松橋 佳奈子さん Kanako Matsuhashi

食やまちづくりの分野に詳しく、リサーチ分野で活躍しているTSAパートナーの松橋さんは、お住まいの名古屋市で「養生ごはん」を広める「養生キッチンふうど」の活動を主宰しています。「養生ごはん」とは一体、どんな「ごはん」なのでしょうか?

つくる人もたべる人もまあるくなる「養生ごはん」を広めたい

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―松橋さんが主宰している「ふうど」とはどんな活動ですか?

愛知県名古屋市を拠点に、料理教室や食のワークショップ、風土食のリサーチ、冊子作成などを行っています。「つくる人もたべる人もまあるくなる」をコンセプトに、薬膳の考え方をベースにしながら、身近な材料で気軽につくれる「養生ごはん」を伝える活動です。

―「ふうど」の活動をはじめたきっかけ、活動の目的は?

大学卒業後から公園の設計に関わる仕事をしており、その頃から自然の持つ力や薬草・薬木に関心がありました。また、子どもの頃から料理が好きだったため、いつか薬膳など食の勉強をしたいと思っていました。薬膳を学ぶ直接のきっかけは、32歳前後のころ仕事と家庭のことが忙しくなり体調不良を感じたことです。食欲が出なくなり体重が減ってしまったのです。何とかしたい、と思っていた時改めて薬膳ことを思い出し、仕事をしながら本草薬膳学院で学びました。前からやってみたかった勉強でとても楽しく、実践しているうちに、気づいたら心身ともに健康になっていました。

こうした経験をもとに、まわりの人にも薬膳の養生ごはんを伝えたい、と思い「養生キッチン ふうど」の活動をスタート。最初は月1回の料理教室だったのですが、だんだん増え、今は月5、6回開催しています。最近は個人のご自宅や企業からの出張教室の依頼も増えてきました。

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―料理教室は、どんな内容なのですか?

教室では、少人数で身近な食材を使って楽しくて美味しい養生ごはんを作っています。忙しい人でも毎日続けられるように、薬膳の考え方に基づいた、シンプルで簡単に作れるレシピ、作り置きや、展開できるレシピなども紹介。

参加した方には「教室のレシピはシンプルなものが多いので、アレンジしやすく毎日続けやすいところが気に入っています」「簡単で美味しいのにびっくりしました」といった声をいただいています。(※このインタビューの最後に、デスクワークのおともにもなる、冬の簡単養生レシピを紹介しています。)

―「ふうど」のプロジェクトとして発行した小冊子について目的、内容を教えてください。

料理教室では、身近な養生ごはんを一緒に作りながら、その良さを伝えています。ただ、素材そのものの魅力や、風土食などの手のぬくもりの伝わるレシピの大切さを伝えきれないジレンマがありました。そこで、それらを伝える手段として小冊子の作成を思い立ちました。

その頃、たまたま訪れた愛知県の豊田市足助町に素晴らしい食文化があり、足助町の風土食を伝える小冊子を作るプロジェクトを立ち上げ、助成金に応募しました。

助成金が下りてからは、数名のコアメンバーを中心に、活動に共感したカメラマンなどさまざまな方にもご協力いただきながら、取材の手配、取材、撮影、執筆、デザインを進めました。また、足助町の食文化を語るキーパーソンとの出会いも、取材を円滑に進める上で大きな力になりました。2015年11月、無事に小冊子『豊田市足助町で見つけた、シンプル風土食ノート』を2500部印刷し、配布。食にまつわるストーリーとともに、簡単で作りやすいレシピを載せています。(小冊子の詳細、ダウンロードはこちらから)

冊子見本

冊子の中で紹介している「こも豆腐」です。

冊子の中で紹介している「こも豆腐」です。

足助の名物料理の1つ、五平餅の作り方も載っています。

足助の名物料理の1つ、五平餅の作り方も載っています。

―「ふうど」の活動で、やりがいを感じるのは、どんなときですか?

教室では「おいしかった」「楽しかった」と参加者に言っていただける時はもちろん「家に帰って作ったら、家族が喜んだ」と、また来ていただける時、大きなやりがいを感じます。それから、できた小冊子を取った取材先の方が「なんてことない料理が、こんな風に取り上げられてうれしい」と話してくださったとき。「食」の持つ力やふうどの活動の意味を再確認しました。

―5年後の夢は?

「ふうど」の活動を続けながら、じわじわと確実に、共感してくれる人の輪を広げていきたいです。日本文化に関心のある海外の方向けのフードツアーや食のワークショップなどもぜひ行いたいと思っています。ENWでは、食やまちづくりに関するお仕事をしてみたいです。

おまけ:冬の簡単養生レシピ「ドライフルーツの密膏」

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赤や黒のドライフルーツには、血を補ったり、冬に養生したい「腎」にはたらく食材が多く含まれています。赤ワインは飲み残したもので十分。まとめて作って、少しずつ食べるのがおすすめです。

[材料(2人分)]

なつめ・デーツ・レーズン・カレンズ・クコの実などの赤や黒のドライフルーツ:60g
赤ワイン          75cc
黒砂糖  大さじ1/2
生姜(スライス)         2切れ
クローブ(なくてもOK)        1~2個

[作り方]

1.小鍋にすべての材料を入れて火にかける。
2.中火で約5分煮て、火を止め、そのまま冷ます。

経歴:神奈川県出身。大学卒業後、企業やNPOでランドスケープやまちづくりの仕事にたずさわる。20代半ばで世界30ヵ国以上を巡り世界各地の風土や、自然に寄り添う暮らしや食文化に関心を持つ。30代前半の体調不良をきっかけに薬膳の勉強を始め、国際薬膳師の資格を取得。その後、薬膳の考え方をベースにしながら、気候や体調に合った養生ごはんを伝えるため、NPO非常勤の傍ら2014年から「養生キッチンふうど」の活動をスタート。

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