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世界の社会課題を現地からレポート! 〜豪州編 「ウミガメを救え!グレートバリアリーフの海洋環境」

オーストラリアはインド洋と太平洋に囲まれたオセアニア地方に所属するとても大きな島国です。

その中でもクイーンランド州は一年の320日ほどが晴れであることから”Sunshine State”(太陽の州)と呼ばれ、
一年を通して暖かい気候が続きます。

世界遺産でもあるグレートバリアリーフもそこに位置し、
世界最大級のサンゴ礁地帯と共に豊かな生態系を育む重要な役割を担っています。

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ウミガメと珊瑚

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グレートバリアリーフに生息するトロピカルなマス

しかしながら、地球温暖化による海水温度上昇、工業化による汚染物質の流出、
旅行産業による珊瑚の破壊、ボートからの汚染物質の排出・ゴミの放棄、乱獲により
世界有数の豊かな生態系が近年急速に破壊されてきています。

特に多大なる影響を受けているのがウミガメです。
世界中で7種が確認されており、そのうち6種がグレートバリアリーフ近郊に生息しています。
Flashback turtle(ヒラタウミガメ)の巣は世界中でグレートバリアリーフのみで確認されており、
オーストラリアの法律で6種すべてが絶滅危惧指定されています。

政府はこれを重要視し、ウミガメの保護のために
Recovery Plan for Marin Turtles in Australia (ウミガメ回復計画)を策定。
計画には、乱獲の禁止から、生態系の観察、水質管理、
工場排水、旅行産業によるウミガメへのダメージまでこと細かく記載されています。

特に旅行産業がウミガメに与える影響は多大です。
グレートバリアリーフで最も大きな旅行会社の1つであるCruise Whitsundayはエコツーリズムバッジを取得し
生態系を保護する様々な取り組みをしています。

その活動は病気・負傷しているウミガメを保護、海に帰すだけに留まらず、
スタッフの環境教育、器具の清掃洗剤の選択、船の排水処理、旅行者の教育まで及びます。

私自身もこの旅行会社を5カ月ほど前に使用し、
スタッフの環境知識の高さ、海に入る前の注意事項の細かさに驚いたのを覚えています。

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写真左:Cruise Whitsunday船

また、オーストラリアの教育部門では
海洋生物学専攻者だけでなく、多くの学生が海洋環境について学ぶ環境が整っています。
たとえばクイーンズランド大学では選択授業のなかに海洋生物学が含まれており、…

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生物多様性をめぐる議論の最新動向 愛知ターゲットとSDGs

photo by Dan McKay

以前エコネットワークスでは、
生物多様性に関する地球規模での状況を評価した
地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)の和訳を
担当しました。

現在また、国際的な生物多様性に関する文書の翻訳を担当する機会があり、
最新状況について理解を深めようとグリーンエコノミーフォーラム主催の
セミナーに参加してきました。

「COP12・地球規模生物多様性概況・愛知ターゲットとSDGs/ポスト2015開発アジェンダ~SDGsの在り方・生物多様性に関する各セクターの取組みを考える~」
http://geforum.net/archives/648

生物多様性条約COP12での主要議題や、
2015年以降の国際的な開発目標である
持続可能な開発目標SDGsと生物多様性との関係性などが
セミナーの主なテーマです。

先日発行された地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)で
中間評価がなされているように、
愛知ターゲットで示された20の目標の達成状況は
楽観視できる状態ではないのですが、

●生物多様性の話が自然保護・野生動物保護の話だけでなく、
持続可能な利用の観点から、貧困や開発と結びついた
議論が積極的に展開されていること

●生態系サービスの評価・数値化の精緻化が
少しずつ進んでおり、2018年に生態系サービスに関する
国際的な評価レポートがIPBESから発表されること

●企業の自然資本の情報開示の標準化の動き(CDPやNCC)が
今後数年で急速に進んでいくであろうこと

など、最前線の動向を知ることができました。

生物多様性に関する枠組みは、
気候変動の規制や拘束性を重視した枠組みとは異なり、
より各セクターの主体性を重視し、どのように
動機付けをさせていくかという観点が中心です。

良い面、難しい面の両面がもちろんあるのですが、
2015年9月の発表に向けて議論が進められている
SDGsの目標設定にも大きく影響を与えていくことが考えられます。

引き続き最新状況に注目したい分野です。

※2014年7月に出たオープン・ワーキング・グループ成果文書の仮訳が…

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環境保全プログラムの価値を可視化、損保ジャパンSAVE JAPANプロジェクト

photo by Dave Dugdale

近年、企業の社会貢献活動が本業との関連性をより意識して
戦略的に行われるようになってきているなか、
活動がもたらす価値の把握・可視化(SROI:社会的投資収益率)
への関心が高まっています。

以前ご紹介したゴールドマン・サックス刑務所の取組みのように
雇用などに直接つながる社会プログラムの評価は算出もしやすく
事例が出てきていますが、国際的にも珍しい環境保全プログラムの
社会的価値算出に今回損保ジャパンが取り組みました。

国内初、環境保全プログラムにおける社会的価値の算出~「SAVE JAPAN プロジェクト」の3年間の活動成果を見える化~

対象となったのは、同社が2011年度から取り組んでいる、
全国の環境NPOなどと協働して、いきものが住みやすい環境づくりと
生物多様性への理解向上を目指す市民参加型の
SAVE JAPANプロジェクト」。

環境保全活動への市民参加、生物多様性への理解促進の
変化を可視化し、価値づけ、貨幣化を行っています。

SROI(社会的投資収益)は、生じた社会的価値を、
活動に要した費用で割ることで算出されます。

社会的価値は、環境保全型イベントによって行われた活動に
費やされたボランティアの労働サービスを賃金評価することや
参加NPOの新規入会者数による財政効果、
パブリシティ効果の広告費換算などを通じて算出されます。

計算の結果は、SROIは年々上昇し、取組み3年度目となる
2013年度は1.12と投資額を上回る社会的便益が創出されていることが確認されました。

「SAVE JAPANプロジェクト」の最終目標は希少生物の保護ですが、
短期的成果として保護が達成できるものではないことを考慮し、
生物多様性保全の直接的な評価は行われていません。…

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進む規制の動き 侵略的外来種の対策に向けて

Invasive Species: Stripy Croc
photo by Lizette Greco

アライグマ。マングース。セアカゴケグモ。

「侵略的外来種」とよばれる、
地域固有の生態系に悪影響を及ぼす外来種の規制・対策が、
各地で問題になっています。

日本でも今年6月、法律が改正され、
新たに在来種との交雑種が規制対象になる、
特定外来生物が付着している輸入品への措置が追加されるなど、
対策の強化が進められています。

詳しくはEICネット
「外来生物法の改正 ~外来種対策の強化に向けて~」
http://www.eic.or.jp/library/pickup/pu130807.html

欧州でも、9月に新たな規制案が
欧州委員会より提案されています。

New EU Action to protect biodiversity against problematic invasive species
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-13-818_en.htm?locale=en%E3%80%80

欧州で生息する外来種は1万2千種以上。
そのうち、約15%が侵略的外来種と見積もられています。

生態系への影響の他、経済面でも
健康、インフラ、農業への被害など少なくとも
年120億ユーロの経済損失をもたらしているといいます。

陸続きの欧州では、ある国で対策を進めても、
隣国から新たに持ち込まれれば効果がないため、
加盟国間の協力が大きな課題となっています。

法案では、EU共通の侵略的外来種リストを作ることを提案。
該当種は将来域内で輸入、購入、利用、放出、購入が禁止となります。

他に、防止策として外来種の侵入防止や経路の洗い出しと対策、
早期警戒・対応策として繁殖が確認された場合の駆除など、…

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CBDが報告書を発表 注目高まる「都市化と生物多様性」 

少し前になりますが、
生物多様性条約事務局が都市化と生物多様性に関する
報告書を発表しています。

Cities and Biodiversity Outlook
http://www.cbd.int/doc/publications/cbo-booklet-2012-en.pdf

2000年から2030年にかけて、
世界の都市部は3倍に拡大し、
都市人口は倍増して約49億人に達すると予測されています。

下記の予測を見ていただければわかるように、
これまで、多様な生物種が集まる
生物多様性ホットスポットは都市部と
比較的離れたエリアに存在していましたが、
今後は生物多様性ホットスポットにも
都市化の影響が及んでいくことになります。

■中国とインドの都市化予測


オレンジ…人口集中地域
水色、青…生物多様性ホットスポット
(報告書P13、14より)

しかし2030年までに都市化されると
予測されている土地の60%以上は開発がこれからのため、
低炭素型で資源効率の高い都市開発を促進できれば
影響は限定的に抑えられるとしています。

都市における生物多様性に対する認知は高まってきており、
様々な研究も進んできています。

・ベルギーでは開花植物種の50%以上がブリュッセルに、
ポーランドの鳥種の65%がワルシャワにみられる。

・都市の樹冠面積が10%増えると気温が3~4%低下し、
エアコンに使用されるエネルギーの削減につながる。

・木々が近くにあると子どものぜんそくやアレルギーが
比較的少ない。

など。

報告書では各地の先行事例が取り上げられており、
日本からは金沢市の加賀野菜ブランドを通じた
環境・農業・食の保全と地域活性化の事例が
紹介されています。

持続可能性のどの問題を考えるにあたっても、
今後「都市化」は欠かせない視点です。…

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持続可能なコスメは南米から Sustainable Cosmetics Summit開催 

Green Leaf of a Bio Plant in Nature
photo by epSos.de

世界中の化粧品・コスメ企業が集まって
美容業界の持続可能性について話し合う
Sustainable Cosmetics Summitが次回
9月にブラジルのサンパウロで開催されます。

Sustainable Cosmetics Summit
http://www.sustainablecosmeticssummit.com/Lamerica/

オーガニック製品に関する研究やコンサルティングを行っている
Organic Monitorが事務局を務め、
ロレアルやエイボン、P&Gなど、
世界中の化粧品・化学・小売・包装・認証業界から参加者が集まります。

今回の会議のテーマは、「生物多様性と倫理的な調達」。

原材料調達は世界的に関心が高まっている分野であり、
化粧品メーカーにとっては製品の原材料の供給源ともなるため、
避けては通れないテーマです。

ご存知のように、ブラジルは生物多様性の宝庫で、
近年、新たな製品開発を目的に
ロレアルやユニリーバ、ジョンソン&ジョンソンなどの企業が
現地に研究開発センターを相次いでオープンしています。

規制の議論はなかなか進んでいませんが、
個別の企業では色々な取り組みが出てきています。

ブラジルの化粧品最大手のナチュラ(Natura)は、
今年の世界で最も持続可能な企業の2位に選ばれており、
様々な生物多様性保全・調達プログラムを展開。

アニュアルレポートでは、事業を通じて生み出された
経済・環境・社会の側面のプラスとマイナスの価値を、
「Natura Value Chain」と定義し報告するなど、
独自のフレームワークでの取り組みは参考になります。

その他にも、化粧品第2位のグルッポボチカリオ(Grupo Boticario)や、…

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世界の「生物多様性」の認知度は?

sweet fragrant memories now
By daveeza

生物多様性(Biodiversity)という言葉。
日本では2010年のCOP10を機に、一般にも少しずつ知られるように
なってきましたが、世界ではどうなのでしょうか。

生物多様性に配慮した原料調達を推進するNPO Union for Ethical BioTradeが
米仏独英韓日ブラジルの各国1000人を対象に行った調査によると、
全体の70%が「耳にしたことがある」と回答しました。

また国連の生物多様性年(International Year of Biodiversity)を
耳にしたことがある人は全体の30%にのぼります。

bd_poll.jpg
消費者や企業による生物多様性への意識に関する調査
“Biodiversity Barometer”
http://www.ethicalbiotrade.org/dl/BAROMETREpourWeb_2011_EN.pdf

国別では特にブラジルやフランス、韓国で高い数値が出ており、
また収入レベル、教養レベルが高く、若い人ほど認知度が高いです。

国ごとの違いも特徴的です。
・ブラジルの人は自国が世界で最も生物多様性が豊かな国であることを知っている
・ドイツの人は生物多様性=オーガニックと狭くとらえる
・米国の人は人の多様性と混同しがち
・英国の人はバイオテクノロジーと混同しがち

全体の半数が生物多様性についてテレビやドキュメンタリーを通じて知ったと回答しており、
企業のブランド・コミュニケーションを通じて知ったと答えた人は8%。

24%が生物多様性による恩恵(自然の価値や原材料としての価値)などの
ポジティブなメッセージを受け取ったほうが
行動モチベーションにつながるとも答えています。

世界の美容関連企業トップ100社のうち、
生物多様性に関する報告を行った企業は13%から27%に増加と、
企業の対応も少しずつ進んでおり、生活者も約9割が
化粧品企業の原料調達について知りたいと答えています。

一方、化粧品企業が持続可能な方法で原料調達を行っていると
考える人は40%どまり。

生物多様性に配慮した製品を通じたコミュニケーションには…

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「ロゴを守れ!」キャンペーン

ファッションブランドLACOSTE、
保険会社MAAF、自動車メーカーPEUGOT...

これらの企業に共通するのはなんでしょう?

答えは「動物」のロゴを使用していること。

フランスで「Save Your Logo」という
キャンペーンがスタートしました。

Save Your Logo

動物をロゴに使用している企業などの組織が、
ロゴのモチーフになっている動物を
保護しようという取り組みです。

パートナーとして参加する企業は、
寄付金を提供して、団体を通じて
世界各地で行われている野生生物保護の取り組みを支援します。

これまでに

LACOSTEがワニ、MAAFがイルカの保全活動に
それぞれ取り組むことを表明。

その他にも、
スキーリゾートを運営するVal d’Iséreはタカ、
ファッションブランドのBobbiesはペリカン、
またリヨンのサッカーチームが試合で
キャンペーン仕様のユニフォームを着用してアピールするなど、
活動は広がりを見せています。

象徴的な種に対する取り組みを生物多様性保全活動の柱に据えることで、
活動がブランド化して広まっていく事例は日本でもいくつか出てきていますが、
「ロゴを守ろう」というシンプルな発想はわかりやすく強いメッセージとなっています。…

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