/ プロジェクトマネジャー、リサーチャー

岡山 奈央さん Nao Okayama

アジアのさまざまな場所で学んだり、働いたりした後、環境分野の研究員を経てエコネットワークスでリサーチやプロジェクト・コーディネートの仕事に携わっている岡山さん。今までの仕事で得たことや、今後やってみたいことをお聞きしました。

-エコネットワークス(ENW)との出会いは?

ENWに出会う前は環境分野の研究員の仕事をしていたのですが、結婚、出産、パートナーの転勤などのライフイベントが続き、「以前の経験を活かせて、できれば在宅でもできる仕事を探したいな」と思っていました。そのような折、偶然エコネットワークス(ENW)のウェブサイトを見かけました。当時は在宅で翻訳の仕事もしていたのですが、環境を含めた社会課題について、より根本的な原因を探り、解決策を見出したい、という思いが強まっていた時期でもありました。ENWの目指している方向性は私の思いと重なる部分も多く、しかもリモートワークで仕事ができる、ということで、問い合わせをしました。2015年の冬のことです。

-普段はどんなお仕事をしているのですか?

サステナブルな社会構築に向けた企業へのご支援で、分野は多岐に渡ります。例えば、ある企業がサステナブルな戦略を立てたい、という目標をお持ちになった場合、海外グローバル企業のベンチマーク調査、社会的な背景などの調査をしながら、その企業に合った長期的な戦略を一緒に考えます。その後、その戦略の情報開示に向け、現状の情報開示のレビューや、ステークホルダーによる意見の分析、GRIなどのスタンダードを踏まえた開示の提案、内容の執筆などをおこないます。クライアント企業がすべき取り組みを一緒に考え、組み立てていく仕事が多いですね。

-幅広い分野のお仕事をしているのですね。ところで、どんなきっかけで世界の環境・社会問題に興味を持つようになったのですか?

子どもの頃は、父親の仕事の関係でいろいろなところに住んでいました。小学6年生から中学2年生まで韓国・ソウルで過ごしました。外見はとても似ていても、習慣や文化は異なる点がたくさんあり、その“違い”に魅了されました。他の国や文化への興味が芽生えたのは、この頃です。

その想いは変わらず、大学の学部時代には香港の大学への交換留学や、ニューヨークの国連でのセミナー受講などを体験。次第に「グローバルな社会課題を、国境、人種を超えて、世界の人たちと力を合わせて解決したい」と強く思うようになりました。

-大学卒業後は、どんなお仕事をしたのですか?

中国の経済特区である広東省の深セン市にある日系の民間企業に勤務しました。そこでは企業の環境・品質管理に携わるようになりました。上司や同僚など周りは中国の方ばかり。一方、メールでの連絡や会議などでは世界中の支社と英語でコミュニケーションという状況で、英語も中国語も自然に身に付いていきました。周りの人はとても親切で、大好きな仕事だったのですが、中国の目覚ましい経済発展を目の当たりにし「アジアが発展する中で日本と同じような公害などの問題を起こしてほしくない」と考えることが多くなりました。そして、3年半ほど勤務した後にその会社を退職し、国連環境計画(UNEP)と上海の同済大学(Tongji University)が共同で設立した修士プログラムに入学することに。大学院には世界中から国際機関の方が講師としていらっしゃり、ビジネスがもたらす社会・環境への影響について学びました。2年目には、インターンとしてバンコクのUNEPで1年間経験を積みました。タイの大手小売店による環境問題への取り組みの支援などをおこない、実際に企業による取り組みに触れたりと、とてもやりがいを感じました。

小売店でのシンポジウム。自作のイラストが入ったパネルの前で。

インターン後は、そのままバンコクで国際機関に勤務するという選択肢もありましたが、日本の政策についても勉強する機会がほしいと考えていたため、帰国することに。神奈川県の地球環境戦略研究機関(IGES)に特任研究員として勤め、日本によるアジア地域への環境協力に携わりました。

-その後、結婚、出産を経てフリーランスになり、ENWでお仕事をするようになったのですよね。どんなところにやりがいや面白さを感じますか?

どのようなトピックに関する案件であっても、まだ日本語になっていない記事を英語で読みこみ、最先端の情報を知り、それを分析し、伝える、ということ自体に大きなやりがいを感じます。

「やるべきとはわかっているが、どのように取り組めばよいのか」という思いを抱えていらっしゃる企業の方に自分たちができる支援を提供できる。それにより、社会が少しずつ変わっていく。こうした変化に携われていることが、とても嬉しいです。

-オフの過ごし方は?

週末は家族で自然散策に出かけることが多いですね。子どもがもう少し大きくなったら、家族で山登りにも挑戦したいです。

また、海外にいた間はお休みしていましたが、小さい頃から鍵盤楽器を習っており、今もピアノを細々と続けています。仕事に行き詰まってくると、ピアノに向かい2~3曲弾いています。ジャズが大好きなので、子どもが大きくなったら、ジャムセッションなどにも参加したいと目論んでいます。

-サステナブルな働き方のために大切にしていることは?

普段はPCに向かいっ放しなので、休日はなるべく自然の中で体を動かすことを心がけています。また、通勤がないので楽なのですが、その分、仕事が終わった後の切り替えが難しいと感じています。意識的に頭を切り替えてから、子どものお迎えにいくようにしています。

企業の有識者ダイアログの仕事をしているときにお聞きしたのですが、日本人は毎日の残業を均等に少なくすることを目指しがちなのですが、たとえ残業が多い日ができてしまったとしても、週1日だけは完全に残業なしの日を意識的に作ったほうが、リフレッシュ効果は高いそうです。私も「この日は午後を休みにしよう」という風にまとまった休みを作ったほうが、頭が切り替えられるかな、と考えるようになりました。そうした休み方を模索中です。

-今後やりたいことは?

ずっと関心を持っているのは、サプライチェーンの情報開示です。サプライチェーンに関する透明性の欠如が、消費者の無関心を引き起こす重要な要因の一つではないかと考えています。そうした無関心が、世界中で環境破壊や、強制労働などの人権問題を引き起こしてしまう一因だと考えています。

ただ、近年では、SNSによる情報の広がりや、NGO/NPOの厳しくも公正な監視などにより、より多くのステークホルダーが情報に容易にアクセスできるようになってきています。間接的であっても、こうした問題に加担していることが発覚すれば、企業の持続的な経営にも大きな影響が出ます。そうしたことから、先進企業はサプライチェーンの情報開示に積極的に取り組んでいます。

日本社会でも、中小企業を含め、こうした問題に真摯に取り組む企業が選ばれるようになってほしい。そうした社会の実現に向け、自分のできる支援をしていきたいと考えています。また、そういったサプライチェーンの課題を、分かりやすく子どもたちに伝える仕事もしてみたいと思っています。(取材日19/1/23)

経歴:

父親の仕事の関係で小学生~中学生にかけて韓国のソウルで過ごす。その後も、大学在学中に香港の大学に交換留学をしたのをきっかけに、アジアのさまざまな場所に住む。経済特区である中国広東省の深セン市で民間企業に勤務し、企業の環境・品質管理に携わる。その後次第にアジアを中心とする途上国における環境・社会問題について本格的に勉強したいと思うようになり、国連環境計画(UNEP)と上海の同済大学(Tongji University)が共同で設立した修士プログラム(UNEP-Tongji Institute of Environment for Sustainable Development(IESD))に入学。1年次は上海で講義を受け、2年次は在バンコク(タイ)の国連環境計画アジア太平洋事務所(UNEP ROAP)にて1年間インターンを経験。その後帰国し、神奈川県の地球環境戦略研究機関(IGES)に特任研究員として勤務し、アジアへの環境協力に関するプログラムに携わる。その後2015年からENWでリサーチやプロジェクト・コーディネートの仕事に携わるようになり、現在に至る。

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