サステナビリティ・CSV経営とガバナンス」カテゴリーアーカイブ

どうする? 中小企業のCSR 私たちの場合

Delegation Checklist
photo by Crispy

私たちは普段、主にグローバルに展開している大手の企業さんと
CSR・サステナビリティに関する仕事を
ご一緒しています。

ですが、たまにふと立ち止まって考えることがあります。

では、自分たちはどこまで実践できているのか?と。

組織の規模の大小問わず、
社会において果たすべき責任、
また持続可能な社会と組織を目指す上で取り組んでいくべきことは
たくさんあります。

やはりCSR・サステナビリティを語るのであれば、
自身もしっかり実践していかないと説得力もありません。

では実践する上で何を参考にしたらいいのか?ですが、

・情報開示に関するガイドライン GRI
・組織の社会的責任に関する国際規格 ISO26000

などは内容が専門的で、ボリュームも多く、
小さな組織にはハードルが高いと思います。

小さな組織にも参考になり、とっつきやすく、
そして私たち自身も実際に参考にしているのが、

●「日本にいちばん大切にしたい会社」がわかる100の指標

法政大学の坂本教授たちのグループが、
「人を幸せにする経営」を実践している中小企業の経営を
100の指針にまとめたものです。

構成は以下の10章。

1章 社員に関する指標
2章 社外社員(仕入先・協力企業等)に関する指標
3章 現在顧客と未来顧客に関する指標
4章 高齢者・女性・障がい者に関する指標
5章 経営者に関する指標
6章 社員の確保・育成・評価に関する指標
7章 福利厚生等に関する指標
8章 社会貢献に関する指標
9章 中長期経営計画・経営理念等に関する指標
10章 経営全般に関する指標

環境の視点は少ないですが、
日本的な企業カルチャーに沿った内容になっていて、
取り入れやすいのではないかと思います。

●B Impact Assessment

もう1つが、米国のNPO B Laboの認証制度B Corporationの
認証基準であるB Impact Assessment

※B Corporationについてはこちらを参照

ガバナンス
労働者
コミュニティ
環境

の4つの分野に分かれていて、全部で200点満点。
80点以上を獲得できれば、B Corporation認証を取得できます。

今年日本でも初めて3社が認証を取得しました。

基準は英語ですが、こちらの記事で一部を内容を紹介しています。
B Corp Assessmentから読み解く 持続可能な企業の要件

米国発の基準ということもあり、
対象とする社会課題や経営の考え方が米国的ではありますが、
参考になる点が多くあります。

上記の指標を参考にしながら、私たちの組織でも実践をしていくべく、
KPIを策定したり、施策を検討したりと、色々と試みているところです。

実際にやっていて感じることは、
すべてを厳格に達成しようとすることは現実には難しく、
また指標はあくまで達成状況を測る基準でしかないということです。

やはり小さな組織にとって大切なのは、
その指標の背景にある課題や考え方を理解したうえで、
関係するステークホルダーも含む自社にとって
本当に大事なことは何か重要な課題(マテリアリティ)を見極めること。

そしてそれを企業の理念や行動指針に明確に位置づけ、
一貫性を持って日々の活動に落とし込むこと。

ではないかと思います。

私たちも上記の基準を参考にしながら、引き続き取り組んでいきます。

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ウォルマート、中国で食の安全の研究に26億円投資

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Photo by Fruitnet.com

世界で広がる「食の安全」に対する懸念。
とくに世界最大の食肉市場である中国は
全世界の豚肉の生産量の50%以上を占めていますが、
食肉に関する安全問題が頻繁に起こり、
消費者も敏感になっています。

世界最大の小売チェーンウォルマートも中国で
ロバ肉にキツネ肉が混入していたことや
通常の豚肉に「有機豚」のラベルを貼って販売したことが発覚し
問題になっていました。

そこでウォルマートは、10月に
IBMと中国の清華大学とともに
豚肉の生産・流通経路を記録する
「ブロックチェーン」というデータベースシステムを開発しました。

データベースでは
生産者や加工工場の情報、出荷数、消費期限、保存温度、輸送情報など
生産地から消費者までのサプライチェーンに関わるすべての情報を
記録・管理することができます。

また、一度データを書き込むと消すことができないため、
書類ベースの管理よりもトレーサビリティが向上することが期待されています。

このデータベースの発表とほぼ同時に
ウォルマートとウォルマート財団は、
中国の食品安全性の研究や教育・コミュニケーションの分野に
2020年までに2,500万米ドル(約26億円)を投資することを発表しました。

食品の安全性を確保するためのサプライチェーン管理技術や、
食の安全性リスク評価モデル、
家畜の病気予防に関する研究を他企業や機関とともに進めていく予定です。

ウォルマートのこの取り組みの背景として
中国での食品安全性検査や肉のDHAテスト、サプライヤーの監査に
2013-2015年で5,000万米ドル(約55億円)ものコストがかかっていたことや
中国の消費者ニーズをうまく捉えられずに中国市場に苦戦してきたことがあります。

ウォルマートのCEOは昨年、
「中国はウォルマートにとって戦略的市場であり、
中国で”最大”の小売店ではなく、中国で”最も信頼される”小売店になることを目指す」
とコメントしており
食の安全分野で他社との差別化を図っていく狙いのようです。

———

参照
“Walmart and IBM Are Partnering to Put Chinese Pork on a Blockchain”
http://fortune.com/2016/10/19/walmart-ibm-blockchain-china-pork/
“Walmart, IBM and Tsinghua University Explore the Use of Blockchain to Help Bring Safer Food to Dinner Tables Across China”
http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/50816.wss
“Walmart accelerates China expansion”
https://www.ft.com/content/85103bcc-ee24-11e4-987e-00144feab7de
“Wal-Mart to Invest $25 Million in China Food Safety Research”
https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-10-19/wal-mart-to-invest-25-million-in-china-food-safety-research
“Wal-Mart to triple food safety spending in China after donkey meat disaster”
https://www.washingtonpost.com/news/morning-mix/wp/2014/06/17/wal-mart-to-triple-food-safety-spending-in-china-after-donkey-meat-disaster/

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LIXILが挑む世界のトイレ問題 経済損失は22兆円

The squat toilet - What you need to know when traveling
photo by Mighty Travels

トイレのトラブル8000円〜♪
というCMがありますが、
実際にトイレのトラブル(未整備)が原因で
世界で起きている損失は膨大な金額にのぼります。

約22兆円ー

早期死亡による人的損失、罹患した病気の治療費、
病気による生産性の低下、トイレを探す時間など、
十分な衛生環境がないことにより、2015年には
世界で約22兆円にのぼる経済損失が発生しました。

経済損失の総額はアジア太平洋地域が最も大きく、
インドは1国だけで世界の損失のほぼ半分を占めます。

LIXILグループが国際NGOのWater Aidなどとともに行った調査により
明らかになりました。

衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析
http://www.lixil.com/jp/sustainability/pdf/the_true_cost_of_poor_sanitation_j.pdf

LIXILはこの問題にイノベーションを通じて取り組んでおり、
水をほとんどあるいはまったく使わないトイレを開発。
すでに各国で実証実験や販売に着手しています。

参考:LIXILアニュアルレポート2016 P26〜P27

グループ会社の米American Standard Brandが開発したのが、
新興国向けの簡易トイレ「SaTo」(Safe Toiletの略)。

汲み取り式トイレに簡単に設置可能で、
わずか500ミリリットル未満の水で洗浄でき(通常の西洋式トイレは13リットルが必要)、
流した後はフタが閉まって悪臭や病気を媒介するハエなどの虫が上がってくることを防ぎ、
1台あたりの価格は5ドル未満です。

2012年にフィールドテストに成功した後、
実証実験を重ね、販売をスタート。
今年5月には事業部を設立し、
衛生設備が未整備の地域のNo.1ブランドを目指して
事業展開を本格化させています。

こうしたBOP向けの製品を開発し、事業として発展させていく上で
同社の取り組みには参考になる点が多くあります。

●外部パートナーとのコラボレーション
Water AidやBRAC、Save the ChildrenなどのNGOと協力し、
バングラデシュやケニアなどのアジア・アフリカ諸国で実証実験を実施。
ユーザーからのフィードバックを開発に積極的に反映しました。

●外部資金の活用
研究開発の過程では、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金を活用し、
開発を進めてきました。

●顧客の巻き込み
1台買うと1台が寄付されるコーズ・マーケティングを展開。
“Flush for Good”というキャンペーンを通じて、
50万台以上を寄付しました。

●寄贈して終わりではなく、持続的な視点を持つ
ネパールなど震災の被災地に緊急支援として寄贈しているほか、
復興段階にあるハイチでは、トイレの設置や維持・管理の
育成トレーニングに取り組み、持続的に地域に貢献しています。

●現地で生産する、現地の風習にあわせる
簡単な構造で現地でも生産ができ、2ドル〜5ドル未満の低価格で販売。
地域の習慣にあわせ、便器型や和式型などの製品バリエーションも開発しています。

●トップ&長期のコミットメント
トップもこの課題に強い関心を持って社内外で発信しているほか、
2020年までに1億人以上の衛生環境改善を掲げて取り組みを進めています。

こうした取り組みにより、すでに累計での寄贈・販売台数は100万台を超えました

今後この取り組みをさらにどのように加速させていくのか、注目です。

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内部告発の時代

2011年に起きたオリンパスの巨額損失隠しの事件。

最近では東芝の不正会計の問題などもあり、
すでに過去のことになりつつあるかもしれませんが、
実は内部告発が日本社会に根付くきっかけになったとも
いえる大きな事件でした。

日本における内部告発の状況、
およびオリンパスの内部告発の当事者となった方の手記が
書かれているのがこちらの本です。

「内部告発の時代」

GRIガイドライン第4版では通報制度の設置状況について
細かく開示が要求されていますが、
当事者にならない限り身近ではない仕組みということもあり、
正直なところ、頭では理解しつつ実感に乏しいところがありました。

しかし、この本を読んでその重要性、
そして社内と社会全体で適切な制度を構築する必要性を再認識しました。

オリンパスの事件の概要はこうです。

内部告発をきっかけに、巨額の損失の存在を知った新英国人社長が
真相解明に乗り出そうとした矢先に解任されてしまう。

その後、欧米メディアも高い関心を持ってこの事件を報道し、
内部告発者が続いたことにより、真実が明らかに。
10年以上にわたって1000億円の粉飾が行われていたことがわかり、
最終的には旧経営陣7名の逮捕に至る。

日本企業のガバナンスに対する信頼を大きく揺るがした事件でした。

「告発」という言葉の響きが強いからでしょうか。
密告のような、利己的で悪いことをやっている、
あるいは恩を仇で返すようなイメージがあるからでしょうか。

実際には、内部告発は社会の公益と個人の尊厳
(そして長期的には会社そのもの)を守るためのものですが、
日本ではあまりいいイメージが持たれないように感じます。

英語では「whistleblowing」。

欧米社会と比べると、

・日本は集団への帰属意識が強い
・欧米は契約社会で、会社と個人の責任は明確に切り離されている
・米国では内部通報者に報いる制度がある
(社会が内部通報を積極的に活用しようとしている)

など、社会への浸透度合いや活用状況だけでなく、
その背景となる社会制度にも大きな違いがあります。

日本では、公益通報者保護制度が設置され、10年が経ちました。
・通報者の保護が不十分
・制度はあっても機能していない
・企業側の報復措置に対する罰則がない
など、様々な問題点が指摘されていることを踏まえ、
現在、実効性向上に向けた議論が進められています。

今年3月に第1次報告書が発表され、
夏にはより詳細な事項に関する報告がでる予定です。

「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会 第1次報告書」
http://www.caa.go.jp/planning/koueki/chosa-kenkyu/files/160322_siryo4.pdf

本のなかで、求められるのは信賞必罰、
責任を取るべき経営者がちゃんと責任を取り、
膿を出し切ることが組織の再生と信頼回復には不可欠、
と述べられています。

内部告発そのものよりも、むしろ、
告発があった後の会社(社会)の対応こそが
日本的と言えるのかもしれません。
戦争責任の問題からつながる、責任の所在の曖昧さ。

きれいごとだけでは済まない、難しく奥が深い問題だとは思いますが、
組織にとっても社会にとっても絶対に必要な仕組みであることは間違いなく、
よりよい制度と受け入れ活かす風土を
社会レベル、組織レベルで整えていくことが重要です。

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サーキュラーエコノミー事例発掘プロジェクト 日本での視察をお手伝い

先日、栃木県小山市にあるDOWAエコシステムズのグループ会社
メルテックの工場を訪問する機会がありました。

世界20ヵ国を旅しながらサーキュラーエコノミー(循環経済)のモデルとなる
100の事例を発掘する「Circul’R」という
フランス出身の2人組によるプロジェクトの一環で、
日本の事例を知りたいとの相談を受け、視察をサポートしました。

メルテックの工場では、通常は埋め立てられてしまう
家庭ごみなどを焼却した後に残る灰を
リサイクルしています。

自治体の清掃工場等から運びこまれた焼却灰を
1800度以上の高温で溶融。

それをゆっくりと冷やすことで金属を分離し、
アスファルトなどに使われる路盤材と、
金や銅などの有価金属に再生し、再利用しています。


同社ウェブサイトより)

工場ではとても暖かく出迎えてくださり、
取り組みについて丁寧に説明をいただきました。
この場を借りて改めて御礼申し上げます。

IMG_0379
再生されたスラグ

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原料となる焼却灰

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IMG_0377

今回はその他に、
アミタが南三陸で展開しているバイオマスを起点とした包括的資源循環システムや、
日本環境設計のPLA-PLUSプロジェクトの担当の方にお話を伺うことができました。

今回、フランス語の勉強も兼ねて個人的にお手伝いをしたのですが、
面白いと感じたのは「Circul’R」というプロジェクトの仕組みです。

日本ではこうしたプロジェクトに大手企業が協賛することはほとんどありませんが、
「Circul’R」には、航空会社のエールフランスや水処理・廃棄物処理のスエズ、
MercureやIbisなどを持つホテルチェーンのアコーホテルズなどの
フランス大手企業がスポンサーについています。

スポンサー企業は資金や自社サービスを提供し、かわりに
「Circul’R」は各地で出会ったプロジェクトとスポンサー企業を結び付けます。

各社はこのプロジェクトへの協賛を通じて、世界で起きている
イノベーションを取り込もうとしているのです。
実際に、インドでは現地の起業家とのコラボレーションにより
ホテルでの廃棄物処理のプロジェクトがスタートしたそうです。

私は以前知り合いを訪ねて各国を回る旅をしていましたが、
途中でマラリアにかかって世界半周で中断してしまっているので、
いつかサバティカル休暇でこんな形でまた続きができたらいいな。。。
と思います。

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企業に求められる水リスク管理

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Photo by Moyan Brenn

世界では未だに10人に1人が安全な水を飲むことができません。
また、米カリフォルニア州をはじめ、オーストラリア、中国など世界で干ばつが深刻化しており
2015年の世界経済フォーラムでは、水危機が、気候変動や国家紛争を上回って
今後10年間で世界への影響が最も大きなリスク」に挙げられました。

これから人口増加などによりますます供給の制限が予測される水資源は
多くの企業の生産活動や原材料の生産に影響を与えるため
企業の水リスク管理に対する投資家の目は年々厳しくなっています。

そんな水問題について学ぶために
10月に「JAPAN Water Style」サミットwith「CDP’s Global Water Forum 2015」に参加し
企業の取り組みや、それを評価する世界的投資機関の視点、CDPの2015年報告について聴いてきました。

私が特に面白いと思った点は、
・多くの会社が、水リスクはサプライチェーンにあることがわかっていながら、本社での取り組みしか行っていない。

・サプライチェーンや海外生産拠点の管理が課題である企業が多く、
これからは、特に腐敗が深刻な途上国での水利用に関してどのように確実な調査を行い
その結果を保証するかが鍵になる。
(登壇していた企業のひとつでは、海外の生産拠点向けに行ったアンケートで水リスクの問題がなかった生産地で、
突然水の使用がストップするかもしれないという連絡があったそうです。)

・EUでは近年水道代が上がっているため、企業や投資家だけでなく
個人でも水不足に対する意識が高い。
また、水不足になったときにアフリカ大陸などから難民が増えるのではないかと感じている人も多く、
市民レベルの危機感は日本とは比べものにならない。

・アフリカなど一部の地域では、企業の調査が政府よりも進んでいることがあるため、
地域の水リスクに関する情報を現地政府に共有をすることでも貢献ができる。

・節水の呼びかけや啓発では行動まで変えられないため、快適に使いながら節水できる製品や、
知らないうちに節水できる製品をつくることが大切。(例 TOTOのAir in showerなど)

・いままではいかに水の使用量減らすかに焦点があてられていたが
これからはそもそもその商品になぜ水が必要なのかがポイントになってくる。
(たとえば、水を使わず、微生物で排泄物を分解するトイレの開発など)

・日本コカコーラの「森に学ぼうプロジェクト」のように
自然について学びながら間伐などの森林保全活動に参加ができる
「教育とアクション」が一緒になった取り組みが増えている。

CDPを通して企業に水関連データの情報開示を求めている投資家の数は、
この2011-2015年で4倍に増えました。
2015年8月には、総計2.6兆米ドル以上の資産を運用する欧州・北米の60以上の機関投資家が、
水リスクの管理と情報開示の強化を求める文書を食品飲料企業15社に送付するなど
直接的な働きかけするケースも出てきています。

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化石燃料からの”ダイベストメント”とは?


Photo by Justin Surgent

化石燃料への投資を撤収する「ダイベストメント」の動きが欧米の大学や年金基金で広がっています。

ダイベストメントは、インベストメントの反対で、保有する資産を売却することを指します。

SRIの視点で見ると、いままでにも、
アパルトヘイトに反対し南アフリカ共和国への投資を行わない運動や
住民に被害をもたらす可能性の高いクラスター爆弾や地雷の製造企業を
投資対象から外す運動などが行われてきました。*1

国際NGO「350.org」の「化石燃料ゼロ」キャンペーンによって2012年に始まったこの動きは
まず大学生たちが反応し、2015年時点で、
オックスフォード大学、カリフォルニア大学など欧米の25校以上が
化石燃料関連企業へのダイベストメントを決定しています。

この動きは、今年に入って年金基金にも拡大しており
6月には、世界最大規模の運用資産(9000億ドル)を持つノルウェーの政府年金基金が
石炭関連の株式をすべて売却することを決めました。
(署名組織のリストはこちらから)

一方、ダイベストしてしまうと、投資家でなくなり
企業に対しての対話を行う機会を失うことになるため、
社会・環境面で問題のある企業を放置することになるという考えもあります。

たとえば、カルパース(米最大の公的年金基金であるカリフォルニア州退職年金基金)は、
すぐに投資を引き上げるのではなく、
関連企業が温暖化リスクにどう備えているのか情報開示を求めながら
エンゲージメントに取り組む方針を2014年に発表していました。*2

しかし、2015年9月に、カリフォルニア州議会で、
「石炭の利用は、人々の健康を害し、州の気候変動対策と矛盾するばかりでなく
石炭の価値は急激に下がっており、賢明な年金基金の投資対象ではなくなってきている」として
カルパースとカルスターズ(全米最大の教職員退職年金基金)に
石炭関連の株式をすべて売却するよう求める法案が可決されました。*3
(法案はこちら

この法案がジェリー・ブラウン州知事の署名により施行されれば、
2017年までに収益の半分以上を石炭関連事業から得ているすべての企業を
投資先から排除する必要があります。

カリフォルニアに続いて、
ニューヨークやマサチューセッツでも年金基金に対して同様の動きが始まっており*4
米国では州レベルでも、COP21に向けたダイベストメントへの圧力が強まりそうです。

—–
参照
*1: ESGキーワード ダイベストメント
http://www.dir.co.jp/research/report/esg/keyword/135_divestment.html
*2: Divestment from Fossil Fuels Is Not the Solution
https://www.calpers.ca.gov/page/newsroom/for-the-record/2014/divestment-fossil-fuels
*3: Assembly Sends Coal Divestment Measure to the Governor
http://sd24.senate.ca.gov/news/2015-09-02-assembly-sends-coal-divestment-measure-governor
*4: Coal divestment bill passes California state legislature
http://www.reuters.com/article/2015/09/02/us-california-divestiture-coal-idUSKCN0R226A20150902

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Fortune発表 「世界を変える企業」50社

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photo by George

フォーチュン誌が先日発表した、
「世界を変える企業」リスト(Change the World list)。

競争戦略の一部として国際的な社会課題・環境課題に取り組み、
大きなインパクトをもたらしているCSV先進企業50社が紹介されています。

Change the World list
http://fortune.com/change-the-world/
Introducing Fortune’s Change the World list: Companies that are doing well by doing good
http://fortune.com/2015/08/20/introducing-change-the-world-list/

1位はアフリカでモバイル金融M-Pesaの普及に取り組むボーダフォンとサファリコム。
続いてグーグル、トヨタ、ウォルマート、エネル(イタリア、電気)が並びます。

事業を通じた利益追求が社会課題解決に最もインパクトを与えうるという
資本主義の「よいことをする力」を積極的に評価する試みで、
選出にあたっては、マイケル・ポーター教授らが立ち上げた
CSVのコンサルティングを行うFSGとShared Value Initiativeが協力。

以下の4つの基準で評価がなされています。
・事業イノベーションの度合い
・重要社会課題に対する一定規模の計測可能なインパクト
・企業利益と競争力への貢献
・ビジネス全体に対する重要性

ランキングにはユニリーバ、ナイキ、Novo Nordisk、スターバックスなどの
この分野ではよく名前が挙がる企業のほかに、
多くの途上国の企業が入っていることにも注目です。

ネット通販を通じて多くの農民に
市場参加の機会を提供している中国のアリババ。

低所得者向けに低コスト・短納期で組み立てられるDIYの家を供給する
メキシコのセメント会社Cemex。

インドで点滴灌漑を展開するJain Irrigation Systemsや
アフガニスタンの携帯通信大手のRoshan。

またグーグル、ファイスブック、ツイッターや
クラウドファンディングのプラットフォームを展開する
KickstarterなどのITプラットフォームを提供する企業が
多く選ばれていることも象徴的です。

あと個人的におっ、と思ったのが、19位に入っているサブミラー。
ビール会社ですが、アルコールの存在自体が
社会課題と位置づけられることもあるなかで、
原材料の生産農家や小さな小売販売店など、
バリューチェーンのエンパワメントを通じた共存共栄に
取り組んでいる点が評価されています。

発表された50社に入った日本企業は、3位のトヨタのみでした。

意義あるCSV活動を展開している日本企業も多いですが、
取り組む社会課題の規模感や国際的な文脈における重要性、
また貢献インパクトのスケーラビリティという点で、
今回ランクインした企業と比較すると見劣りしてしまうという課題があると感じます。

大きな社会課題に対し、解決に向けた取り組みの枠組みを創り出し、拡大・発展させていく。
そうしたCSV活動を構想していくにあたり、眺めるだけでも参考になるリストです。

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英製薬大手グラクソ・スミスクライン 世界初のマラリアワクチンを非営利で普及へ

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photo by CDC Global

7月24日、画期的な発表がなされました。

これまで有効とされるワクチンがなく、
長年研究が続けられていたマラリアワクチンについて
世界で初めて「効果がある」と認められたのです。

GSK’s malaria candidate vaccine, Mosquirix™ (RTS,S), receives positive opinion from European regulators
for the prevention of malaria in young children in sub-Saharan Africa

英製薬大手のグラクソ・スミスクラインと
マラリアワクチンの開発に取り組むNPOが共同で開発した
このMosquirix™というワクチン。

欧州医薬品庁から生後6週間〜17ヶ月の子どもに対して有効であるとの審査結果が出され、
現在WHOにて最終のレビューにかけられています。

世界人口の約半数が感染リスクにさらされているマラリア。
毎年、2億人以上が感染し、60万人以上が死亡。
そのうちほとんどはサハラ以南アフリカの子どもたちです。

日本にいるとあまりなじみがないかもしれませんが、
1930年頃までは日本でも存在しており、
戦時中は多くの兵隊が出征先でマラリアにかかり亡くなっています。

マラリアについて(厚生労働省FORTH)

ワクチンが最終的に承認されれば、殺虫剤処理された蚊帳や
殺虫剤スプレーなどとの併用で
マラリア予防に大きな効果が期待されます。

グラクソ・スミスクラインのマラリアへの取り組みの歴史
malaria_timeline

もう1つ画期的なのは、このワクチンからは儲けないと同社が宣言している点です。

販売価格は、製造コストに
研究開発に再投資するために5%の利益を上乗せするのみ。

開発に至るまでに30年以上。
これまでに3.6億ドル以上を費やし、今後さらに
さらに2〜2.5億ドルを投資するとしていますが、
このワクチンそのものからの利益創出は見込まず、普及を優先させ
マラリアワクチン分野における地位確立を目指します。

実は私も、マラリアに感染し、死にかけた経験があります。
ソロモン諸島で感染し、潜伏期間の後ホンジュラスで発症。
現地のICUに3週間以上入っていました。。。助かったのは若さと運です。

今回のニュースを聞いて素直に嬉しく、
一刻も早く承認がなされ、普及がはじまることを願います。

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発表!800人の専門家が選ぶ企業・NGOのサステナビリティ・リーダー

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企業にNGO、そして政府。
サステナビリティの分野をリードしていくことが
期待されるのは、どのステークホルダーか?
また各ステークホルダーでは、
どの企業や組織、国がリーダーシップを発揮しているのか?

そんな疑問に答えるべく、
世界のサステナビリティ・リーダーに関する調査結果が
GlobeScanとSustainAbilityにより発表されました。

The 2015 Sustainability Leaders
http://www.globescan.com/component/edocman/?view=document&id=179&Itemid=591

回答を寄せた世界82ヵ国816人の各分野の専門家が
世界のサステナビリティ・リーダーと評価した企業は、
2位以下に大差をつけたユニリーバでした。

創業者の強い意志のもと、持続可能な事業に取り組む
パタゴニア、そしてインターフェースが続いていますが、
トップと2位の差は年々拡大しているといいます。
(周囲に与えるインパクトという点から、企業規模の大きな
ユニリーバへの期待が高まっているためと思いますが)

トップ10は以下の通り。

Unilever (オランダ/英国)
Interface (米国)
Marks & Spencer (英国)
Natura(ブラジル)
IKEA (スウェーデン)
Nestlé (スイス)
GE (米国)
BASF (ドイツ)
Nike (米国)
Coca-Cola (米国)
Walmart (米国)

地域別にみると、やはり南米ではコスメ企業のナチュラの評価が高く、
アジアではタタ・グループ、オセアニアでは
金融機関からウェストパックがランクインしています。

sl1
The 2015 Sustainability Leaders P14より

どのステークホルダーがサステナビリティの分野で
リーダーシップを発揮しているかという設問では、
NGOや社会起業家に対する評価が高い一方、
各国政府に対しては「影響力を発揮できていない」と
圧倒的に低い評価となりました。

そのNGOの中では、WWFとグリーンピースが
リーダーシップを発揮している2大NGOとして選出。
3位以下にはオックスファムやWRI(世界資源研究所)が続いています。

各国政府では、ドイツがトップ、続いて
スウェーデン・デンマーク・ノルウェーの北欧諸国が上位を独占しています。

企業・NGO・政府問わず、
リーダーシップにはバリューを明示することが不可欠といいます。
ビジョンやコミットメントなしに、成果は得らない。

なかでも企業については、
ビジネスモデルの中核にサステナビリティが位置づけられているかという点が
ますます注視されています。

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「ホンダ センシング」から考える交通安全とCSR

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創業者の本田宗一郎氏の夢であり、
3月末に飛行映像が公開されたホンダジェットが話題を呼んでいます。
世界で初めて機体とエンジンの両方を手がけ、
約50年ぶりの本格的な新規事業参入となります。

他にも、注目を集めているHondaの技術があります。
それが2014年10月に発表された安全運転支援システム
Honda SENSING(ホンダ センシング)」です。

ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせにより、
車体の周辺と遠くの状況を同時に把握。
誤発進抑制や車線維持システムのほか、
電波の反射率が低いため通常は検知が難しい
歩行者も把握できる点が特徴です。

スバルのEyeSight(アイサイト)により急速に広まった
自動ブレーキなどの安全運転支援技術は、
今や標準搭載の機能となりつつあります。

こうした動きを、CSRの観点で捉えるとどのようなことが言えるでしょうか。
ここでは2つの視点について考えてみたいと思います。

1つは、これまでなかった技術の普及による、
安全に対する「期待値」の変化です。

安全運転支援システムが普及したことで、
自動車が提供する安全に対して、生活者に
「ここまでしてくれる」というこれまでとは異なる認知が生まれました。

今後は、自動運転などさらなる自動化技術の発展に伴い、
これまでとは一段違うレベルの「安全」に対する期待が
生まれることは確実です。
ステークホルダーが期待する「安全」をしっかりと理解し、
応えていくことが求められます。

もう1つの視点は、発展度合いにより異なる交通状況に対し、
地域別に対策を行っていくことの重要性です。

こうした安全運転支援技術は、
先進国での話であり、途上国では状況が全く異なります。

途上国に行くと、危ないことはスリや麻薬など色々あるけど、
一番は交通事故、とよくアドバイスされます。
実際に行かれたことがある方は分かると思いますが、
都市ドライバーの交通マナーは日本とは比べ物にならず、
農村地域ではバイク4人乗りも当たり前です。

以前、中国で自動車部品メーカーのダイアログを行った際にも、
交通安全は重要なテーマの1つでした。

損保ジャパン日本興亜は、2012年に発行された
道路交通安全マネジメントシステム「ISO39001」を
世界で初めて取得するほか、NGOセーブ・ザ・チルドレンと連携して
インドネシアで子どもたちに交通安全教育プログラムを実施しています。

「安全」に対してCSRの観点からどのように向き合っていくか。
交通に限らず、今後ますます社会の期待が
高まっていくことが想定されるテーマです。

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多国籍企業の税逃れ対策 OECDが1次提言を発表


photo by Images Money

Google。スターバックス。アップル。
近年国際的に課題になっている多国籍企業の税逃れ問題。

日本でもそうした報道がなされるようになり、
Amazonは消費税を払っていないからという理由で
積極的に国内企業のサービスを利用するようにしている友人もいます。

そうした課題に対処すべく、9月末、
OECDから第一次提言が発表されました。

OECD releases first BEPS recommendations to G20 for international approach to combat tax avoidance by multinationals
http://www.oecd.org/newsroom/oecd-releases-first-beps-recommendations-to-g20-for-international-approach-to-combat-tax-avoidance-by-multinationals.htm

これは多国籍企業が税率の低い国に利益を集め
節税することを防止するために、
G20諸国の要請によりOECDが今年7月に定めた
BEPS(税源浸食と利益移転)行動計画に基づくものです。

BEPSでは、国際取引への制約や、納税者への二重課税など
不当な負担にならないよう配慮した新たな規制により
各国の税源を確保しつつ、租税の透明性を高める手段として
2015年までに取組む主要15項目を定めています。

そのうち、今回は7つの項目について提言が発表されました。

具体的には、企業グループ内での無形資産に関する越境取引や、
グループ企業が各国で支払う税額や知的財産について
各国税務局に毎年の報告を義務付けることで、
グループ内の金融取引の透明化を図るなど、
各国の税法を守りつつも二重非課税となっている状況を
無効化する条約や法律の策定などについて提言しています。

来年には最終案が発表され、OECD加盟国はその後
順次法制化を検討していくことになります。

SRI機関からの調査などで、
納税や政治献金に関する情報開示について聞かれるが、
欧米に比べてあまり進んでいない日本では
どう取り組んでいくべきかわからないという声を
企業の方から聞くことがあります。

私もこの分野は専門ではありませんが、
引き続き動向を注視していきたいと思います。

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環境保全プログラムの価値を可視化、損保ジャパンSAVE JAPANプロジェクト


photo by Dave Dugdale

近年、企業の社会貢献活動が本業との関連性をより意識して
戦略的に行われるようになってきているなか、
活動がもたらす価値の把握・可視化(SROI:社会的投資収益率)
への関心が高まっています。

以前ご紹介したゴールドマン・サックス刑務所の取組みのように
雇用などに直接つながる社会プログラムの評価は算出もしやすく
事例が出てきていますが、国際的にも珍しい環境保全プログラムの
社会的価値算出に今回損保ジャパンが取り組みました。

国内初、環境保全プログラムにおける社会的価値の算出~「SAVE JAPAN プロジェクト」の3年間の活動成果を見える化~

対象となったのは、同社が2011年度から取り組んでいる、
全国の環境NPOなどと協働して、いきものが住みやすい環境づくりと
生物多様性への理解向上を目指す市民参加型の
SAVE JAPANプロジェクト」。

環境保全活動への市民参加、生物多様性への理解促進の
変化を可視化し、価値づけ、貨幣化を行っています。

SROI(社会的投資収益)は、生じた社会的価値を、
活動に要した費用で割ることで算出されます。

社会的価値は、環境保全型イベントによって行われた活動に
費やされたボランティアの労働サービスを賃金評価することや
参加NPOの新規入会者数による財政効果、
パブリシティ効果の広告費換算などを通じて算出されます。

計算の結果は、SROIは年々上昇し、取組み3年度目となる
2013年度は1.12と投資額を上回る社会的便益が創出されていることが確認されました。

「SAVE JAPANプロジェクト」の最終目標は希少生物の保護ですが、
短期的成果として保護が達成できるものではないことを考慮し、
生物多様性保全の直接的な評価は行われていません。

それでもこうして取り組みの成果が
客観的な説得力を持つ形で可視化されることで、
関係者のモチベーションにつながるほか、
周囲の理解も得られやすくなり、より一層活動が加速していくことが期待されます。

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社外取締役の役割とは 経産省ガイドラインを発表


photo by U.S. Department of Agriculture

ESGの文脈で日米欧の企業比較を行う際、
必ず指摘されるのが日本企業のG=ガバナンスの弱さです。

そうした中、日本企業の企業統治システムにおける
非業務執行役員(社外取締役および監査役)に
期待される役割における指針を示そうと、
中間取りまとめとガイドラインが7月初めに経済産業省より発表されました。

コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会の中間とりまとめとガイドラインを公表します
http://www.meti.go.jp/press/2014/06/20140630002/20140630002.html

2009年の東京証券取引所における上場規定の改正以降、
徐々に独立役員(社外取締役または社外監査役)の導入が進められてきましたが、
今年6月に会社法改正が成立したことにより
今後はより積極的に社外取締役の導入が促進されていきます。
調査では、6月時点ですでに上場企業において74%の企業が
社外取締役を1名以上選任しています。

一方で、こうした非業務執行役員の選任基準や役割については
必ずしも明確に規定されているわけではなく、
また日本企業の実態を踏まえるとその基準は
企業の戦略や統治システムによって変わってきます。

たとえば取締役会の役割には、
1.監督に特化した取締役会(モニタリング型)
2.業務執行に関する意思決定を中心役割(オペレーション型)
の2種類があり、欧米では取締役会といえば1を指しますが、
日本では2も選択可能です。

オペレーション型を選択する場合には、
監督機能をどの機関がどう担保するかという課題が出てきます。
(多くは社外監査役を含む監査役が監督機能を発揮します)

そこで今回、各企業がそれぞれに適した形のあり方を定められるよう、
欧米のガバナンスコードとの比較や
実務上参照しやすいようベストプラクティスを集めた事例集と、
導入・活用における示唆をまとめたガイドラインが取りまとめられました。

事例集では、社外取締役が戦略的な投資判断などのプラス面を伸ばした事例や
不祥事などのマイナス面を防いだ事例が紹介されています。
また監査役についても、経営判断について
違法性や妥当性の観点からチェックを行っている実効性を
発揮している事例を紹介しています。

エコネットワークスでも現在経営体制の刷新を検討していますが、
どのような経営システムを構築していくか、
組織の規模は小さいながらも、適切な形を検討していきたいと思います。

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米水道会社 償還期間100年の超長期グリーンボンドを発行


photo by Brian J. Matis

これまでに何度か投資家のショートターミズムを巡る議論について取り上げましたが、
その真逆とも言える超長期のグリーンボンドが
米国の水道会社より発行されました。

DC Water Announces Successful Sale of $350 Million Green Century Bonds
https://www.dcwater.com/news/listings/press_release663.cfm

発行主体は、ワシントンDCを拠点に
上下水道サービスを提供するDC Water。

総額3.5億米ドル。
100年で満期に達するグリーン・センチュリー・ボンドです。

集められた資金は、総事業費26億ドルにのぼる
DC Clean River Projectにあてられます。

これは、洪水時の大量の水や下水を
下水処理施設まで運ぶ地層トンネルを設置するプロジェクトです。

ハリケーンによる大雨で、
雨水吐き口や雨水ポンプ場から未処理の下水が越流する
合流式下水道越流(CSO)を防ぐ対策として実施され、
洪水影響の緩和や気候変動へのレジリエンスを高めます。

同社が100年債を選択した理由は、以下の観点から。
・長期間維持されるインフラ設備の資産負債管理に適している
・現在と将来の受益者が均等に費用を負担する
・長期かつ低コストでの資金調達を可能にする

ムーディーズほかの格付け機関でもAA以上を取得。
当初3億米ドルを予定していたところ、
市場の好反応により5千万ドル増額し、
総額3.5億ドル規模になりました。
年率4.814%で提供され、2114年に満期を迎えます。

DC Waterには、
100年インフラ設備が持つようにすることはもちろん、
長期で安定して償還をしていくための
適切な財務戦略と納税者からの徴収の仕組み作りが求められます。

長期利用を前提としたインフラ設備だからこそできることかもしれませんが、
持続的に運用をしていこうとする強い意志を感じます。
100年後の償還終了を見届けられないのが残念です。

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