二口 芳彗子さん Kazuko Futakuchi

みんなに、より幸せな働き方へと進んでほしい

エコネットワークス(ENW)の取締役として、運営と言語関連プロジェクトを担当している二口さん。ENWに出会うまでの道のり、仕事、家事や子育てとの両立の秘訣、お仕事で関わる仲間やお客様への想い…。様々なお話を伺いました。

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―ENWへの参加はいつからですか?

フリーランスとしては2006年から、正社員としては2010年から関わっています。ENWに出会う前、Japan for Sustainability(JFS)のボランティア英訳チームでチームリーダーを半年間務めた際に出会った先輩の翻訳コーディネーターのお声がけで、企業のCSRレポートの翻訳コーディネーターを担当したのがきっかけです。その後プロジェクトのマネージメントまで担当するようになりました。

―それ以前はどのようなお仕事をされていたのですか?

20代は電機メーカーの衛星通信システム事業で海外クライアントへの対応を担当し、その後、結婚、金沢への移住、出産を経て、英語を使う事務の仕事を短時間勤務でしていました。でも、やはり英語をより本格的に 使う仕事がしたくて、30代になってから英語を軸足にした活動を始めました。

その頃は来るもの拒まず、様々な仕事にトライしましたね。家事、子育てをしながらマニュアル翻訳、予備校講師、自宅での英語教室での指導、翻訳コーディネーター、NGO事務局として海外対応などを同時にやっていた時期もあります。漫画『はだしのゲン』の第1巻の英訳を担当したのもこの頃です。私はいつも何に対しても「とりあえずやってみよう」と思うほうなので、30代までは動きながら考える感じでした。

ENWにもっと本格的に関わりたいと思ったのは、一緒に暮らしていた義母が治療法がない病気にかかり、介護が必要になったことがきっかけでした。介護と家事、仕事のバランスを考えたいと、会社に相談したところ「働きやすい形を一緒に作りましょう」と言ってくださったのです。ENWで一緒に仕事をする方は、尊敬できる方ばかりだったこともあり「ここを自分の仕事の場にしよう」と決めました。その後、2012年に私自身が体調を崩した時もENWを辞めることなく、最適な形で働き続けることができました。

もう一つは、翻訳は、最先端の事例だったり、現場でしか知りえないことだったりするので、学べることがとても多いのです。「知りたい」「学びたい」という好奇心が強いメンバーが多く、一緒にワクワクしながら進めています。

2016年のENWキャンプにて。

2016年のENWキャンプにて。

―20代、30代の頃は特にお子さんが小さくて子育ても大変な時期だったと思います。家事や子育てとの兼ね合いは、どのようにしていたのですか?

とにかく1人の時間は仕事をしていました。子どもたちが帰ってきたら家事を始めるんです。部屋を片付けたり、洗濯ものをたたんだり。学校の様子を聞きながら家事をしていると、なんとなく子どもたちも手伝いを始めてくれるんですよ(笑)。料理もよく手伝ってくれました。小学5年生だった息子が、私が英語教室をしている間に夕飯のカレーやお味噌汁を作っておいてくれたときは、本当に嬉しかったです。

家族を家事に巻き込んで、協力してもらったからこそ、日々の生活もなんとか回ったのだと思っています。家族に感謝しています。

―今住んでいる地域の魅力、オフの過ごし方を教えてください。

ENWに参画した時からずっと、金沢に住んでいます。山も海も近く、食べ物の種類も多く、おいしいところが自慢ですね。県外の友達が遊びに来た時に「暮らすのにちょうどいいところだね」と言ったのですが、まさにその通りだなと思っています。

オフの時間は、身体の調子を整えることを特に大切にしているので、ノルディックウォーキングで散歩して、その途中に花の写真を撮るのを楽しみにしています。月2回ヨガのクラスにも通っていますね。

ノルディックウォーキングの一場面。森の中を歩くのは気持ち良いです。

ノルディックウォーキングの一場面。緑の中を歩くのは気持ち良いです。

様々な表情を見せる、アジサイの写真。

様々な表情を見せる、アジサイの写真。

-暮らしを楽しみながら、仕事もしっかり。理想的な環境ですね。ENWではどんな仕事をされているのですか?

ENWでは、言語関連(翻訳、企業の英文CSR関連レポートのレビュー等)のプロジェクトリーダーを担当しながら、言語事業全般を統括しています。言語事業の全体をみて、どういう方向に伸ばしていきたいか、どこを強みにしていきたいか、といったところも考え、代表の野澤さんやプロジェクトマネージャーの前田さんと相談しながら進めています。

CSR・サステナビリティレポートの翻訳で目指しているのは、訳したレポートを読んだ方が「良い訳文だ」と思うのではなくレポートを発行している会社を「良い会社だ」と思ってくださること。例えるなら人形浄瑠璃の黒子のような存在になりたいですね。人形浄瑠璃は、観客が人形のことしか見えなくなったらベストだと思うんですよね。そんな風に、読者が翻訳されていることを忘れて内容を読み取ってくださったら嬉しいです。

ある海外のサステナビリティ専門家が、私たちが初めて担当した英文レポートを読み「今年のレポートは御社の強い意志を感じた」と言ってくださった、とお客様が喜んでくださったんです。そんな時、この仕事をやっていて良かったと思いますね。

-自身がサステナブルに働くために大切にしていること、心がけていることは?

自分が決めている生活リズムをできるだけ崩さないことです。起きぬけの一杯の水、食事、瞑想、ヨガをしてから仕事に入る…といった流れを大切にしています。

チームの一員としては、チーム全体、スケジュールをみて、誰にも過度な負荷がかからないように配慮しようと心がけています。例えば小さなお子さんがいる方は、お子さんが体調を崩して自分も体調を崩してしまうことが多いので、ご家族やご自身の体調不良は早めに言ってもらうようにしています。チームメンバー全員がベストのパフォーマンスを出せるように体調なども含めて理解したうえでサポートし、一緒に仕事をしたいと思っています。

―細やかな配慮をしながら、チームの皆さんと関わっていらっしゃるのですね。二口さんは、今後、ENWをどんな組織にしていきたいですか?

当初から大切にしているのは、仕事仲間の生活時間、ライフスタイル、ライフステージを考えて、業務をコーディネートすること。単に仕事だけのやりとりではなく、お互いのライフステージを思いやりながら、仕事を進められる組織でありたいと思っています。

また、仕事仲間と「チームメンバー」として対等の立場で、常に新しいテーマや業務に挑戦しながら、一緒に成長していきたいと考えています。

組織の形は、いろいろな専門性やスキルを持つ人が星座のようにつながるイメージです。多様な人がさまざまな光をはなちながら、星として輝いている。それがつながって、広がっていくといいな、と思っています。

この写真の北斗七星のようなイメージです。

この写真の北斗七星のようなイメージです。

―ENWの言語事業で今後、やっていきたいことは?

やっていきたいことは、ENWに参加した当初から変わらず「お客様の想い、がんばっていらっしゃる取り組みをより効果的に伝えること」です。

そのために、最近ご好評いただいている英文のレポートレビューを更に充実、発展させていきたいですね。同じことを伝えるにも、ネイティブ読者の視点を考慮した言葉の選び方、構成、表現で伝わり方が変わります。誠実に取り組んでいる組織の想いへの共感が読者の心の中に生まれるように、これまでインパクトのあった事例を取り入れながらご提案しています。お客様の想いの「究極の表現者」を目指し、これからも仲間と共に、終わりのない修行の道を歩いてきたいと考えています。
(取材日2017/2/22)

経歴:
石川県小松市出身。幼少時代に、企業で技術研修を受けるため海外から来日していた技術者が話す「音楽みたいな言葉」を町の郵便局などで耳にし、英語に興味を持つ。セサミストリート(当時は英語のみ)に没頭し、その後10歳から英語学習をスタート、大学では英米文学研究を専攻。卒業後、電機メーカーの通信システム事業で海外企業からの受注・システム運営支援を担当。パートナーの転勤を機に石川県金沢市に移住。地元の翻訳会社で経験を積み、その後フリーランス翻訳者に。環境NGOでの英訳ボランティア活動をきっかけに環境分野の翻訳を志し、2006年からエコネットワークスに翻訳コーディネーターとして関わる。

2010年取締役就任。サステナビリティへの取り組みをより簡潔に効果的に発信するため、コミュニケーションの支援、英文レポートの品質向上のためのレビューを担当。翻訳の品質管理および言語事業を統括する。

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