持続可能なサプライチェーン」カテゴリーアーカイブ

海洋プラスチック問題への挑戦 P&G、アディダス、ユニリーバ

Marine litter. Most often found: Plastic pieces, bottles, rope, floats and buoys.

太平洋に浮かぶごみの島。
その広さは日本の2倍以上。

レジ袋やペットボトルなどが流れ着くこうした
「ごみベルト」が世界の海には複数あります。
分解されず、波に洗われて細かな破片となったマイクロプラスチックも
生態系やヒトへの影響が懸念されています。

2050年には魚の量より多くなると言われる、海に漂う廃プラスチック。

今年の世界経済フォーラムにあわせて、
P&Gは海洋プラスチックを原料とした
再生プラスチックを25%含んだ商品を発表しました。

P&G’s Head & Shoulders Creates World’s First Recyclable Shampoo Bottle Made with Beach Plastic
Virginie_Press_Conference_2

Head & Shouldersのシャンプーブランドで使用され、
当面はフランスのカルフールで販売されます。

今後は2018年末までに欧州で年間5億本以上の容器を
再生プラスチックを最大25%含んだものにすると宣言しています。

原料となる海洋プラスチックは、市民やNGOがビーチクリーンなどで集めたもの。
つまりサプライチェーンの上流がボランティア活動になるということです。

他にも、日用品メーカーやアパレルを中心に海洋プラスチックへの
取り組みが始まっています。

アディダスは海洋プラスチックを原料としたウェア(100%)やシューズ(一部)を開発。
シューズは2017年には100万足を販売する計画です。

ユニリーバは、2025年までにすべてのプラスチック容器を
リユース・リサイクル・生分解可能なものにすると発表しています。

現在は14%しか回収されていないプラスチックですが、
戦略的な行動を起こすことで70%まで回収率を高められるとのレポートが
世界経済フォーラムとエレン・マッカーサー財団から出たばかり。

The New Plastics Economy: Catalysing action

ちょうどメーカーの方と、樹脂の価格が大幅に下がり、
再生樹脂を推進する動機が弱まっているという話をしていた直後に
このニュースを見たこともあり、すごく興味を惹かれました。

プラスチック問題に関する最新の動きを把握されたい方は、
是非チェックしてみてください。

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ウォルマート、中国で食の安全の研究に26億円投資

Screen Shot 2016-11-23 at 7.00.36 PM
Photo by Fruitnet.com

世界で広がる「食の安全」に対する懸念。
とくに世界最大の食肉市場である中国は
全世界の豚肉の生産量の50%以上を占めていますが、
食肉に関する安全問題が頻繁に起こり、
消費者も敏感になっています。

世界最大の小売チェーンウォルマートも中国で
ロバ肉にキツネ肉が混入していたことや
通常の豚肉に「有機豚」のラベルを貼って販売したことが発覚し
問題になっていました。

そこでウォルマートは、10月に
IBMと中国の清華大学とともに
豚肉の生産・流通経路を記録する
「ブロックチェーン」というデータベースシステムを開発しました。

データベースでは
生産者や加工工場の情報、出荷数、消費期限、保存温度、輸送情報など
生産地から消費者までのサプライチェーンに関わるすべての情報を
記録・管理することができます。

また、一度データを書き込むと消すことができないため、
書類ベースの管理よりもトレーサビリティが向上することが期待されています。

このデータベースの発表とほぼ同時に
ウォルマートとウォルマート財団は、
中国の食品安全性の研究や教育・コミュニケーションの分野に
2020年までに2,500万米ドル(約26億円)を投資することを発表しました。

食品の安全性を確保するためのサプライチェーン管理技術や、
食の安全性リスク評価モデル、
家畜の病気予防に関する研究を他企業や機関とともに進めていく予定です。

ウォルマートのこの取り組みの背景として
中国での食品安全性検査や肉のDHAテスト、サプライヤーの監査に
2013-2015年で5,000万米ドル(約55億円)ものコストがかかっていたことや
中国の消費者ニーズをうまく捉えられずに中国市場に苦戦してきたことがあります。

ウォルマートのCEOは昨年、
「中国はウォルマートにとって戦略的市場であり、
中国で”最大”の小売店ではなく、中国で”最も信頼される”小売店になることを目指す」
とコメントしており
食の安全分野で他社との差別化を図っていく狙いのようです。

———

参照
“Walmart and IBM Are Partnering to Put Chinese Pork on a Blockchain”
http://fortune.com/2016/10/19/walmart-ibm-blockchain-china-pork/
“Walmart, IBM and Tsinghua University Explore the Use of Blockchain to Help Bring Safer Food to Dinner Tables Across China”
http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/50816.wss
“Walmart accelerates China expansion”
https://www.ft.com/content/85103bcc-ee24-11e4-987e-00144feab7de
“Wal-Mart to Invest $25 Million in China Food Safety Research”
https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-10-19/wal-mart-to-invest-25-million-in-china-food-safety-research
“Wal-Mart to triple food safety spending in China after donkey meat disaster”
https://www.washingtonpost.com/news/morning-mix/wp/2014/06/17/wal-mart-to-triple-food-safety-spending-in-china-after-donkey-meat-disaster/

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これだけは知っておきたい 木材DDのポイント

Big timber
photo by AdamKR

2016年5月。日本でクリーンウッド法
(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)が成立しました。
1年後の施行に向けて、関連法令の整備が今後進んでいきます。

2016年6月。東京オリンピック・パラリンピックにおける
木材の調達基準が発表されました。
1月に発表された調達コード基本原則を具体化した基準の第1弾で、
関心の高さが窺えます。

8月の山の日には、NGO主催による
米国・欧州の状況を学ぶ木材デューディリジェンスに関するセミナーがあり、
参加をしてきました。

自身の整理も兼ねて、それぞれの特徴や要件、
学びを簡単に整理してみたいと思います。

●国内における要求事項

1.クリーンウッド法
・合法伐採木材等を利用するよう努める(努力義務)
・対象は木材関連事業者(建設、紙、家具なども含む)
・登録制で、登録すると「登録木材関連事業者」と名乗れる
・デューディリジェンスの義務規定、罰則なし

詳しくはこちら→

2.東京オリンピック・パラリンピックの木材調達基準
・対象:建設材料・家具として使用される各種木材、建設用の型枠合板
・留意すべきイシュー:
 −原産地での適切な手続き
 −中長期的な森林経営
 −伐採における生態系保全、先住民・地域住民への配慮、労働者の安全対策
・FSC、PEFC、SGECの認証材であれば原則OK
・国産材を優先的に選択することを推奨

詳しくはこちら→

●海外における状況

それでは、進んでいるとされる欧米では、
どのような状況なのでしょうか。

米国では、2008年にレイシー法(違法な動植物の取引を規制)
の対象に木材・木材製品が追加されました。

EUでは、2013年からEU木材規制(EUTR)が施行されています。

日本との大きな違いは、違法伐採が明確なリスクとして顕在化しており、
リスクを排除するためにもデュー・ディリジェンスが求められることです。

米国では実際にロシアから違法木材を輸入したとして
床材販売大手のランバー・リクイデーター(Lumber Liquidators)社に
罰金刑が科せられました

その額、約1300万ドル(13億円以上)。株価は80%のダウンになりました。

違法木材を取り扱うリスクを避けるためにも、
欧州では、デュー・ディリジェンスが事業者の義務として定められています。

木材のリスクを捉える上での要素は、3つ。

・樹種リスク
・国リスク
・製品リスク

それらのリスクに対し、

・情報収集
・リスク評価
・リスク緩和

の3つのステップでデュー・ディリジェンスに取り組みます。

リスクの度合いは、当該地域における種の生息状況や影腐敗度数などの指標など、
国際機関やNGOによる調査報告などを参照して評価することになりますが、
ここまでやればOKという明確な基準があるわけではありません。

人権デュー・ディリジェンスも最近よく耳にするようになった言葉ですが、
これをクリアすればいい、これをやったらいい、というものではなく、
許容できるリスクであるかどうかを特定するための、リスク管理のプロセスです。

日本ではデュー・ディリジェンスが必須のものとして要求されていないこともあり、
先行して自主的に取り組んでいくことが重要です。

伊藤忠、双日、住友林業、丸紅など
日本の木材商社のデュー・ディリジェンスの実施状況については、
国際NGOのグローバル・ウィットネスが7社の取り組み状況を
以下のように評価しています。

witness
違法行為の黙認 日本の自主的制度は違法木材取引を見逃している」より

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Marks & Spencerの人権報告書を早読み

2016年6月、英小売大手のMarks & Spencerが初となる人権報告書を発行しました。

M&Sreport
M&S Human Rights Report 2016
https://corporate.marksandspencer.com/documents/plan-a-our-approach/mns-human-rights-report-june2016.pdf

高まる人権への関心に応え、これまで行ってきた
人権に関する取り組みを体系的に整理し報告しているもので、
昨年6月のユニリーバに続き、
国際的にも先行事例となります。

(関連記事:世界初のユニリーバ人権報告書 気になる中身とは?

Marks & Spencerは現代奴隷法への対応を機に、

・人権方針
・グローバル調達方針
・衣類、家庭用品、食品のサプライチェーンにおける苦情処理方針
・現代奴隷法に関するステートメント

をすべて改訂・新規に発表。
また、各国に散らばるサプライチェーンを
インタラクティブに開示するなど、
人権に関する取り組みと報告を強化しています。

supplier_map
http://interactivemap.marksandspencer.com/

気になる報告書の中身は、
人権に関するコミットメントから始まり、
7つの顕著な課題(salient issues)に関する報告、
ガバナンス体制、今後の取り組みと続き、
全部で60ページあります。

重要な課題として特定しているのは、以下の課題。

<7つの顕著な課題>
・強制労働
・結社の自由
・差別、女性の権利
・健康・安全
・生活賃金
・水・衛生
・労働時間

<その他4つの追加課題>
・児童労働
・土地の権利
・安定雇用
・プライバシー

salient
課題と事業との関係性 P13

それぞれの顕著な課題について、
課題認識、リスクの度合い、方針、デュー・ディリジェンスの事例、
対応事例、協働事例、ネクストステップを報告し、
監査の結果についても課題別に違反数を開示しています。

audit
監査の結果 P15

こうした先進的な人権報告書を読むことのメリットは、
「人権に取り組む」といったときに、
なにを、どこまでやったらいいのかという点が見えてくることです。

どこまで、とはいっても、そんなに簡単なものではもちろんなく、
先進的と言われている企業でさえ、まだまだ取り組みは道半ば。
ユニリーバもマークス&スペンサーも、
8年~10年単位のロードマップを描いて取り組んでいます。

plan
M&Sのロードマップ P9

担当者の方には、まずは、内容を一読してみることをお勧めします。

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英国現代奴隷法、日本企業の対応状況は?

スクリーンショット 2016-07-30 17.38.36
Photo by Paul Arps

「奴隷」と聞くと、歴史上の出来事を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、いまの時代にも「人身売買」や「強制労働」など、
権利が認められずに労働力として搾取される「奴隷」は
世界に4500万人以上(*1)いるといわれています。

2015年3月に英国で制定された現代奴隷法では
こうした現代の奴隷制の根絶をめざし
「英国で事業を行う営利団体・企業」で
「年間の売上高が一定規模を超える企業」に対して
①当該年度に事業活動およびサプライチェーンにおいて
奴隷労働を防ぐためにとった措置の内容 または
②そのような対応をしていないこと
のいずれかを示すことを求めています。

①を選択する場合、
自社の事業のあらゆる部分で
奴隷労働と人身取引がないことを担保するために
以下の項目について毎年度報告することを求めています。

・組織の構造とサプライチェーン(Organisational structure and supply chains)
・方針(Organisational Policies)
・デューデリジェンス(Due Diligence)
・リスクの評価と管理(Assessing and Managing Risk)
・取り組みの成果測定指標(Performance Indicators)
・研修(Training)

2016年7月時点で
Business and Human Rights Resource Centreのリストによると
報告企業は380社あります。

そのうち日本企業は、以下11社のようです。
(リンク先は各社の声明ページ。リンクがない企業は上記リストからダウンロード可能なものもあり)
KYOCERA Document Solutions
Mitsubishi Motors
Mitsubishi Rayon Lucite international
Mizoho international
Misuho securities
NSG group
NTT data UK
NTT Europe
Pioneer
Sompo Japan Nipponkoa Insurance Company of Europe
Toyota tsusho metals

各社の報告内容を確認したところ
大体の企業は、項目に沿って報告を行おうとしているようですが、
内容にはばらつきが大きいようです。

たとえば、構造・分野・高リスク地域特定などの報告が求められる「サプライチェーン」の項目を見てみると
・Mitsubishi Rayon:原材料と製品を第三者から供給している点のみ明記
・NSG group:規模を開示
・NTT Europe:業種を開示
など報告内容がさまざまでした。

デューデリジェンスについては各社項目にはあげているものの、
NSGとNTT Europe以外は具体的なプロセスが見えにくい印象です。

以下の2項目は全体的に報告が不足しており、関連の開示は以下のみでした。
・リスクの評価と管理
-NTT Europe:リスク特定のみ
-SJNK EU:リスク管理フレームワークの存在のみ紹介

・取り組みの成果測定のための指標
-Mitsubishi Rayon:奴隷防止用の指標はないが、関連指標があることを明記(研修受講者、苦情数等)

「研修」の項目は、
・NTT Europe:必要に応じて実施
・SJNK EU:調達に関わる全従業員に実施
・Mizoho international:従業員ほか、請負業者、インターンやボランティアにも実施
など企業によっては「対象」について細かい開示を行っていますが
内容や実施状況は不明です。

また、参考までに英国企業の中から「Vodafone」と「Marks & Spencer(M&S)」の内容を確認したところ、
日本企業に不足している
・両社:リスク評価内容、研修の内容・実施状況
・M&S:高リスク地域やサプライチェーンの特定、成果測定指標
を含め、全体的な開示は日本企業よりも充実していました。

M&S開示項目
・課題認識
・事業紹介、サプライチェーンの規模
・関連方針の紹介
・デューデリジェンス状況、監査の実施状況
・起こりうる強制労働の想定
・人権侵害リスクが高い地域やサプライチェーンの段階の特定
(リスクアセスメント評価結果へのリンクあり)
・関連研修の実施状況、内容、対象の従業員範囲
・今後の取り組み(各部署の責任者も開示)
・取り組みの成果測定指標

Vodafone開示項目
・世界の強制労働についての基礎情報
・コミットする国際法や世界の原則
・関連の規制と方針
・リスク評価方法
・紛争鉱物に関する考え方へのリンク
・モニタリングとコンプライアンス
・研修(狙い、実施方法、対象、内容等)
・2015-2016年の取り組み進捗報告
・サプライヤーアンケートの結果を開示

また、Vodafone、M&Sともに
強制労働において、特に注目度の高い問題行為
(労働者が仕事を得るために料金を払うことや、雇用主が労働者の転職を妨げる等)
を禁止する方針がある点も強調していました。

英国奴隷法に対する動きは
英国での事業展開がない日本企業にとっても他人事ではありません。
2020年東京オリンピックに向けて、日本企業に関連する奴隷労働への注目が高まっていくと考えられるため
日本企業は、世界基準に沿った取り組みを行っていくことが
今後ますます重要になるでしょう。

ーーーーーー
参照:
1: オーストラリア国際人権NGOウォーク・フリー財団調査Global Slavery Index 2016

求められる報告内容:”Transparency in Supply Chains etc. A practical guide”P.27〜P37
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/471996/Transparency_in_Supply_Chains_etc__A_practical_guide__final_.pdf

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食品会社は家畜の福祉に配慮を! 運用総額1.5兆ポンドの投資家が要求

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Photo by Romita Peña

世界で初めての畜産動物福祉に関する投資家宣言に
イギリスのAviva Asset Management、フランスのBNP Paribas Investment Partners、
オランダのRobecoなど
総額1.5兆ポンド(196兆円以上)を運用する18の機関投資家が署名しました。

この宣言は、畜産動物福祉が食品セクターの長期的な価値創出に関わる
重要な課題であるという観点から発表されたものです。
宣言に署名した投資家は
食品会社への投資判断の際に動物福祉への取り組みを考慮するとともに
企業に対して畜産動物の取り扱いに高レベルの基準を課すよう働きかけていきます。

取り組み推進にあたって使用が推奨されているのが
イギリスの動物愛護関連NGO3団体によって運営されている
「畜産動物福祉に関する企業のベンチマーク:
Business Benchmark on Farm Animal Welfare(BBFAW)」です。

2012年から世界の主要な食品関連企業対象に行われている調査で
2015年版は欧州、北米の90社が対象でした。

主な評価項目の概要と各分野のスコアの配分割合は以下の通り
●マネジメント層のコミットメント (34%)
・動物福祉取り組みに関するリスクと機会の特定
・動物福祉取り組みに対して中核となる原則・方針があるか、またそれがどのように事業全体で実施されているか
・クローンや畜産動物が閉鎖飼育環境、麻酔なしの屠殺、長距離輸送などに関する方針の有無

●ガバナンスとマネジメント (41%)
・方針実施における責任の所在
・サプライチェーンの取り組み、管理監督
・目標とその進捗管理方法
・進捗報告

●リーダーシップとイノベーション (15%)
・R&D投資
・業界団体やイニシアチブへの参加
・外部表彰、評価
・消費者の啓発

●成果報告 (10%)

これら項目をもとに6階層にわけて企業を評価しており
2015年に評価の高い上位3階層に入った企業は
第1階層:マークスアンドスペンサー、スイスのコープグループなど
第2階層:米国マクドナルド、ユニリーバなど
第3階層:ウォルマート、ネスレ、サブウェイなど

課題認識が見られないとされた第6階層には
バーガーキングやドミノピザなどが入っています。

BBFAWのプログラムディレクターは
「今回の投資家声明によって動物福祉がニッチな倫理の問題ではなく、
重要なビジネスリスク・機会であることが明らかになった」とコメントしています。

参考:動物福祉と動物愛護の違いについてはこちらから

ーーーーー
参照:
The Business Benchmark on Farm Animal Welfare 2015 Report
BBFAWプレスリリース 

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日本からは花王 WWFが選ぶサステナビリティ調達優良企業は?

WWFは、6月に、消費財・小売・食品企業の業界団体Consumer Goods Forum(CGF)
の会員企業256社の開示情報をもとに
サステナビリティ調達の取り組み状況についての調査結果を発表しました。

調査対象となった原材料は
・森林破壊と気候変動への影響が大きい:パーム油、紙、パルプ、牛肉、木材、乳製品、豆
・水資源の使用量、汚染度が高い:綿、サトウキビ
・乱獲が懸念される:マグロ、白身魚、熱帯エビ、養殖エビ、養殖鮭、食物連鎖の低層にいる小魚
の14点です。

スクリーンショット 2016-07-06 15.08.59
写真:同レポートP8:調査対象14品目

WWFは、上記14品目についてCGF加盟企業256社が調達している量の割合が
世界全体の生産量において大きいことを指摘した上で
スクリーンショット 2016-07-06 16.30.44
写真:同レポートP6:14品目の世界全体生産量
におけるCGF加盟企業256社の調達量(緑:小売業、青:製造業)

・アニュアルレポートでサステナブル調達について開示しているのは対象企業のうち48%
・調達方針や戦略について進捗報告を行っているのは46%
・森林破壊ゼロ方針を出しているのは36%で、それに対して期限付きの定量目標を設定しているのは20%
・上記14の原材料に対して期限付きの定量目標を設定しているのはわずか9%(以下の22社)で
目標通りに取り組みが進んでいるのはそのうちの14社のみ

であることを報告し、サステナビリティー調達の実現に向けて本格的に行動を起こしているのは
一部の企業のみであると訴えています。

スクリーンショット 2016-07-06 15.10.26
写真:同レポートP8:調査対象14品目に対しての調達取り組みで「優良」と評価された22社

日本企業も、味の素、伊藤園、明治、キッコーマン、キリンホールディングス、
資生堂、伊藤忠食品、イオン、ローソンなど77社が調査対象でしたが、
今回優良企業と評価されたのは花王のみでした。

WWFは、CGF加盟企業に対し
2020年までに全ての調達においてWWFの推奨基準をクリアした調達先だけを採用することを目指し
実現のための期間付き定量目標と行動計画を提示することを呼びかけています。

先日参加したFSCジャパンセミナー「企業の責任調達」では
花王の購買部門統括の方が
「花王は消費者の意識が高まっていくことを予測し、先進的な調達方針を打ち出してきた。
環境NGOからの圧力は年々高まる一方、日本の消費者意識の高まりは感じない。
人々の意識が変わらないと、責任調達にかかるコストは全て売り手が負担することになる。」
と語っていました。

しかし世界全体を見渡すと
ニールセンが昨年世界の消費者対象に行った調査では、
「サステナビリティにコミットする企業にもっとお金を払ってもいい」
と回答した人の割合が2013年の50%から2015年には66%に増加しており
とくに1980年代から2000年代初頭に生まれたミレニアル世代の若者においては
その割合が73%に及びます。

ニールセンのレピュテーション担当者はこの調査について
「『社会的責任を果たし環境にやさしい』というイメージを若者に与えられる企業は
市場シェアの獲得機会に加え、今後大きな購買力を持つことになる
ミレニアル世代との強力なつながりを築くチャンスも手にしている」と述べています。

グローバル市場で事業を行う企業はもちろん
変化の早いいまの時代、
日本の消費者にもいつ変化が訪れるかわかりません。

ーーーーーーー
参照:
WWFプレスリリース 
WWF報告書 Slow Road to Sustainability

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ひと目でわかる 図解サーキュラーエコノミー

Nebotičnik staircase Ljubljana
photo by Gert Swillens

最近よく耳にするようになった
サーキュラーエコノミー」というキーワード。

簡単に説明するとしたら、

欧州でここ数年盛り上がっているコンセプトで、
日本でいう循環型社会の話を経済と結び付けて、
新しい生産と消費のあり方を目指す動き。

少し詳しい方であれば、

人口増加による資源不足に対処するために、
生産から廃棄までの直線的な仕組みが様々なレベルで循環していくよう
設計やビジネスモデルの段階から抜本的に社会経済のあり方を見直すもので、
新たな雇用・事業機会を生み出す。

エレン・マッカーサー財団が推進して、
PhilipsやUnilever、H&M、Googleなどの大手企業も参加し、
EUの政策の中心にも位置づけられている産官学一体の動き。

こんなところでしょうか。

ただ、それでもどういうことか、ピンと来ない方も多いと思います。

そこで、サーキュラーエコノミーの概念を示す図をいくつかご紹介。
どういった状態を目指そうとしているのかを
つかんでいただけると思います。

日本の「循環型社会」の概念図は、たとえばこんなイメージです。

fb2_3_2_01
平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

一方、こちらが「サーキュラーエコノミー」の概念図です。
世界経済フォーラム(WEF)にサーキュラーエコノミーのグループがあり、
そこが2014年に発行したレポートの中にある図です。
(ここにはCiscoやNestle、Coca-Cola、SAB Millerなどが参加しています)

circular1
Towards the circular economy: Accelerating the scale-up across global supply chains

左側が生物資源、右側が技術・部品、
上から下へと生産から廃棄までの流れがあり、
各レベルで循環していくイメージです。

より具体的に製品で考えた場合のイメージがこちら。
組み立てと逆の手順で分解し、
それぞれの部品が再利用されます。

circular3

そしてこちらはさらに細かく資源レベルで考えたものです。

circular4

ひと目とまではいかなかったかもしれませんが、
サーキュラーエコノミーが目指す方向が見えてきたでしょうか。
イメージとしてだけではなく、現実的にどう実現していくかを考えていることがわかると思います。

アクセンチュア監修の書籍「Waste to Wealth(無駄を富に変える)」では、
5つのビジネスモデルとあわせて整理しています。

fig-five-models

WEFからは他にも第4次産業革命やIoTが
サーキュラーエコノミーの実現に果たす役割をまとめた
レポートなどが出ていて興味深いです。
(IoTは自然界に存在する生態系の循環を人間社会で実現するもの、
という考え方が面白かったです)

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消費者の選択は? ウォルマートの「サステナビリティ・リーダー」ラベル

持続可能な調達に関するISO認証20400や
東京オリンピックの調達方針の計画策定を間近に控え、
「CSR調達」に対する関心の高まりを感じます。

一方で、企業にとって無視できないのが、
「持続可能性に配慮して調達・生産したとしてちゃんと消費者に買ってもらえるのか?」
という点。

その観点で私が注目している取り組みが、
ウォルマートの「サステナビリティ・リーダー」ラベルです。

walmart
http://www.walmart.com/cp/1229461より

これは2015年に同社がスタートした認証制度で、
サステナビリティに積極的に取り組んでいると評価されたサプライヤーは、
製品に「Sustainability Leaders」のラベルを貼れるというもの。

ただしポイントは、ラベルにある「made by」という言葉。

商品そのものの環境・社会的影響を評価しているわけではなく、あくまで
「積極的に持続可能性に取り組んでいる製造者(ブランド)によって作られました」
ということを示すものです。

ウォルマートは2009年に大学や大手企業、NGOが参加する
第三者機関The Sustainability Consortium(TSC)を立ち上げ、
商品の持続可能性を評価するインデックスの開発に取り組んできました。

TSCのサイトでは、開発された商品の種類別の着眼点(関連する問題)や
評価ツール、KPIなどが有料/無料で提供されています。
https://www.sustainabilityconsortium.org/what-we-offer/
例:「プラスチックのおもちゃ」カテゴリーに関連する問題
http://cdn.corporate.walmart.com/fa/1c/55c284db4b37a366d78f37a43053/plastic-toys-sustainability-insights.pdf

ウォルマートでは、TSCで検討された100以上の製品別基準を元にサプライヤーを評価し、
80点以上を獲得した場合に、ロゴの使用が許可されます。

評価は毎年行われますが、結果は非公開です。

日本ではイオンのトップバリュ「グリーンアイ」のように
自社製品(プライベートブランド)の認証はありますが、
販売する他社製品を評価するものはありません。

先進的な取り組みですが、一方で、賛否があります。

特に強く言われているのが、
ラベルは製品そのものの評価ではないのに、
環境・社会によい製品であると消費者が誤解する、
ミスリードである、という批判です。

私も正直わかりにくいなと思います。

ただ、大きな方向性としては、よい一歩と感じていて、
これによって消費者が持続可能性に配慮した製品を選ぶ、
持続可能性に取り組むことは売れる、
ということが定量的に測定できるのではと期待しています。
課題も含めた取り組みの進捗報告が楽しみです。

国内でも消費者庁が「倫理的な消費」の研究会を立ち上げ、
議論が進められています。
そこでもどのような方針が示されるのか注目したいです。

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オモイをつなげるLUSHの復興支援 

菜の花
photo by Paul Davidson

福島県・南相馬で菜の花を栽培している農家のグループがあります。
その菜の花から生産される菜種油に注目して、
石けんを開発したのが英国の化粧品メーカーのLUSH。

「つながるオモイ」という商品名で今年2月にリリースされました。
https://www.lushjapan.com/article/drop-of-hope

菜種を生産しているのは、原発事故後
農業復興を目指して菜種油の特産化に取り組んでいる
南相馬農地再生協議会の方々です。

長期的に土壌の除染効果も期待される菜の花を
栽培から搾油・製品化までを一貫して行うことで、
新たな産業の育成に取り組んでいます。

(先日、生産者の方を招いた会見のご案内をいただいたのですが、
残念ながら参加が叶いませんでした。。。)

震災から5年が経ち、今後はより一層
地域経済を支える自立につながる支援が求められるなか、
LUSHは原料の調達を拡大していくことで被災地支援に取り組んでいます。

「つながるオモイ」のように、
社会性の高い製品には化粧品系が多い印象があります。

商品性と社会性を兼ね備えた商品・サービスを表彰する
ソーシャルプロダクツ・アワードの2016年の大賞は
北海道産のモミエッセンシャルオイルNALUQでした。

北海道下川町のFSC認証林から調達された国産・オーガニック原料を
地域の女性や障がい者が加工してつくられています。

ただこうした社会性の高い商品・サービスも、購入されないと広がっていきません。
一消費者として、私も「選ぶ責任」を果たしていきたいと思います。
(化粧品を買う予定は今のところないですが。。。)

※ソーシャルプロダクツ・アワード2016の受賞商品の展示会が
以下の期間で開催されているそうなので、ご関心のある方は足を運ばれてみてはいかがでしょう。

OVE南青山(3/2-3/13)、OVE中之島(3/17-3/20)

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紛争鉱物対応の先進企業へ Intelが取り組む若者向けブランディング 

Father and son
photo by Julien Harneis

PCに搭載されるマイクロプロセッサなどを製造している米国のIntel。
同社はコンゴ民主共和国や周辺国で産出された紛争鉱物への対応で
他社の一歩先を行く取り組みを行っています。

2016年1月。Intelはすべてのマイクロプロセッサが
「コンフリクト・フリー(紛争鉱物不使用)になった」
と発表しました。

それだけでなく、今年中にすべてのIntel製品から
紛争鉱物をなくすことをCEO自らが宣言しています。

Intel’s CEO Reveals The Company’s Plans To Build A Conflict-Free Supply Chain By 2016
http://www.fastcoexist.com/3034867/intels-ceo-reveals-the-companys-plans-to-build-a-conflict-free-supply-chain-by-2016

Intelが紛争鉱物の対応に取り組み始めたのは4年前。

サプライチェーンを遡り、
採掘した鉱石から金属を精製する製錬所に対して
紛争鉱物が使われていないことを示す認証の取得を働きかけました。

最初は鈍かったサプライヤーの動きも、
企業に紛争鉱物の使用に関する情報開示を求める
ドット・フランク法が米国で成立したことが後押しになり、
現在ではサプライチェーンの159の製錬所のうち97か所が認証を取得するに至っています。

それでも、前職でサプライチェーンを担当していた現CEOは、
「製品すべてを紛争鉱物フリーにする目標の達成可能性は75%程度」
と取り組みの難しさを語っています。

Intelの取り組みで特徴的なのは、
BtoB企業でありながらブランディングに力を入れている同社らしく、
紛争鉱物フリーであることを積極的に企業イメージに結び付けようとしている点です。

こちらは、Intelが米国のミレニアルズ世代(80年~00年生まれの世代)
500人を対象にして行った紛争鉱物への関心を訪ねた調査結果です。

intel
http://download.intel.com/newsroom/kits/ces/2016/pdfs/Intel_Conflict_Free_Research.pdf

・10人中9人が企業は社会に対してよい影響を与えるべきと考え、
うち8人が自身も消費者として社会に悪影響を与えない製品を選ぶ責任があると考える

・紛争鉱物については1/3しか聞いたことがない

・責任ある調達については半数が聞いたことがある

・10人中8人が紛争鉱物が使われていないことがラベルで表示されていると選択する上で助かる

調査の結果、紛争鉱物そのもの、
また紛争鉱物に先進的に取り組んでいる企業に対する認知が低いことがわかりました。
Intelはそれをチャンスと考え、ミレニアルズ世代の中での
紛争鉱物対応の先進企業としての地位を確立しようとしています。

実際に、Intelの取り組みを聞いた後、
2/3が評価を向上させ、8/10が絶対的によいと評価し、
7/10が他社も追随すべきと回答したそうです。

EUでの紛争鉱物の法制化もいよいよ最終段階に入り
ますます国際的な要請が高まることが確実ななか、
今後どのように目標達成に取り組んでいくのか注目です。

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企業に求められる水リスク管理

スクリーンショット 2015-11-06 19.40.32
Photo by Moyan Brenn

世界では未だに10人に1人が安全な水を飲むことができません。
また、米カリフォルニア州をはじめ、オーストラリア、中国など世界で干ばつが深刻化しており
2015年の世界経済フォーラムでは、水危機が、気候変動や国家紛争を上回って
今後10年間で世界への影響が最も大きなリスク」に挙げられました。

これから人口増加などによりますます供給の制限が予測される水資源は
多くの企業の生産活動や原材料の生産に影響を与えるため
企業の水リスク管理に対する投資家の目は年々厳しくなっています。

そんな水問題について学ぶために
10月に「JAPAN Water Style」サミットwith「CDP’s Global Water Forum 2015」に参加し
企業の取り組みや、それを評価する世界的投資機関の視点、CDPの2015年報告について聴いてきました。

私が特に面白いと思った点は、
・多くの会社が、水リスクはサプライチェーンにあることがわかっていながら、本社での取り組みしか行っていない。

・サプライチェーンや海外生産拠点の管理が課題である企業が多く、
これからは、特に腐敗が深刻な途上国での水利用に関してどのように確実な調査を行い
その結果を保証するかが鍵になる。
(登壇していた企業のひとつでは、海外の生産拠点向けに行ったアンケートで水リスクの問題がなかった生産地で、
突然水の使用がストップするかもしれないという連絡があったそうです。)

・EUでは近年水道代が上がっているため、企業や投資家だけでなく
個人でも水不足に対する意識が高い。
また、水不足になったときにアフリカ大陸などから難民が増えるのではないかと感じている人も多く、
市民レベルの危機感は日本とは比べものにならない。

・アフリカなど一部の地域では、企業の調査が政府よりも進んでいることがあるため、
地域の水リスクに関する情報を現地政府に共有をすることでも貢献ができる。

・節水の呼びかけや啓発では行動まで変えられないため、快適に使いながら節水できる製品や、
知らないうちに節水できる製品をつくることが大切。(例 TOTOのAir in showerなど)

・いままではいかに水の使用量減らすかに焦点があてられていたが
これからはそもそもその商品になぜ水が必要なのかがポイントになってくる。
(たとえば、水を使わず、微生物で排泄物を分解するトイレの開発など)

・日本コカコーラの「森に学ぼうプロジェクト」のように
自然について学びながら間伐などの森林保全活動に参加ができる
「教育とアクション」が一緒になった取り組みが増えている。

CDPを通して企業に水関連データの情報開示を求めている投資家の数は、
この2011-2015年で4倍に増えました。
2015年8月には、総計2.6兆米ドル以上の資産を運用する欧州・北米の60以上の機関投資家が、
水リスクの管理と情報開示の強化を求める文書を食品飲料企業15社に送付するなど
直接的な働きかけするケースも出てきています。

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ついに99%達成! スターバックスの倫理的なコーヒー豆調達

9月9日、各地のスターバックスの店舗に「99」の文字が掲げられました。
私が訪れた場所でもこの通り。

IMG_4465

2015年4月、同社のコーヒー豆の99%が倫理的に調達できるようになりました。

それを受けて行われたのが、手書きで”99″がデザインされたカップの提供など、
全国の店舗でコーヒー生産者とのつながりを感じる99キャンペーンです。

コーヒー豆の倫理的な調達99%を達成 “99”にちなみ、9月9日を特別な一日に
https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2015-1382.php

日常的にスターバックスを利用している私としては、
嬉しいニュースです。
(頼み方がこなれていたからか、先日も「もしかしてスターバックスで働かれていますか?」と
店員さんに言われました。確かに「スタバで仕事」は毎日のようにしていますが。。。笑)

同社の倫理的な調達の基準となっているのは、
C.A.F.E.プラクティス(Coffee And Farmer Equity)」というガイドラインです。

2004年に国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナルの
協力のもと作成されたもので、必須条件の「品質水準」「経済的な透明性」と、
第三者機関評価による「社会的責任」「環境面でのリーダーシップ」をクリアしたコーヒーを
「責任をもって栽培され、倫理的に調達されたコーヒー」と認証しています。

具体的には、

・対価の公正な分配を示すために支払い証明書の提出しているか
・児童労働をさせていないか、労働者の宿泊設備を整えているか
・コーヒーの実から豆を取り出す際に使用する廃水を浄化しているか
・生物多様性の保全や、農薬低減に取り組んでいるか

といった取り組みがサプライヤーには要求されます。

「C.A.F.E.プラクティス」全体の取り組み状況については、
コンサベーション・インターナショナルが定期的にレビューを実施。
2011-12年度の報告書では、生産者・加工業者ごとに
設定された環境・社会面のKPIの達成状況が詳細に開示されています。

report_coffee
C.A.F.E. PRACTICES RESULTS ASSESSMENT FISCAL YEARS 2011-2012

グローバル企業のコーヒーサプライチェーンでの取り組みでは、
ネスレの「ネスプレッソ」も独自の調達基準
The Nespresso AAA Sustainable Quality™ Program」に基づく取り組みを進めており、
現在80%が同基準に沿って持続可能な形で調達されたもの。

nespresso
Nespresso – Sustainability Achievements infographics 1

こうした企業独自の基準は、フェアトレードラベルのような統一のものとも異なるため
生活者にとってはわかりにくい面もあります。

今回のようなキャンペーンは、生産者とのつながりを意識し
自社の取り組みへの理解も高めるよいきっかけとなるので、
是非継続した取り組みを期待します。

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ユニクロの中国サプライヤー工場の人権問題を考える


photo by Taichiro Ueki

「UNIQLO労働者に尊厳を!搾取工場にNO!」と書かれ
掲げられる横断幕。

日本企業の中国サプライヤー工場における労働問題がここまで
国内で話題になったのは、初めてのことではないでしょうか。

今年1月11日。
香港を拠点とするNGO SACOMと、
日本のNGO ヒューマンライツ・ナウにより、、
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの
中国取引先工場での労働状況に関する調査報告が発表されました。

中国の縫製/織物工場における労働者の権利を確保するための早急な行動を
ブランドとサプライヤーに求める

両団体は工場2社への2ヶ月間の潜入調査と聞き取りを実施。
労働時間や作業環境、管理実態に関して調査が行われ、
長時間労働や低い基本給、
高温の作業所や有害化学物質による健康リスク、
罰金制度を伴う管理システムや
機能していない労働組合といった問題を指摘しました。

そうしたNGO側の指摘に対し、
ファーストリテイリングも動きます。
報告書発表後すぐ、事実関係が一部確認されたとし、
改善を約束する声明を発表しました。

中国のユニクロ取引先工場における労働環境の改善に向けた弊社行動計画について

両NGOとファーストリテイリングとの会談の場ももたれ、
その内容はこちらで確認することができます。

今回の事件、これまでの経緯から、多くの示唆が得られます。

●人権問題への注目度のこれまでにない高まり
YahooニュースのHRN事務局長の伊藤さんの記事は1.1万回以上シェアされ、
250万以上のアクセスがあったそうです。
柳井社長のコメントもテレビで放映されています。

●サプライヤー監査の難しさ
CSRレポートにも取り上げられるなど
比較的しっかりとやっていたはずの工場で起きてしまった今回の問題。
二重記録に監査の重複、出稼ぎ労働者の稼ぎたいという意思、
他工場との競争環境など、難しい理由は色々ありますが、
モニタリングがどうして十分に機能しなかったのかの
徹底した検証が求められます。

●人権NGOの役割の重要性
潜入調査を通じて実態を把握し、声なき声を社会に伝える人権NGO。
欧米に比べ日本ではまだ十分に社会に認知されているとは言えませんが、
人権NGOが果たす役割の重要性が再確認されました。

●ファーストリテイリング側の迅速な対応
ここまでのスピード感を持って企業側が対応したのは、
問題を深刻に捉えている証といえます。
労働環境の改善については今後の進捗を
しっかりと確認していく必要がありますが、
解決に向けたオープンな姿勢は評価されるべきと思います。

●ビジネスモデルそのものへの疑義
今回取り上げられたのは2社の工場の問題ですが、
事の本質はファストファッションという業態に内在しており、
「安さ」のしわ寄せが労働者にきている結果ではないかという点です。
ビジネスモデルそのものが問われているともいえるかもしれません。

ファーストリテイリングが提示した改善策の1つに、
工場における従業員代表者の民主的な選出と団体交渉権行使の支援があります。

近年労働争議が頻発し、まさに過渡期にあるといえる中国の労働問題。
今度2月20日に中国の労働組合と労働NGOの動向に関する
報告会が開催されますので、関心のある方は是非行かれてみてはいかがでしょう。

明治大学招聘研究者講演会「中国における労働問題の現在~官製労働組合と労働NGOの動向を中心に~」
http://www.meiji.ac.jp/cip/info/2014/20150220_of_copy6t5h7p00000hwqrd.html

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DanoneとMars 10年で1.2億ユーロを小規模家族農家に投資

Projet Naandi-Danone de plantations d'arbres au village de Cheruvupakala
Credi: Hellio_VanIngen

農業の大規模化が国内で叫ばれていますが、
先進国でも途上国でも、依然多くを占めるのは家族経営の農家です。
5億人の家族農家により、世界全体の食料生産の70%が供給されているといいます。

国際大手食品企業の仏ダノン(Danone)と米マーズ(Mars)の2社は、
共同でアフリカ、アジア、南米の小規模・家族農家を対象に
今後10年間で1.2億ユーロを投資するファンドの設立を発表しました。

Danone & Mars, Incorporated, to be founding investors behind Livelihoods Fund for Family Farming, an innovative platform open to all companies
http://www.danone.com/uploads/tx_bidanonepublications/DANONE-MARS-LIVELIHOODS_EN.pdf

The Livelihoods Fund for Family Farming (Livelihoods 3F)
と名付けられたこのファンド。

20万軒の小規模家族農家、200万人の人々を対象に、
自然環境の修復や劣化した生態系の回復、
生産性・収入・生活環境の向上につながる
持続可能な農業の支援を行っていきます。

最大の特徴は、問題意識を同じくする企業に
積極的に参加を呼びかけている点。

出資者には、生産された農産物の販売と、
プロジェクトにより生じたカーボンクレジットや
節水などによる利益に基づき、還元が行われます。

Danoneは2011年に同種の
カーボン投資ファンドLivelihoodsを設立しており、
そこにはシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)や
クレディ・アグリコル(Crédit Agricole)など9社が参加。

これまでにマングローブ修復やアグロフォレストリーなど
7つのプロジェクトに投資し、1.3億本の植樹による
800万トンのCO2削減や地域の人々の生活向上に貢献しています。

密接に関係している貧困と気候変動、生物多様性の問題に対し、
1社でできることには限界があるため、周囲を巻き込んで
協同していくことで取り組んでいくLivelihoods 3F。

持続可能な開発目標SDGsや気候変動COP21に向けて
国際的に進められている議論に沿った動きといえます。

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