白いと思う仕事をすること。これら3つを大切にしています。

今飼っている2匹の犬はとてもいい雰囲気を作ってくれるので、サステナブルな生活に欠かせない存在です!

-今後の夢は?

夢は、ずっと、翻訳を楽しみながら、勉強したいことを勉強し続けてくことです。

ENWは、関わっている人たちが環境問題の深刻さを理解しながらも、落ち込まずに、事実、科学を確認しながらポジティブに活動している点がすごいと思います。翻訳する内容もとても面白いので、これからもずっと関わっていきたいです。また、こうした翻訳の仕事で生計を立てながら、地域の市民運動や、地球規模の問題に取り組む環境活動に参加し続けたいです。

子どもが大学に進学して、もう少し時間に余裕ができたら、中国語とスペイン語、先住民族の言葉を勉強したいです。ブルースハープ、ギター、バイオリンも弾きたいです。翻訳に関しては、詩の翻訳もしてみたいです。

家族で農地を少し持っているので、オーガニック農業をやりたい若者を探して、一緒に農家をやり、夢を応援したいです。日本の農家との交流もしてみたいです。(取材日17/11/2)

経歴:

自然豊かなカナダの西海岸で育ち、世界を回り、人生観を培う。大学卒業後、日本に渡り、東京でのコンサルティング会社勤務やラジオDJの経験を経て、環境問題に対する熱意の高まりから環境保全関連のNGO活動に参加。現在は、環境保護活動のかたわら地球環境や持続可能な社会に関する和英翻訳をしている。「気候変動などにより、人類や地球の状況はこれからもっと大変になるため、アドボカシー(政策提言活動)がより重要になる」という想いから2009年から国際環境NGO FoE Japanの代表理事を務める。現在、カナダ・バンクーバー在住。
Helten Communications Inc.

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