ミレニアム開発目標(MDGs)と持続可能な開発目標(SDGs)」カテゴリーアーカイブ

社会課題を身近に ーバーチャル・リアリティの力

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Photo by Knight Center for Journalism in the America

ニュースで見るさまざまな社会・環境問題ー
深刻そうなのはわかるが、いま自分に影響がないし、
実際に何が起きているか想像しにくく
中々行動を起こすことにはつながらないという人が多いのではないかと思います。

他人のことや、遠い国・未来のことを「自分ごと化」するのは難しいことですが
問題についてより具体的にイメージできれば
何かしたいと考える人は増えるのではないでしょうか?

2016年、海外では五感に訴えかける「バーチャルリアリティ(VR)」の技術が
サステナビリティやコーズマーケティングの分野で
活用される事例が多く見られました。
VRは、データや統計を使った情報とは違うレベルのインパクトを人々に与え
人々の感情により強く働きかけることが期待されています。

いくつか事例をご紹介します。

靴が1足売れる度に途上国の子どもに靴を届けるTOMS shoesは、
これまでに6,000万足以上の靴を寄付してきました。
もっと多くの人に支援の必要性を理解してもらうため、
2016年にVRを活用した告知キャンペーンを開始。


左上の矢印で動画をコントロールすることができます。

この映像では、TOMs shoesで靴を購入した消費者が
コロンビアに靴を届けにいく様子と
靴を受け取った子どもの生活が変化する様子を
視聴者が360度自由にコントロールすることが可能な動画を通して伝えています。
360度動画は消費者と子どものナレーションとともに展開していくので
登場人物の動きや感情をリアルに追体験することができます。

また、国際的な人権団体Terre des Hommesが作成したのが
ケニアの児童奴隷が暴力や性的虐待を受ける様子を子どもの視点から伝えるアプリ。

iphoneを動かすことで映像を360度動かすことができるので
まるで自分がこの現場にいて、この映像を撮影しているような気分になります。
撮影には5つのマイクをつけたカメラを14台も使用しているので
音にも臨場感があります。

このショッキングでリアルな映像を見たら、
「なぜこのような事が起きているのか知りたい」
「何かできることはないのか」
と考える人も少なくないのではないでしょうか?

アプリの内容は以下の360度動画としても発信されています。

英国の自閉症協会では
音や光などに対する感覚が過敏な自閉症の子どもにとって、
外を歩くのがどんなに恐ろしいかを
体験できるシュミレーター(ヘッドセット)をつくりました。
自閉症協会では、人間は他人の体験を実際に経験することで共感しやすくなることから
シュミレーターを通して自閉症に対する理解を少しでも高め、
差別をなくしていくことをめざしています。

シュミレーターで体験できる内容は以下の動画で確認できます。

※大きな音や激しい光が含まれるので気をつけてください。

VRは、環境破壊の現状を人々に実感してもらう上でも
効果が期待されています。

スタンフォード大学の研究所では、
CO2が海を酸性化させている現状とこのまま気候変動が進むと海がどうなるかを
VRを通じて人々に体験してもらうことで
人々が環境保護のために行動を起こすよう働きかけることをめざしています。

2017年も、VRがサステナビリティ分野でどのように進化していくかウォッチしたいと思います。

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サステナビリティイノベーション 2016年4つのトレンド

スウェーデンのシンクタンクSustainia
国際機関や国際NGOなどの専門家らとともに
2012年から世界のサステナビリティイノベーション事例を集めた報告書
「SUSTAINIA100」を発表しています。
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2016年からはグローバルコンパクトとも協働し
イノベーションの拡大によるSDGsの達成を目指しています。

2016年にイノベーションが活発だったのは以下の4分野。
事例とともにトレンドをご紹介します。

トレンド①Well-being(健康で安心・安全生活)を促進するコミュニティ
「米国のスーパーマーケットの事例」
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Photo by Sustainia 2016: P143 「DAILY TABLE」

地域の人々の健康改善が地域経済の活発化につながることから
地域の健康促進に取り組む事例が増えています。
米国のスーパー「Daily Table」は
貧困・肥満問題解決のために食品ロスを使用し
健康的ですぐ食べられる食事を安価で提供。
生産者から流通、製造業など地域のさまざまな主体が食品の寄付を行っています。

Sustainia-2016年のトレンド②意外な原料から利益を生み出す
「アディダスの商品事例」
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Photo by Sustainia 2016: P51 「ADIDAS | PARLEY FOR THE OCEANS」

SDGs(持続可能な開発目標)が循環型社会の形成を掲げるなか
循環型ビジネス構築を目指す企業が欧州で増えています。
ドイツのアディダスは、海洋保護に取り組むNGOと共同で海にプラスチックごみや、
違法に設置された刺網を原料にして作られたシューズを発表しました。
2016年中に商品化の予定です。

Sustainia-2016年のトレンド③電力網をなくす
「ナトリウムイオン電池の開発事例」
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Photo by Sustainia 2016: P109 「M-KOPA SOLAR」

大規模発電所からの送電電力に依存せず
複数の電源と蓄電設備を組み合わせた小規模の電力供給網
「マイクログリッド」の導入が世界で進んでいます。
マイクログリッドの維持に不可欠なのが蓄電池。
レアメタルを使うリチウムイオン蓄電池に代わる電池の開発が求められるなか
英国で、海水から無尽蔵に取り出せるナトリウムを利用した蓄電池が開発されました。

Sustainia-2016年のトレンド④ICTを活用してインフラを改善する
「尿を水に変えるトイレの開発事例」
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Photo by Sustainia 2016: P120 「SEVA SUSTAINABLE SANITATION」

途上国では、水や電気が利用できる人よりも携帯電話を所有する人の方が多いことから
ICTを活用したインフラ改善事例が増えています。
24億人がトイレがない生活を送っているという社会課題に取り組むため
米国で、太陽光を利用して尿を無害な水にするトイレが開発されました。
スマホを使って利用者が簡単にメンテナンスできる仕組みで
インドなど4カ国で導入されています。

企業にとって社会の持続可能性の追求は単なるビジネスチャンスではありません。
持続可能性への取り組みは
企業のイノベーション能力を促進し、
結果として企業の「持続可能な経営」にもつながります。

Deloitteの2013年の調査では、
サステナビリティとイノベーションの関係性について
・サステナビリティという思考のレンズを通すと、従来とは違う視点で戦略を検討することができる
・サステナビリティは、企業経営に制約を課すことから(例:環境への配慮など)
事業形態や製造工程の変更などのイノベーションを促進するドライバーになる
・サステナビリティとイノベーションのランキング掲載企業を比較した結果
サステナビリティ・リーダーはイノベーション・リーダーになりやすい
(サステナビリティでランクインしていない企業に比べて同年で4倍、翌年で6倍の差)
とまとめています。

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グラフ:前年(右)と同年(中央)のサステナビリティリーダーは
平均値(左)に対してイノベーションリーダーになる確率が高い
Deloitte “Sustainability Driven Innovation Harnessing sustainability’s ability to spark innovation” (2013) P2

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食品会社は家畜の福祉に配慮を! 運用総額1.5兆ポンドの投資家が要求

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Photo by Romita Peña

世界で初めての畜産動物福祉に関する投資家宣言に
イギリスのAviva Asset Management、フランスのBNP Paribas Investment Partners、
オランダのRobecoなど
総額1.5兆ポンド(196兆円以上)を運用する18の機関投資家が署名しました。

この宣言は、畜産動物福祉が食品セクターの長期的な価値創出に関わる
重要な課題であるという観点から発表されたものです。
宣言に署名した投資家は
食品会社への投資判断の際に動物福祉への取り組みを考慮するとともに
企業に対して畜産動物の取り扱いに高レベルの基準を課すよう働きかけていきます。

取り組み推進にあたって使用が推奨されているのが
イギリスの動物愛護関連NGO3団体によって運営されている
「畜産動物福祉に関する企業のベンチマーク:
Business Benchmark on Farm Animal Welfare(BBFAW)」です。

2012年から世界の主要な食品関連企業対象に行われている調査で
2015年版は欧州、北米の90社が対象でした。

主な評価項目の概要と各分野のスコアの配分割合は以下の通り
●マネジメント層のコミットメント (34%)
・動物福祉取り組みに関するリスクと機会の特定
・動物福祉取り組みに対して中核となる原則・方針があるか、またそれがどのように事業全体で実施されているか
・クローンや畜産動物が閉鎖飼育環境、麻酔なしの屠殺、長距離輸送などに関する方針の有無

●ガバナンスとマネジメント (41%)
・方針実施における責任の所在
・サプライチェーンの取り組み、管理監督
・目標とその進捗管理方法
・進捗報告

●リーダーシップとイノベーション (15%)
・R&D投資
・業界団体やイニシアチブへの参加
・外部表彰、評価
・消費者の啓発

●成果報告 (10%)

これら項目をもとに6階層にわけて企業を評価しており
2015年に評価の高い上位3階層に入った企業は
第1階層:マークスアンドスペンサー、スイスのコープグループなど
第2階層:米国マクドナルド、ユニリーバなど
第3階層:ウォルマート、ネスレ、サブウェイなど

課題認識が見られないとされた第6階層には
バーガーキングやドミノピザなどが入っています。

BBFAWのプログラムディレクターは
「今回の投資家声明によって動物福祉がニッチな倫理の問題ではなく、
重要なビジネスリスク・機会であることが明らかになった」とコメントしています。

参考:動物福祉と動物愛護の違いについてはこちらから

ーーーーー
参照:
The Business Benchmark on Farm Animal Welfare 2015 Report
BBFAWプレスリリース 

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日本からは花王 WWFが選ぶサステナビリティ調達優良企業は?

WWFは、6月に、消費財・小売・食品企業の業界団体Consumer Goods Forum(CGF)
の会員企業256社の開示情報をもとに
サステナビリティ調達の取り組み状況についての調査結果を発表しました。

調査対象となった原材料は
・森林破壊と気候変動への影響が大きい:パーム油、紙、パルプ、牛肉、木材、乳製品、豆
・水資源の使用量、汚染度が高い:綿、サトウキビ
・乱獲が懸念される:マグロ、白身魚、熱帯エビ、養殖エビ、養殖鮭、食物連鎖の低層にいる小魚
の14点です。

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写真:同レポートP8:調査対象14品目

WWFは、上記14品目についてCGF加盟企業256社が調達している量の割合が
世界全体の生産量において大きいことを指摘した上で
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写真:同レポートP6:14品目の世界全体生産量
におけるCGF加盟企業256社の調達量(緑:小売業、青:製造業)

・アニュアルレポートでサステナブル調達について開示しているのは対象企業のうち48%
・調達方針や戦略について進捗報告を行っているのは46%
・森林破壊ゼロ方針を出しているのは36%で、それに対して期限付きの定量目標を設定しているのは20%
・上記14の原材料に対して期限付きの定量目標を設定しているのはわずか9%(以下の22社)で
目標通りに取り組みが進んでいるのはそのうちの14社のみ

であることを報告し、サステナビリティー調達の実現に向けて本格的に行動を起こしているのは
一部の企業のみであると訴えています。

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写真:同レポートP8:調査対象14品目に対しての調達取り組みで「優良」と評価された22社

日本企業も、味の素、伊藤園、明治、キッコーマン、キリンホールディングス、
資生堂、伊藤忠食品、イオン、ローソンなど77社が調査対象でしたが、
今回優良企業と評価されたのは花王のみでした。

WWFは、CGF加盟企業に対し
2020年までに全ての調達においてWWFの推奨基準をクリアした調達先だけを採用することを目指し
実現のための期間付き定量目標と行動計画を提示することを呼びかけています。

先日参加したFSCジャパンセミナー「企業の責任調達」では
花王の購買部門統括の方が
「花王は消費者の意識が高まっていくことを予測し、先進的な調達方針を打ち出してきた。
環境NGOからの圧力は年々高まる一方、日本の消費者意識の高まりは感じない。
人々の意識が変わらないと、責任調達にかかるコストは全て売り手が負担することになる。」
と語っていました。

しかし世界全体を見渡すと
ニールセンが昨年世界の消費者対象に行った調査では、
「サステナビリティにコミットする企業にもっとお金を払ってもいい」
と回答した人の割合が2013年の50%から2015年には66%に増加しており
とくに1980年代から2000年代初頭に生まれたミレニアル世代の若者においては
その割合が73%に及びます。

ニールセンのレピュテーション担当者はこの調査について
「『社会的責任を果たし環境にやさしい』というイメージを若者に与えられる企業は
市場シェアの獲得機会に加え、今後大きな購買力を持つことになる
ミレニアル世代との強力なつながりを築くチャンスも手にしている」と述べています。

グローバル市場で事業を行う企業はもちろん
変化の早いいまの時代、
日本の消費者にもいつ変化が訪れるかわかりません。

ーーーーーーー
参照:
WWFプレスリリース 
WWF報告書 Slow Road to Sustainability

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企業の人権ベンチマーク、パイロット版の指標が完成

伊勢志摩サミットでは、前回のエルマウサミットで討議された
責任あるサプライチェーン」について貿易の部分で一部言及されたのみで
進展がありませんでしたが
国際標準化機構で検討中のISO20400(持続可能な調達のガイドライン)は2017年に発行される見込みで、
2020年の東京オリンピック関連の調達への適用が予想されています。

ISO20400において主題のひとつである「人権」について
企業のサステナビリティ格付・ランキングが始まるようです。

2014年に「国連のビジネスと人権フォーラム」で発足した
「企業の人権ベンチマーク(Corporate Human Rights Benchmark)」というイニシアチブが
2016年11月発表の企業ランキングに使用するパイロット版の指標を発表しました。

これは世界規模で企業の人権に関する方針や取り組みのプロセス・実践状況を評価・格付けする初の取り組みで
人権ビジネス研究所、資産運用会社大手のCalvert Investmentsや責任投資の調査会社Vigeo Eiris、
人権NGOらが共同で開発したものです。

透明性と信頼性の高い指標をつくり出し、情報を一般公開することによって
市場の競争性を利用して企業の人権取り組みを加速化するとともに
各社を比較できるようにすることで
投資家や市民社会による企業への働きかけを促進することを目指しています。
(EIRISプレスリリースより)

グローバル企業100社をベンチマークする第1回目の調査では、農作物・アパレル・採掘業の3業種が対象で
日本企業では、Fast Retailingとイオンの2社が入っています。

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写真:評価項目とスコア配分(本レポートP41)

指標は、国連人権理事会の「ビジネスと人権に関する指導原則(ラギー・レポート)」に沿って
6項目で構成されており
Score1を満たさないと0点、Score1を満たすと1点、Score1と2の両方を満たせば2点となります。
また指標ごとに、GRI、SASB、SDGs、ILOの条約など、世界の幅広いイニシアチブやガイドライン等との共通項目が一目で確認できるようになっています。

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写真:本レポートP70

項目ごとの指標例は以下です。
ーーーーーーー
●ガバナンス・方針(10%)
・業界特有分野の人権尊重
・人権擁護者の尊重
・トップのコミットメント
・役員委員会での協議内容
・役員委員会への人権取り組みに対するインセンティブ

●デューデリジェンス(25%)
・人権尊重方針への取り組みに対するマネージャークラスへのインセンティブ
・企業全体のリスクマネジメント体制に人権リスク対応が組み込まれているか
・人権に関する教育制度
・取引先決定における対象企業の人権パフォーマンスの考慮
・人権リスクとインパクトの評価(特に顕著なリスク、業界特有のリスク)
・リスクの説明責任

●救済・苦情処理メカニズム(15%)
・従業員向け/外部向け苦情通報メカニズムの有無
・利用者がメカニズムの設計に関わっているか
・メカニズムの仕組みの公開
・報復的行動を禁止しているか
・対応と改善方法の公開

●取り組み状況(20%)
・最低賃金の支払い
・サプライチェーンのマッピング・開示
・死亡率、事故率、労働損失日数の開示
・土地の権利の特定方法
・女性の権利の認識
・サプライチェーンの労働時間
・先住民の権利尊重

●深刻な不正への対応(20%)
・すべての疑惑に対して公的説明を行っているか
・適切な方針・アクションの有無

●透明性(10%)
・全指標から関連項目を考慮して評価
ーーーーーーー

今回の指標では、労働者が仕事を得るために料金を払うことを禁止する“No Fee”という活動や
雇用主が労働者の転職を妨げる行為まで取り上げている点や
国連指導原則報告フレームワークとの関連性の高さが特に評価されています。

11月にまたランキングの結果についてブログを書きます。

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食生活へのシフトに向けた動き

2050年までに世界人口が90億人に達すると予測されるなか
不足が懸念されるたんぱく源の生産。

家畜の餌に使う大豆の生産は森林破壊の最大の原因のひとつ
世界の温室効果ガス排出の20%近くが畜産業関連であり
現在の世界の食生活を地球が支え続けていくことはできません。

世界資源研究所は4月に
持続可能な食生活へのシフトの方法を提案するレポートを発表しました。

いままでの類似取り組みは
ベジタリアンになることを呼びかけるキャンペーンなど
消費者への教育が主でした。

しかしまだ多くの消費者が、食べ物の環境・社会影響よりも
味や価格を重視することや
そもそも購買行為は、理性や情報よりも
無意識な習慣に基づくことが多いことから、
過去の取り組みは効果が見られなかった点を指摘しています。

そこで同レポートでは、
効果が実証されている民間企業のマーケティング手法に基づいた
包括的な取り組みをフードチェーン全体で行うことを提唱しています。

主な提案は以下の4点。
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図:レポートP12
(以下右上から時計回り)
・肉の代替商品(大豆ミートなど)を肉売り場に置き、
味、外見、パッケージを動物由来のものに似せるなど、食生活のシフトをより自然にする
・消費行動に影響しやすい「健康」や「価格」をアピールする。
(植物由来のたんぱく質は動物由来のものより安いため、原料を植物由来に変えることで食品製造企業の利益向上にもつながる)
・商品を見かける回数が多いほど購買につながるため、サステナブルな食品の販売や印象的な広告を増やす。
・食生活は社会規範や文化的環境に左右されるため(一部の国では肉を食べることが豊かさの象徴であるなど)
教育だけでなく、どの食品が社会的に好ましいかのイメージを変えていくことが必要。

同レポートでは、政府に上記の仕組みづくりへの財政支援を呼びかけ
企業や政府に、動物由来のたんぱく質の商品削減に関する定量目標を設定することを提案しています。

これに沿った企業の動きを見てみると
今年2月に英NGOのForum for the Futureが、WWFや、小売大手のTargetやWaitrose、
菓子製造業のHershey’sなど6社とともに
プロテインチャレンジ 2040を発表しました。
このイニシアティブでは9億人が健康的で環境によいたんぱく質を手ごろな価格で入手できることを目指し、
さらなる団体や企業の参加を呼びかけています。

主な取り組みは以下で、各項目に2018年までの中期目標を設定しています。
・植物由来たんぱく源の消費を増やす:例)調理済み食品に植物性たんぱく質を使用する、企業のブランドの力を使って啓発を行う
・イノベーションにより、人間の食料にならない資源を飼料に転用
・フードチェーンで無駄になっている30%の食料を有効利用する
・在来植物からのたんぱく源摂取を増やす
・水産養殖を持続可能にする:例)浄水作用を持ち、魚の餌にもなる微生物を使用した養殖
・新しい肥料を使い土壌の健康を回復する:例)植物の害虫や干ばつへの耐性を高めるワカメなど

また、肉の代替たんぱく源として注目されているのが藻や昆虫。
材料の一部にコオロギの粉を使用したプロテインバーを生産するExoはKickstarterで資金調達を行なっており、
2013年から2016年3月までで6億円以上を集めていることが注目されています。

最後に、国単位の動きとして興味深いのが
デンマーク政府の肉への課税検討です。
デンマークの倫理委員会は、パリ協定の2度目標を達成するには消費者の倫理的行動に頼るだけでは不十分で
国としての政策が必要だとコメントしています。

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世界に広がるホームレス向けアパレルショップ

2014年に南アフリカのケープタウンでオープンした
ホームレスの人々向けのセレクトショップ「The Street Store」。

現在、インド、ブラジル、メキシコ、カナダ、オーストラリアと世界各地に広がっています。

その仕組みがこちら。

道路沿いに掲げられているのは、
「服をかけてください」と書かれた段ボール。

いらなくなった服がかけられるようになっており、
ホームレスの人たちは、自分たちが欲しいと思うものを
ウィンドウショッピングならぬストリートショッピングが
できるようになっています。

一方的に支援物資を配給する対象とするのではなく、
相手を尊厳を持った個人として扱うこの取り組みには、
多くの共感と賛同が寄せられています。

貧困状態に陥った人の「尊厳」の問題。

日本では形を変えて、生活保護受給の問題として現れています。
生活保護の受給を恥と考え、生活に困窮しているにも関わらず、
受け取りを拒んでしまう人が多くいます。

今後、ロボット技術の普及によって失業者が増えていくことが想定されるなか、
貧困に陥らないためのセーフティネットとして
国民全員に一律で生活に必要な賃金を支給する
ベーシックインカムが議論されてしかるべきときに来ていると思います。

この夏、スイスでは、世界で始めて
ベーシックインカムの導入が国民投票にかけられます。
結果に注目です。

ところで衣類の再利用といえば、ユニクロとGUが進める
難民支援のために1000万着の古着を回収する
「1000万着のHELP」が800万着にまもなく到達するようです。https://www.uniqlo.com/jp/csr/10MillionWaysToHelp/

この機会に自宅の衣服の断捨離をしてみてはいかがでしょう。
(両社の製品のみが回収の対象です)

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栄養へのグローバルアクセス指数2016

nutrition index
写真:Global Access to Nutrition Indexウェブサイト

世界では8億人が十分な食事をとれず、20億人が栄養不足の状態にありますが
60億人が太り過ぎで、肥満による経済損失は、医療費や生産性損失によって
世界のGDP総額の約2.8%にあたる2兆ドル(約12兆円)に上ります。(*1)

オランダのGlobal Access to Nutrition Foundation
栄養問題解決には企業が果たす役割が大きいとして
世界の22の食品・飲料メーカーを対象とし
肥満撲滅や栄養改善への取り組みをランキング化した
Global Access to Nutrition Index2016を発行しました。

Global Access to Nutrition Indexイニシアチブの投資家声明に署名している
投資家の総資産は3兆ドル(約355兆円)になります。

本指標では「ガバナンス、製品、アクセシビリティー(提供する健康的な食品が入手しやすいか)、
マーケティング、ライフスタイル(従業員と消費者の健康)、
ラベリング(充実した情報提供によって消費者の商品選択に影響を与える)、
エンゲージメント」の7つの視点から
栄養価の改善や肥満撲滅につながる
「コミットメント、取り組み、情報の開示状況」を評価します。

トップ3には、栄養分野の社会課題解決を事業活動のコアに位置付けている
ユニリーバ、ネスレ、ダノン、
日本企業からは、ガーナでの取り組みが評価された味の素が15位となっています。

トップ3の主な評価ポイントは
ユニリーバ:栄養分野のリスク・機会分析を行うための
ガバナンスシステムが確立されている。
独自の栄養素分析・記録システムを世界中の全ブランドで使用し
外部・内部専門家が定期的にレビューを行っている。
ネスレ:最高ガバナンス機関が承認した明確な戦略をもとに
「健康的な食品へのアクセス向上」「商品の成分見直し」「責任あるマーケティング
に取り組んでいる。
ダノン:手ごろな価格で提供できる健康的な食品の開発と
積極的なステークホルダーエンゲージメントを行っている。

日本企業で唯一対象になっている味の素は
途上国での活動が高評価を受け、
出産適齢期の女性や産後1000日後の子どもに焦点をあて
大学や政府、NPOとともに行っている「ガーナ栄養改善プロジェクト」が
栄養不足解消の先進事例として取り上げられています。

特に、現地での生産や現地に適した流通ネットワークをつくると同時に
消費者への栄養教育を行うなど
包括的な取り組みを行っている点が評価されました。

味の素の栄養関連取り組み全体への改善案としては、
・会社としての”健康な食品”の定義が不明確
・責任あるマーケティングと栄養表示へのコミットメントが不十分
・ステークホルダーエンゲージメントの事例は公開されているが
フィードバックの反映度やステークホルダーエンゲージメントの構造が不明瞭
・ラベリング、マーケティング、流通など主要分野の戦略における経営陣の意見が見えない
などが挙げられています。

財団の代表は、「消費者の健康意識が世界中で向上している中で、
栄養課題への取り組みは企業責任を果たすだけでなくビジネスチャンスでもある」と述べています。

ーーーー
※1: 世界人口の約3割、過体重か肥満 報告書 http://www.afpbb.com/articles/-/3032306

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SDGsに向けた企業の動き

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Photo by the Global Goals

8月末で期限となる「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継計画
「持続可能な開発目標(SDGs)」が
9月の国連サミットでついに採択される予定です。

SDGsでは、協同組合や小企業から多国籍企業までが
創造力、イノベーション、投資によって課題解決の推進力になることが求められており*1
年間2兆ドルの資金が民間セクターから期待されています。*2

また、8月に国連事務総長が発表した、国連と企業の協働を進めるためのガイドライン改訂版では
SDGs実現に向けて、民間セクターの協力活動における「透明性」と「ステークホルダーへの説明責任」が
今後さらに求められることが書かれています。

すでに始まっている企業の活動を見てみると
目標が採択されるサミット翌日からの7日間で
SDGsについてマスメディアから学校の授業まで
あらゆる手段を使って地球全体の70億人に共有するという
Global Goalsキャンペーンに、グーグルやユニリーバ、スタンダードチャータードなどが支援を表明。

ユニリーバのCEOポール・ポールマン氏は
SDGsを支援する理由として
生産や流通に直接影響する気候変動対策だけでなく
同社の消費者の70%以上が女性であり、女性は収入の90%以上を家族に投資するにも関わらず
その収入は世界全体の10%以下である点を挙げ
女性への投資が同社の事業の成長につながることを説明しています。*3

MDGsは8つの目標と21のターゲットで構成されていましたが
SDGsは目標が17、ターゲットが169と項目が大きく増える中
企業は、本業を通して効果的に貢献できる分野を絞り込み、
取り組む理由をより明確に伝えていくことが求められるようです。

——–
参照・用語
※1: Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development
P.25 項目7 
https://sustainabledevelopment.un.org/post2015/transformingourworld
※2: How the private sector can make sustainable development a reality
http://www.greenbiz.com/article/how-private-sector-can-make-sustainable-development-reality
※3: ユニリーバ プレスリリース
https://www.unilever.com/sustainable-living/sustainable-living-news/news/engaging-people-in-the-fight-to-end-poverty-and-tackle-climate-change.html

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英製薬大手グラクソ・スミスクライン 世界初のマラリアワクチンを非営利で普及へ

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photo by CDC Global

7月24日、画期的な発表がなされました。

これまで有効とされるワクチンがなく、
長年研究が続けられていたマラリアワクチンについて
世界で初めて「効果がある」と認められたのです。

GSK’s malaria candidate vaccine, Mosquirix™ (RTS,S), receives positive opinion from European regulators
for the prevention of malaria in young children in sub-Saharan Africa

英製薬大手のグラクソ・スミスクラインと
マラリアワクチンの開発に取り組むNPOが共同で開発した
このMosquirix™というワクチン。

欧州医薬品庁から生後6週間〜17ヶ月の子どもに対して有効であるとの審査結果が出され、
現在WHOにて最終のレビューにかけられています。

世界人口の約半数が感染リスクにさらされているマラリア。
毎年、2億人以上が感染し、60万人以上が死亡。
そのうちほとんどはサハラ以南アフリカの子どもたちです。

日本にいるとあまりなじみがないかもしれませんが、
1930年頃までは日本でも存在しており、
戦時中は多くの兵隊が出征先でマラリアにかかり亡くなっています。

マラリアについて(厚生労働省FORTH)

ワクチンが最終的に承認されれば、殺虫剤処理された蚊帳や
殺虫剤スプレーなどとの併用で
マラリア予防に大きな効果が期待されます。

グラクソ・スミスクラインのマラリアへの取り組みの歴史
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もう1つ画期的なのは、このワクチンからは儲けないと同社が宣言している点です。

販売価格は、製造コストに
研究開発に再投資するために5%の利益を上乗せするのみ。

開発に至るまでに30年以上。
これまでに3.6億ドル以上を費やし、今後さらに
さらに2〜2.5億ドルを投資するとしていますが、
このワクチンそのものからの利益創出は見込まず、普及を優先させ
マラリアワクチン分野における地位確立を目指します。

実は私も、マラリアに感染し、死にかけた経験があります。
ソロモン諸島で感染し、潜伏期間の後ホンジュラスで発症。
現地のICUに3週間以上入っていました。。。助かったのは若さと運です。

今回のニュースを聞いて素直に嬉しく、
一刻も早く承認がなされ、普及がはじまることを願います。

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世界で広がる企業の金融包摂

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Photo by Ben Lyon

前回のブログで紹介した世界で広がる金融包摂ですが、
企業セクターの活動も大きく寄与しています。

本記事では、特に成果が期待されている
「革新的な技術活用」と「金融リテラシーの提供」
の分野で取り組みを進める企業を紹介します。

モバイル技術による金融包摂の大幅な拡大が今後特に期待される
サブサハラ・アフリカ地域を見てみると
たとえばケニアのVodafoneグループ企業と現地の電話会社サファリコム
SMSを使った金融システム“M-PESA“によって
人々が資産を携帯で安全に送金・貯蓄できるようになったことで
ケニアは、モバイル口座の普及率が同地域で一位になりました。

また、成人で金融へのアクセスを持つ人口が10%以下とされる太平洋地域では、
オセアニア地域のCSRをリードするオーストラリアの銀行Westpac
サステナビリティ重要課題に対する戦略目標のひとつに
太平洋地域の金融のアクセサビリティー向上を掲げています。

主な取り組みとしてお金の仕組みに全く馴染みのない人たちの
金融リテラシー向上を目指し、
お金の大切さや、管理の方法などを教える無料セミナー提供や
モバイルバンキングの活用促進で、
2014年には太平洋地域で新しく77万人が口座を開設したそうです。

急速に広がる金融包摂ですが、世銀の掲げる目標の達成には
女性や最貧困世帯への取り組みが課題とされています。

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「水くみ3km」と「灯油ランプの明かり」から考える社会課題の伝え方

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リーバイスが提供するウェブコンテンツが話題ですね。

Forever Blue
http://levi.jp/foreverblue/

水がない村に住む途上国の子どもたちが、
日常的に水汲みのために行き来している
3kmという道のりを追体験できるというこのコンテンツ。

リーバイスはこれまでも水問題に積極的に取り組み、
1回で狙いの色を出す工夫や、オゾンを使っての脱色など
極力水を使用しないジーンズを発売してきましたが、
水がない地域に住む人々の実情をより多くの人に知ってもらおうと
ジーンズ回収プログラム”LEVI’S® FOREVER BLUE“
連動して制作されたものです。

回収されたジーンズは、アーティストにより
トートバックに生まれ変わり、販売されます。
収益の全額が水不足に取り組むWaterAidに寄付され、
東ティモールで安全な水を提供する活動に活用されます。

リーバイス® ジーンズを回収・リメイクして途上国に貢献
http://www.wateraid.org/jp/news/news/foreverblue150508

このコンテンツを通じて是非体験していただきたいのが、
この「3km」という距離。
ポイントは、途上国での「3km」であるという点です。

日本で3kmを歩くのに必要な時間は、
ざっと40〜45分でしょうか。

でもその道のりが、舗装がされていない、
でこぼこの砂利道やけもの道だとしたらどうでしょうか。
軽く3倍の時間はかかります。
そして重たい水をかつぎながら、帰りの途につきます。

そうして水がない地域に住む人々は、
1日の約1/4を水くみに費やしているそうです。

同じ情報でも、日本の感覚で捉えるだけでは、
実は問題の本質を掴めていないということに気付かされます。

同様のことを、パナソニックの「ソーラーランタン10万台プロジェクト」で
撮影を担当するカメラマンの方が語っていました。

たとえばこのケロシンランプの写真をみて、
どのように感じるでしょうか?

暖色系で暖かい炎。

もしかしたらそのように思われるかもしれません。
でも実際には、ケロシンランプから立ち上る黒い煙は
人々に重大な健康被害の原因となっているのです。

[The Frontline of Solar Lantern Vol. 4/ソーラーランタン最前線 第4回]This series introduces you the untold stories behind the…

Posted by Panasonic 100 Thousand Solar Lanterns Project on Monday, June 8, 2015

そうした現地の人々が抱える課題の本質を
いかに実感を持って感じてもらうか。
伝え方を考える上で、常に意識し、工夫したい点です。

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拡大が加速する金融包摂

キャプチャ

2015年4月に世界銀行の
「金融包摂(ファイナンシャルインクルージョン)」
に関する報告書”The Global Findex Database 2014″が公開されました。

「金融包摂」は、金融システムへのアクセスを持たない人や企業に、
金融サービスを提供しようとする取り組みです。

世銀では、貧困をなくすために「金融包摂」が不可欠であるとして
2013年に、
2020年までに就労年齢のすべての成人に金融アクセスを提供する
という野心的な目標を発表し、
今回、銀行口座の普及状況をもとに金融包摂の進捗を発表しました。

本報告書によると、2014年時点で
世界の成人人口の約20億人が銀行口座を持っていません。
特に途上国の所得の下位40%に属する世帯では
その数は半数以上に上ります。

また、貧困層と呼ばれる人々が
信頼できる正規の金融機関で預金や借入ができることは
彼らが貧困の悪循環から抜け出し
安定した生活を得ることに役立つとしています。

私がフィリピンの農村に住んでいたときに学んだのは、
たとえば、農民が干ばつなどで収入が得られないとき
生活費や教育費を調達するには、知人に借金をするか
高利貸しに頼るしかありません。(家族の病気などの緊急時も同様)

農民が集まって農業組合としてローンの仕組みをつくる人たちもいましたが、
管理担当者がお金に困って組合のお金を盗んでしまったり、
メンバー全員が十分な金融リテラシー*を持つわけではないので
十分に機能しないことが多いと聞きました。

*金融リテラシー:金融に関する健全な意思決定を行うための意識や知識

貧困層が銀行口座を持たない主な理由としては、
口座の開設にかかる費用や手続き、銀行までの距離が挙げられます。(報告書P.3)
また、世界の携帯の契約数は70億を超えており、
その3/4は途上国で(ITU調べ)あることから
携帯電話の機能など技術の活用は近年特に注目されています。

2011~2014年の間に新しく口座を開設した人の数は7億人に上っており
携帯電話の活用や金融サービスのデジタル化が大きな役割を果たしています。(世界銀行 The little data book on Financial Inclusion P.26)

世界レベルでとられているアクションの例としては、
G20でも金融包括に向けた具体的な10の行動計画が発表されており
その中で掲げられているのが
革新的な技術活用と金融リテラシーの提供です。

次回のブログでは、この2つの分野で金融包摂に取り組む
企業活動の事例をご紹介します。

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2030年世界の淡水は40%不足、中国の水汚染防止行動計画、ネスレの水を使わない工場


photo by Matt Berlin

2030年には、世界の淡水が40%不足する」

3月22日は国連が定める「世界水の日」でした。
上記は同日発表された「世界水発展報告書2015」において
示された予測です。


The UN World Water Development Report 2015, Water for a Sustainable World

報告書では水の需要が増えている原因として、
人口増加や都市化の進行、住宅の大型化、肉の消費拡大、
自動車やエネルギー消費量の多い機器の増加などが挙げられています。

一方、干ばつなどによる水不足も世界各地で深刻化しています。
最近では米国カリフォルニア州で家庭にも
25%の節水を義務付けることが発表されました。

対策に関する最近の動きでは、大きなものでは
中国で4月2日、「水汚染防止行動計画」が発表されました。

これは2013年に発表された「大気汚染防止行動計画」に続く
汚染対策に関する大規模な施策です。

基準に違反した製紙や印刷、農薬企業などの操業停止や
2020年までに都市の飲料水供給の93%を
飲み水として安全なレベルにするなどの
水質改善に関する長期的な目標値を定めています。

ただし施策の実施にあたっては、
大気汚染防止行動計画ほどの
政府からの大きな財政支出は予定されておらず、
民間の力に頼る形となるそうです。

それでも直接・間接のGDP押し上げ効果は
5.7兆元(約1兆円)に達すると予測されています。

また企業の動きでは、4月27日に発表された Global Water Awardsで、
ネスレが水スチュワードシップ賞を受賞しました。

これは2011年から毎年行われている水に関する取組みを表彰するもので、
総合大賞のほか、排水、リユースなど12の部門に分かれています。

ネスレが受賞したのは、メキシコで操業する
地下水を使用しない乳製品工場。

なんと牛の生乳から水を抽出し、利用するというものです。
この技術を今後、インドや中国など
水不足の地域の工場に展開するとしています。

水に関する問題は、日本にいるとどうしても
世界の感覚についていきにくいところがあります。

アンテナを高めたい方は、水ジャーナリスト・アクアコミュニケーターの
橋本淳司さんの週刊「水」ニュース・レポート
面白く勉強になり、おススメです。

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アフリカで見たデジタル教育の最先端と教育支援

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3月末に訪れていたモロッコで、
デジタル教育に関するカンファレンスをのぞく機会がありました。

北西アフリカの教育省トップも参加する会議で、
会場入口にはシャープやIntelなどの企業も出展。
シャープは電子黒板、Intelはミニタブレットをそれぞれ紹介していました。

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デジタル教育のことは話では聞いていたのですが、
実物を見るのは初めてだったこともあり、
そのハイスペックに圧倒されっぱなし。

こうしたデジタル教育の推進は、子どもの教育にお金をかける
富裕層が通う学校で強いニーズがあるということです。

自分の経験からは、教育はもっとアナログで
効率ばかりを追求しなくてもいいのではないかという思いもあり、
デジタル教育そのものの是非については正直なところ
よく分からないのですが、富裕層と貧困層の間の教育格差は
どんどん開いていくのだろうと感じました。

一方で、デジタルの力をうまく活用して、
貧困層向けに安価な教育を提供している事例もあります。

ケニアでスタートしたBridge International Academiesは、
教師のタブレット活用により統一された教育コンテンツを提供し、
データシステムの導入でクラスの維持管理のコストを大幅に低減することで、
月5ドルで子どもたちに授業を提供している民間企業です。

マイクロソフトのビル・ゲイツやFacebookのマーク・ザッカーバーグも支援し
設立から5年で400校以上を開校。
アフリカ・アジアで12万人以上の子どもたちが通います。

インターネットやモバイル機器の発達により、
より多くの子どもが教育を受ける「機会」を得て、
場所を問わず同じ教育コンテンツにアクセスが
できるようになることは重要です。

日常的にインターネットを利用できない人々は
依然世界に数10億人いるといわれていますが、
先日Facebookが太陽光を動力とした無人航空機ドローンを飛ばして
ネットへのアクセスを人々に提供する計画を発表
したように、
今後その数は減少していくことでしょう。

一方で、こうした「機会」さえあればすべてが解決するわけではなく、
特に教育については政府が積極的に経済的な不平等による差を
是正していくことが求められます。

若者の失業率が全世界で深刻な問題となり、
青少年の教育支援への関心が高まるなか、
企業はどこに貢献していくことができるのか。

企業が果たす役割についても注目が集まっています。

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