アジアとサステナビリティ」カテゴリーアーカイブ

2022年カタールW杯の注目はココ 世界の建設会社の人権取り組み

construction workers on the promenade (2)
photo by Paul Keller

もうすぐリオ五輪ですね。

オリンピックと並ぶ国際的なスポーツ大会が、
FIFAサッカーワールドカップ。

2018年がロシア。その次が2022年にカタールで開催される予定です。

開催まであと6年あるカタールW杯への注目が、
いま高まっています。

その理由が、労働者の人権問題。

カタールは開催準備に向けた準備。
周辺国のアラブ首長国連邦ではドバイでの2020年国際博覧会など、
中東地域では建設ラッシュが続いています。

そこで働く建設労働者のほとんどが、
インドやフィリピンなどのアジア諸国やアフリカからの移民です。
そしてその多くが、厳しい労働環境におかれています。

給料の遅配・未払い
危険な労働環境
パスポートの取り上げ
労働組合の結成・参加ができない
労働搾取を訴える手続きにアクセスできない

建設労働者がおかれている状況については、
アムネスティ・インターナショナル日本の資料に詳しいです。

「メガスポーツイベントと人権」
http://crt-japan.jp/files%202015/2015SHE/amnestyjapan.pdf

そうした状況に対し、
建設会社がどのような取り組みをしているのか、
中東地域で事業を展開する世界100社を対象に
行われている調査の結果が発表されています。

Institute for Human Rights and Business(ビジネスと人権リソースセンター)
Migrant Workers in Gulf Construction

image

これまでに47社にコンタクトし、
何かしらの回答があったのは15社。

日本企業では大林組の名前がありますが、
「回答なし」となっています。

建設業での取り組みが進まない理由の1つに、
サプライチェーンの長さ・複雑さがあります。

しかしだからといって、
方針を策定して契約に盛り込めばそれでOK
ということにはなりません。
最低限のデューディリジェンスを行っていくことが求められます。

回答があった企業のなかで、好事例として紹介されていたのが
英国のレイン・オルーク(Laing O’Rourke)。

回答内容をこちらで見ることができます。
http://business-humanrights.org/en/laing-o%E2%80%99rourke-0

移民労働者の問題は中東の話、
ではありません。

日本では、「外国人研修・技能実習制度」の制度を利用して
中国やベトナムから来日した4万人以上の技能実習生が
農漁業や建設業などで働いていますが、
「労働搾取」「現代版女工哀史」であるとして度々批判の的となっています。

今後も移民労働者が増えていくことが確実ななか、
企業にはしっかりとデューディリジェンスを果たしていくことが求められます。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , , , | コメントは受け付けていません。

ユニクロの中国サプライヤー工場の人権問題を考える


photo by Taichiro Ueki

「UNIQLO労働者に尊厳を!搾取工場にNO!」と書かれ
掲げられる横断幕。

日本企業の中国サプライヤー工場における労働問題がここまで
国内で話題になったのは、初めてのことではないでしょうか。

今年1月11日。
香港を拠点とするNGO SACOMと、
日本のNGO ヒューマンライツ・ナウにより、、
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの
中国取引先工場での労働状況に関する調査報告が発表されました。

中国の縫製/織物工場における労働者の権利を確保するための早急な行動を
ブランドとサプライヤーに求める

両団体は工場2社への2ヶ月間の潜入調査と聞き取りを実施。
労働時間や作業環境、管理実態に関して調査が行われ、
長時間労働や低い基本給、
高温の作業所や有害化学物質による健康リスク、
罰金制度を伴う管理システムや
機能していない労働組合といった問題を指摘しました。

そうしたNGO側の指摘に対し、
ファーストリテイリングも動きます。
報告書発表後すぐ、事実関係が一部確認されたとし、
改善を約束する声明を発表しました。

中国のユニクロ取引先工場における労働環境の改善に向けた弊社行動計画について

両NGOとファーストリテイリングとの会談の場ももたれ、
その内容はこちらで確認することができます。

今回の事件、これまでの経緯から、多くの示唆が得られます。

●人権問題への注目度のこれまでにない高まり
YahooニュースのHRN事務局長の伊藤さんの記事は1.1万回以上シェアされ、
250万以上のアクセスがあったそうです。
柳井社長のコメントもテレビで放映されています。

●サプライヤー監査の難しさ
CSRレポートにも取り上げられるなど
比較的しっかりとやっていたはずの工場で起きてしまった今回の問題。
二重記録に監査の重複、出稼ぎ労働者の稼ぎたいという意思、
他工場との競争環境など、難しい理由は色々ありますが、
モニタリングがどうして十分に機能しなかったのかの
徹底した検証が求められます。

●人権NGOの役割の重要性
潜入調査を通じて実態を把握し、声なき声を社会に伝える人権NGO。
欧米に比べ日本ではまだ十分に社会に認知されているとは言えませんが、
人権NGOが果たす役割の重要性が再確認されました。

●ファーストリテイリング側の迅速な対応
ここまでのスピード感を持って企業側が対応したのは、
問題を深刻に捉えている証といえます。
労働環境の改善については今後の進捗を
しっかりと確認していく必要がありますが、
解決に向けたオープンな姿勢は評価されるべきと思います。

●ビジネスモデルそのものへの疑義
今回取り上げられたのは2社の工場の問題ですが、
事の本質はファストファッションという業態に内在しており、
「安さ」のしわ寄せが労働者にきている結果ではないかという点です。
ビジネスモデルそのものが問われているともいえるかもしれません。

ファーストリテイリングが提示した改善策の1つに、
工場における従業員代表者の民主的な選出と団体交渉権行使の支援があります。

近年労働争議が頻発し、まさに過渡期にあるといえる中国の労働問題。
今度2月20日に中国の労働組合と労働NGOの動向に関する
報告会が開催されますので、関心のある方は是非行かれてみてはいかがでしょう。

明治大学招聘研究者講演会「中国における労働問題の現在~官製労働組合と労働NGOの動向を中心に~」
http://www.meiji.ac.jp/cip/info/2014/20150220_of_copy6t5h7p00000hwqrd.html

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ, 働く人の権利と基本的人権, 持続可能なサプライチェーン | タグ: , , , , , , | コメントは受け付けていません。

巨大化する国際スポーツ大会にベトナムがNo


photo by Jon Osborne

国立競技場の建て替え問題に関して、
先日建築家の伊東豊雄さんが既存施設を改修する代替案を提示し、
新規建設に比べコストも半分ほどに抑えられると発表されました。

この問題、私も巨大な新しい施設は不要と考えますが、
今後の動向を注視したいと思います。

オリンピックやワールドカップなどの
国際的なスポーツ大会は、
巨大化が指摘されて久しく、
地域への経済効果が期待される一方で、
ハコモノに膨大な予算がつぎ込まれ
長期的に財政を圧迫することへの懸念がつきまといます。

来月始まるワールドカップの開催地リオでも、昨年
反対運動が大きな盛り上がりを見せたことは記憶に新しいです。

そんな中、アジア版オリンピックともいわれる
アジア大会の2019年の開催地候補にあがっていたベトナムが、
財政的な負担を理由に自国での開催を辞退したとのニュースがありました。

Vietnam refuses to host Asian Games
http://www.nationmultimedia.com/breakingnews/Vietnam-refuses-to-host-Asian-Games-30231739.html

アジア大会開催によるベトナムスポーツ界の発展と
社会経済への良い影響は認めつつも、
巨大化した大会を支えるだけの十分な財政的余裕がないことを
辞退の理由としています。

こうした大会開催にかかる費用はコストではなく
都市開発への投資という意見もありますが、
建設された施設は往々にして大会終了後は
効率的に利用されていないともコメントしています。

こうした動きをみていると、
これまでの際限ない拡大を前提としたあり方から、
本当に大切なことは何かを問い直し、適正な規模に
ダウンシフトする時期に来ているのではないかと思います。

これは今の経済システムにも同じことが言えますが。。。

過去のオリンピックでは、
観客の移動分など間接排出までを対象とした
カーボン・ニュートラルな大会を目指しつつも、
まだ実現できていません。

東京大会もカーボン・ニュートラルな大会を目指していますが、
これも規模の前提を変えることで、達成できる可能性が
格段に高まるのではないかと考えます。

これから2020年の東京大会開催に向けて、
色んな動きが盛り上がりを見せていくことでしょう。
その陰でその他の大切な問題が隠れてしまわないよう、
意識して光をあてていきたいと思います。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , , , | コメントは受け付けていません。

2014年版Global100のトップになったWestpac銀行とは?


photo by Matt

毎年ダボス会議にあわせて発表される
コーポレート・ナイツ社による「世界で最も持続可能な100社(Global 100)」。

今年はオーストラリアのWestpac(ウェストパック)銀行が首位を獲得しました。

Global 100
http://global100.org/global-100-index/

Westpac銀行は、200年近い歴史を持つオーストラリアの4大銀行の1つで、
オセアニア地域のCSR・サステナビリティの取り組みを
長年リードしている会社です。

以前同社の市民セクター専門サポートチームについて紹介をしましたが、
今回は昨年発表された2013〜2017年の5カ年のサステナビリティ戦略について
取り上げたいと思います。

2013-2017 Sustainability Strategy
http://www.westpac.com.au/docs/pdf/aw/sustainability-community/2013-2017_Sustainability_Strategy.pdf

この戦略の中で、同社は以下の3つを
これから30年を見据えたときの重要課題と定めています。

1.人口動態や文化の大変化への対応(Responding to the big shifts of demographic and cultural change)
2.環境問題に対する経済的な解決策の創出(Creating economic solutions to environmental challenges
3.変化した社会における顧客の金融面での持続可能な未来の実現支援(Helping customers achieve sustainable financial future in a changed landscape)

3つの重要課題の下に、10の戦略目標と2017年のターゲットが設定され、
進捗の一覧表が2013 ANNUAL REVIEW AND SUSTAINABILITY REPORT
に開示されています。
(統合版ですが、28頁とコンパクトにまとまっていて非常に読みやすいです)

「1.人口動態や文化の大変化への対応」では、
少子化による前例のない技能不足や
アジア進出による顧客や地域の文化多様性の増加が起こることを見越し、
社会の少数派の職場への参画や従業員の
生活の質を高め長く働いてもらうことなどに取り組むとしています。

「2.環境問題に対する経済的な解決策の創出」では、
気候変動による物理的影響や市場、規制への影響、
人々の意識向上による消費行動の変容を想定し、
顧客が環境課題に取り組むことができる商品・サービスを毎年1つ開発することや
クリーンエネルギーなどへの投資に60億ドルを用意すること、
自社の操業分をカーボン・ニュートラルにすることなどを宣言しています。

「3.変化した社会における顧客の金融面での持続可能な未来の実現支援」では、
高齢化が進むことで退職までの移行期間が伸びることや、
退職時にまとめて退職金を得る形から
長期スパンで資産創出をしていく方法が増えていくことを見据えて、
全ての顧客が安心して退職できるよう適切な財務アドバイスを提供することや
社会住宅・手頃な住宅にアクセスできるよう
20億ドルの資金的な支援を行うことなどを約束しています。

westpac1
westpac2
westpac3
2013 ANNUAL REVIEW AND SUSTAINABILITY REPORT P20-21

日本で同社の活動が紹介されることはあまりありませんが、
引き続き注目して行きたい企業の1つです。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ, サステナビリティ・CSV経営とガバナンス | タグ: , , | コメントする

AvivaやAdidas、HSBC 弱い立場の子どもたちの支援を呼びかけ

英国の保険企業Avivaが中心となり、
特に弱い立場におかれている子どもたちに対する
企業の責任と取組みに関する報告書を発表しました。

Joining the dialogue: Vulnerable children and business
http://www.csr-asia.com/report/Joining_the_dialogue-Vulnerable_children_and_business.pdf

報告書の取りまとめには、
adidas Group、HSBC、Kuoni、Microsoft、The Body Shopの5社が
お互いの経験を持ち寄り、CSR Asiaが協力。
経済発展の陰で貧富の差が悪化しているアジアにおいて、
特に弱い立ち場におかれている子どもたちに対し
企業が事業活動やサプライチェーン、地域活動を通じて及ぼしている
正負の影響や、取り組む上での考え方や事例を紹介しています。

たとえばadidas Groupはパキスタンで行っている
サッカーボールの縫製現場において、
児童労働の原因となっている貧困を改善するために
収入の多くを子どもたちのために使う女性に焦点をあて、
女性の工場での就業を通じて収入向上を支援しています。

またAvivaはNGOやインドネシア政府と協力し、
出生証明書を発行して教育や必要なサポートが受けられるようにしています。

特に弱い立場に置かれている子どもたちとは、
具体的には障がいのある子や児童労働に従事させられている子どもたち、
人身売買や性的搾取にあった子どもたちを指し、
決して一括りにはできません。

たとえばその1つであるストリートチルドレン。
報告書ではStreet-connected childrenという表記を用いています。
これはストリートチルドレンも決して全員が同じ状況にあるわけではないからで、
ユニセフの定義によると、
・路上で働き子どもたちだけで生活する子どもたち(street-living children)
・路上で働く子どもたち(street-working children)
・家族と路上で暮らす子どもたち(Street-family children)
に分けられるそうです。

今回の報告書は、「Joining the dialogue」とタイトルある通り、
課題に対する解決策を示すベストプラクティスではなく、
先の見えない課題に対して社会的な関心を高め
他企業の取組みを促し、協働していくための
対話への参加を呼びかける内容となっています。

情報発信には、Thunderclapというプラットフォームを利用し、
ソーシャルメディアを通じて14万人以上の人に情報をリーチしました。

aviva

目に見えない問題に対して、問題そのものを可視化し、
社会の取組みを促していく。。。積極的に応援したい動きです。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ, 注目のキャンペーン | タグ: , , , , , , , , | コメントする

最先端の技術≠最適な技術 海外向け下水道ツアーからの学び

先日東京ビックサイトにて開催された
下水道展’13東京において、
海外来場者向けのツアーを実施しました。

水ジャーナリストの橋本さんにお力添えをいただき、
ツアー内容の企画を行ったのですが、
ルート設計にあたって考慮したのが、
「最先端の技術」と「最適な技術」は必ずしもイコールではない、
という点です。

下水道のようなインフラを考える上で重要なことは、
都市の発展度合と将来の姿を考慮した上で、
適切な技術を導入していくことです。

そこで今回は

●成長期の都市/地域に求められる技術
-汚水処理、環境保全(生活・工場排水の浄化、生活環境の向上)
-洪水対策(雨水処理、浸水被害の軽減)

●成熟期の都市/地域に求められる技術
-大規模集中型と小規模分散型の使い分け
(処理施設からエネルギーと水のマネジメント拠点化へ、農村部で役立つし尿処理槽など)
-効率化・省エネ化
(微生物の生活環境を向上させることによる処理効率のアップ、乾燥・焼却エネルギーを削減するための脱水処理技術など)
-補修・維持管理(下水道管を掘り出さずに改修する技術や診断方法、耐震・免震など)
-資源活用(下水中の有機物、無機物をエネルギー源や建設材料や肥料などの資源として有効活用する)
-気候変動対応(想定以上の大雨対策)

といったカテゴリーごとに、
それぞれ特徴的な技術を紹介していきました。

アジアの参加者がほとんどだったのですが、
「洗練された高度な技術が必ずしも最適な技術ではない」
という説明に、強くうなづいていたのが印象的でした。

今回、本当に様々な技術が紹介されていて、
どれも興味深いものばかりだったのですが、
こうした技術開発を考える上で持っておきたい大事な視点があります。

これは先日建設会社のダイアログでも同様の話題が出たのですが、
日本の高度な技術は、このケースではこれ、と
状況ごとに個別の技術が開発され、細分化していき、
結果的に全体としての効率が悪くなってしまう傾向があるといえます。

ガラパゴス化ではなく世界に通用する技術として、
汎用的に適用できる、あるいは全体に統合できる
シンプルな技術開発がこれからは期待されています。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , , , , | コメントする

市民社会にみる日中の違い

「中国の市民社会」

この言葉を聞いて、ピンと来る方がどれくらいいるでしょうか。

日本人が一般的に抱いている中国の印象からは、
「中国に市民社会なんて存在するの?」
と、イメージしにくい方も多いかもしれません。

しかし実際には、
中国の市民社会は力強く成長を続けていて、
社会に様々な影響を及ぼし始めています。

一緒に日中働き方ワークショップを開催したりと
親しくしているCSネットの代表を務める李妍焱(リ・ヤンヤン)さんの著書
中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)」を読むと、
そんな中国の市民社会の状況がよくわかります。

日本と中国、それぞれの国に
市民社会/NGO・NPOの概念が根付いていったのは、
意外にも同じ時期です。

日本では、阪神大震災があり、
ボランティア元年と言われる1995年。

中国では、同じ年に北京で世界女性会議が開催され、
そこに世界中のNGOが集まったことで、
人々がNGOという概念・団体に直接触れる機会となりました。

その後中国のNGOは、
欧米NGOから資金やノウハウのサポートを得て、
欧米の考え方や手法を導入し、人材交流も盛んに行われています。
若者にとっては、NGOで働くことがキャリアステップになるほど。

組織として社会に存在するために
大きなビジョンは国・政府と共有しながらも、
具体的な方法はそれぞれのミッションに基づいて行い、
制約のある社会システムの中で、市民の参加の仕組みを作り、
影響力の拡大を試みています。

一方の日本は、すでに先進国ということもあり、
欧米のNGOからの直接の支援はあまりなく、
理事会など組織構造は導入されても組織経営の根本に
欧米流のマネジメントはあまり根付いていません。

個別の問題に関しては詳しいけれども、
業界全体や未来についてなど大きな画を描ける人は少ない。
また権力(敵)を相対化しにくく、市民の巻き込みが難しい。
NGO/NPOの認知度は広まったけれども、
市民が主体的に社会に関わっているかというと、
現状はまだまだです。

中国の市民社会の課題は、多様性が確保される制度をどう作っていくか。
日本の市民社会の課題は、人々の日常と公共をどう結びつけていくか。

日本と中国の市民社会の交流はまだ限られています。
政治レベルでは複雑な状況にある今だからこそ、
市民レベルで相互に交流・対話をし、学び合える関係性を作っていく、
その一助に私たちもなれたらと思います。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , | コメントする

サプライチェーンのグリーン化に向けて 中国NGOと日本企業による対話 

Enviornmental Roundtable Discussion
photo by MDGovpics

先月、北京でサプライチェーンのグリーン化をテーマに
中国NGOと日本企業による対話フォーラム
「グリーン・サプライチェーン円卓会議/第6回東アジア環境市民会議」
が開催されました。

開催報告:
グリーン・サプライチェーン円卓会議を北京で開催
http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J13030601J

日本の東アジア環境情報発伝所と中国の環友科学技術研究センターが主催、
緑色選択連盟(GCA)共催の下、
中国NGO関係者を中心に80名以上の参加があったそうです。

共催に名を連ねている緑色選択連盟(Green Choice Alliance、GCA)は、
サプライチェーンのグリーン化に取り組む
40以上の現地環境NGOによるネットワークです。

以前私たちもGCAの取組みと成果に関する分析をご支援したことがありますが、
複数のNGOが連携して組織的・戦略的にキャンペーンを展開して
市民やメディアを巻き込み、影響力を発揮している団体です。

2010年にはグローバルIT/電機メーカーをターゲットに、
サプライチェーンにおける重金属汚染のキャンペーンを展開し、
その中でも改善の動きが見られなかったアップルに対して
集中的にキャンペーンを行うことで、改善に対する取組みを約束させました。

詳しくはこちら

日本企業からは、パナソニックとキヤノンの現地環境担当者が
招待に応じて参加しています。

先日キヤノンの環境担当者が来日した際に、
「日本企業は内向きで、積極的に外部とのコミュニケーションを図っていない。
もっと外に出て行って、対話をすることが求められる」
と言われていたのが印象的でしたが、
有言実行、対話の場に参加をしたことで、
GCAから受けていた低い評価が一気に高まったそうです。

マルチステークホルダーでの対話の重要性は高まるばかりです。

中国でのダイアログを開催した際の経験などを活かし、
私たちも少しでも貢献していきたいと思います。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ, ステークホルダーとのエンゲージメント | タグ: , , , , | コメントする

アジア各地で続く最低賃金上昇・世界的には労働者への分配は減少傾向

Salary
photo by jabberwocky381

タイでは今年1月から最低賃金が大幅に引き上げられ、
低賃金労働力に依存する産業界から反発があがる一方、
政府は貧富の格差是正が長期的な経済安定につながるとして、
議論が巻き起こっています。
http://mainichi.jp/select/news/20130112k0000e030191000c.html

その他にもベトナムやインドネシアなど、
各地で最低賃金引き上げの動きが続いています。

先月、国際労働機関(ILO)より発行された
「世界賃金報告2012/13年版」を見ると、
マクロなトレンドとしてどうなっているかがよくわかります。

Global Wage Report 2012-13
http://www.ilo.org/global/research/global-reports/global-wage-report/2012/lang–en/index.htm
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/2012.htm#99

●世界的に賃金は上昇しているものの、、
上昇率は経済危機以前の水準を下回っており、
月額でみた世界全体の実質平均賃金は
2007年に3%、2010年には2.1%、2011年には1.2%と鈍化傾向。

●過去10年間でほぼ3倍の賃金上昇を記録した中国を除くと、
この数値はさらに低くなる。

●一方で、労働生産性の上昇に比べると
賃金上昇の割合は低くなっている。
資本所有者への分配が増加し、
労働者への分け前がますます減少している傾向がみられる。

●先進国における、
1999年以降の労働生産性の伸びは賃金上昇の2倍。

米国では1980年頃と比べて、
農業以外の部門の時間当たり労働生産性は
約85%上昇していますが、
労働者の収入は35%程しか増えていない。

●多くの国で、国民所得に占める勤労所得の割合が低下。
これは需要の抑制や一般世帯の債務増加をもたらし、
経済の低下や公衆の不満が強まり、社会不安のリスクを高める。

報告書では、
輸出市場における競争力増強を目指した労働コストの圧縮は
各国レベルでは魅力的かもしれないが、
地球規模では持続不能であろうとし、
労働者の分け前の「底辺に向けた競争」を促進しないよう指摘しています。

働く貧困層(ワーキング・プア)に社会的保護を
提供する手段としての最低賃金。

ギリシャでは財政救済の条件として
最低賃金が22%引き下げられましたが、
ブラジルでは経済が悪化したときでさえも、
水準を高め続けています。

今後も各地で最低賃金引き上げの動きが続いていくことは
間違いありません。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ, 世界のホットニュース, 従業員の巻き込み・エンパワメント | タグ: , , , | コメントする

タイ証券取引所 社会的責任ガイドラインを発表

Thailand 2007
photo by sanchez jalapeno

タイ証券取引所(the Stock Exchange of Thailand、SET)が
先月末、タイ企業向けの社会的責任に関するガイドラインを発表しました。

今回発表されたのは、以下の3点。
(いずれもタイ語のみ)

1.企業向け社会的責任導入のガイダンス
http://www.csri.or.th/sites/default/files/CSRI_green.pdf
2.持続可能性報告ガイドライン
http://www.csri.or.th/sites/default/files/CSRI_violet.pdf
3.GRIガイドライン3.1のタイ語訳
http://www.csri.or.th/sites/default/files/GRI%203.1%20Sustainability%20Reporting%20Guidelines.pdf

SET CSR研究所によって取りまとめられた今回のガイダンスでは、
入口と出口にあたる導入と報告に焦点をしぼり、
ISO26000やUNグローバル・コンパクト、GRIなどの
国際的なガイドラインを参照しつつ、
タイ独自の文脈を踏まえて考え方が整理されています。

その中でも、特にページを割いているのが、
経済開発・成長の適度さを重視し、
自立的・持続的な経済成長をめざす
「Sufficiency Economy(足るを知る経済)」の考え方。

タイ国王が提唱し、人々が経済行動を考える上での
重要な要素になっている概念です。

タイのCSRを知るには、2009年に発表された
UNDPとUNVによる報告書も参考になります。

Research on the CSR Development in Thailand
http://www.undp.or.th/UNV/documents/ResearchontheCSRDevelopmentinThailand.pdf

この中で、タイのCSR的価値観の形成に
影響を与えている要素として、以下の3つが挙げられています。

1.輪廻転生をはじめとする仏教の考え方
2.対立・紛争を回避する習慣
3.僧侶と国王への敬意

ある企業担当者は、
上記の影響による「個人の自発性」が
タイのCSRの特徴として挙げられる、とのこと。

タイのCSRが今後どのような発展を遂げていくのか、
地域の文脈をしっかりと理解しながら、注目していきたいと思います。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , , | コメントする

インドで進む米国企業の社会的責任プログラム

13 - Voice
By Kyle Taylor, Dream It. Do It. World Tour

インドの米国商工会議所(AMCHAM)が、
米国企業のインドにおける社会的責任プログラムの取り組み事例を
まとめた報告書を発表しました。

American Chamber of Commerce in India
Corporate Social Responsibility (CSR) initiatives of American firms in India

全59社の事例がまとめられており、取り組み分野は
・社会インフラ
・教育
・水資源保全、雨水収集
・ヘルスケア
・ジェンダー
・災害支援
と多岐に渡ります。

AMCHAMは、多くの企業がこれらのプログラムを戦略的な投資とみなしており、
社会に対しても、間接的な雇用創出や生活水準の向上など、
多くの利益をもたらしているとしています。

いくつか事例を見てみると、

Bank of America・・・従業員主導の地域でのボランティアプログラム。
「100万時間チャレンジ」として、合計100万時間のボランティアを
行うキャンペーンを実施。

Walmart・・・農家との直接契約。
2015年までに生鮮食品の50%を35000戸以上の農家と直接契約し、
小規模農家の収入向上を支援する。

Ford・・・安全運転講習。
途上国では依然深刻な問題である交通安全の問題に取り組み、
これまでに3000人以上に安全講習を提供。

HP・・・ITを通じた学生・企業家・小規模事業者支援。
ITを使って事業の成長や雇用創出につながるよう、
現地パートナーと協力してトレーニングプログラムを提供。

その他にも、MicrosoftやJohnson&Johnson、GE、Coca-Colaなどの
事例が取り上げられています。

インドでのプログラムの実行にあたっては、
適切なパートナーを見つけられるかどうかが、
成功のカギになってきます。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , , , , | コメントする

中国で家電リサイクル法がスタート

Jumbled Screens
Photo by mikecogh

今年の1月から、中国で家電リサイクル法が各都市で
順次施行されています。

法律の名称は「廃旧電器電子産品回収処理管理条例」。
2009年に公布されたものです。

日本は家電を廃棄する際、消費者が費用を負担しますが、
中国では中古家電取引市場がすでに確立されている(売れるため)ため、
業者側が廃家電を「買い取る」仕組みになっています。

以前セミナーで、富士ゼロックスの担当者の方が、
中国でリサイクルシステムを立ち上げる際の
中古家電回収の難しさについて語られていました。

仕組み作りと意識啓発、人材育成のセットで、
やっと達成した、とのこと。
こちらに資料があります。

「中国における資源循環活動. 中国統合リサイクルシステムの立ち上げと課題」
www.sustainability-fj.org/seminar/pdf/091120_05.pdf

DOWAエコシステムをはじめ、
日本企業の家電リサイクル工場立ち上げが相次いでいます。

DOWAエコシステム 中国3拠点目の家電リサイクル工場を江西省に建設
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0111&f=business_0111_079.shtml
伊藤忠商事 中国にスクラップ・廃家電などの複合型リサイクル工場を設立
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0111&f=business_0111_078.shtml

ビジネスの観点、資源循環の観点、意識啓発の観点から、
今後の動向を見守りたいと思います。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , , , , | コメントする

香港グリーンピース 大手小売業の環境取り組みを評価

beijing_lohas.jpg

グリーンピースが香港にある大手小売の
環境取り組みランキングを発表しました。

supermarkets-ranking-2010.jpg
http://www.greenpeace.org/china/ch/press/reports/supermarkets-ranking-2010

評価ポイントは以下の6つ。

・GM食品の販売
・禁止された農薬の使用
・トレーサビリティの確立
・サプライチェーンや内部統制システムの確立
・情報公開
・ダブル・スタンダード

評価が高かったのは、昨年の調査に続いて
仏系のカルフールとオーシャンの2社。

China CSRの記事によると、
8位に入ったウォルマートは中国市場で初めて
GM食品の販売を行わない旨を明確にしたそうです。
http://www.chinacsr.com/cn/2011/01/04/7083

一方、英系のテスコや日本のイトーヨーカ堂は、
中国消費者の健康・安全に十分に配慮しておらず、
ダブル・スタンダードとなっていると警告しています。

特に消費者の意識が高い香港での取り組みが、
中国の動向を見ていく上で1つのポイントとなります。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , , , , | コメントする

Dow Corning、現地ニーズ発掘にインドへ社員をボランティア派遣

先月13日、世界中から集められたDow Corningの社員10人が
インドのバンガロールにボランティアに出発しました。

同社がスタートした新しいプログラム
Citizen Service Corpsの一環です。

Citizen Service Corps
http://www.dowcorning.com/content/about/aboutcitizen/default.aspx?WT.dn=dowcorning.com/citizenservicecorps&bhcp=1

途上国でのボランティアを通じて地域のコミュニティに貢献しながら、
現地での体験を通じて現場のニーズを把握することを
目指すプログラムです。

派遣先は環境に害の少ない調理ストーブや
再生可能エネルギー製品の普及などの
ソーシャルビジネス・BOPビジネスに取り組む以下の3団体。

The Technology Informatics Design Endeavor
Envirofit India
Ashoka

滞在期間は1ヶ月。

Living Laboratoryと称して、
現地から新しいイノベーションを考えるこのプログラム。

どんな成果に結び付くのか、注目です。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ, 従業員の巻き込み・エンパワメント | タグ: , , , , , | コメントする

アジア式CSR基準作りに向けて 中日CSR研究会

CHF Conference Center, Philadelphia: Garden Room 2

上海で行われた第2回中日CSR研究会において、
アジア独自のCSR基準作りの検討が進められているようです。

人民網:中日企业研讨社会责任 着手制订CSR亚洲版标准
http://world.people.com.cn/GB/41217/12737184.html

こちらの会議は上海市公共関係研究院と
上海実践企業社会責任推進センターが主催で、
CBCCが今年1月に訪問した会議とは別物?のようです。
http://www.keidanren.or.jp/CBCC/report.html

記事によると、
現在の中国におけるCSR基準のほとんどは、
米国やEUの基準を輸入したもの。
西洋の基準に則って作られたものであることに対して、
中国側には大きな課題意識があるようです。

日本が独自に発展させてきた「日本式CSR基準」を参考にしつつ、
アジア企業を対象とした「アジア式CSR基準」作りを
喫緊の課題として共同で取り組んでいくとのこと。

中国で有識者に話を聞いた際にも、
「localize」の重要性を強く訴えていました。

アジアといっても広いので、必ずしも一括りにできるとは限りませんが、
まずは日中で共通の基準作りを期待します。

Share
カテゴリー: アジアとサステナビリティ | タグ: , , | コメントする