生態系の原則に沿った経済と生物多様性」カテゴリーアーカイブ

ウナギは何色? ヒントはIUU

カツオ(太平洋産)・・・緑
ホタテ・・・黄
クロマグロ ・・・ 赤

ではウナギは何色でしょう?

答えは、赤。

資源保全に積極的に取り組んでいる米国モントレー・ベイ水族館が
発行している「Seafood Watch」では、
緑・黄・赤の3段階で水産資源の状況を評価していて、
赤は「避けるべき」を意味します。

(福島にある「アクアマリンふくしま」では、水槽の前にお寿司屋があり、
そこでは緑(推奨)と黄(改善されている)のネタが提供されています)

先日、衆議院第一議員会館で違法漁業に関するシンポジウムがあり、
参加してきました。

海はいま、様々な危機にさらされています。

気候変動による海洋の酸性化。
マイクロビーズなどのプラスチックごみによる汚染。
そして水産資源の減少。

世界の海の90%が、資源利用が限界・過剰または崩壊しているといいます。
その原因の1つが、IUUと呼ばれる違法(Illegal)・無報告(Unreported)・無規制(Unregulated)な漁業。

社会に流通している海産物の20%が、IUUと推計されています。

違法な操業のため、漁船で働く労働者の環境も劣悪です。

昨年、New York Timesが違法漁業の実態を暴く連載を行い、
大きな反響がありました。

The Outlaw Ocean
http://www.nytimes.com/interactive/2015/07/24/world/the-outlaw-ocean.html?_r=0

記事は英語ですが、映像を見ると漁業現場の様子を垣間見ることができます。
なかには海上で殺人が行われている様子を映したものもあり、衝撃的です。

対策が進まない理由の1つに、プレイヤーの複雑さがあります。

旗国・・・船の登録国
沿岸国・・・漁を行なう沿岸の国
寄港国・・・陸揚げされる国
市場国・・・流通する国
漁業従事者の居住国

と、様々な国が関わっていて、国際的な協調が必要不可欠。
それでも近年、EUと米国を中心に規制の強化が行われ、
また大手の流通や食品企業を中心に取り組みが進んできています。

日本ではイオンや味の素などががんばっていますが、
政府による規制もなく、相変わらずトレーサビリティの分野では
木材と共に大きく遅れているのが実情です。

赤色だったウナギ。
その70%は違法に捕獲されたシラスであり、
現在の日本では違法でないウナギを食べる術はない、
という研究結果も発表されていました。

世界に誇る「寿司」を、安心して、いつまで食べ続けられるよう、
すぐにでも対策が進められることを望みます。

(そして寿司を提供するお店やスーパーには、是非とも率先して取り組んでいただきたいです。
好きな寿司ネタの資源状況をチェックしたい方はこちら

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食品会社は家畜の福祉に配慮を! 運用総額1.5兆ポンドの投資家が要求

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Photo by Romita Peña

世界で初めての畜産動物福祉に関する投資家宣言に
イギリスのAviva Asset Management、フランスのBNP Paribas Investment Partners、
オランダのRobecoなど
総額1.5兆ポンド(196兆円以上)を運用する18の機関投資家が署名しました。

この宣言は、畜産動物福祉が食品セクターの長期的な価値創出に関わる
重要な課題であるという観点から発表されたものです。
宣言に署名した投資家は
食品会社への投資判断の際に動物福祉への取り組みを考慮するとともに
企業に対して畜産動物の取り扱いに高レベルの基準を課すよう働きかけていきます。

取り組み推進にあたって使用が推奨されているのが
イギリスの動物愛護関連NGO3団体によって運営されている
「畜産動物福祉に関する企業のベンチマーク:
Business Benchmark on Farm Animal Welfare(BBFAW)」です。

2012年から世界の主要な食品関連企業対象に行われている調査で
2015年版は欧州、北米の90社が対象でした。

主な評価項目の概要と各分野のスコアの配分割合は以下の通り
●マネジメント層のコミットメント (34%)
・動物福祉取り組みに関するリスクと機会の特定
・動物福祉取り組みに対して中核となる原則・方針があるか、またそれがどのように事業全体で実施されているか
・クローンや畜産動物が閉鎖飼育環境、麻酔なしの屠殺、長距離輸送などに関する方針の有無

●ガバナンスとマネジメント (41%)
・方針実施における責任の所在
・サプライチェーンの取り組み、管理監督
・目標とその進捗管理方法
・進捗報告

●リーダーシップとイノベーション (15%)
・R&D投資
・業界団体やイニシアチブへの参加
・外部表彰、評価
・消費者の啓発

●成果報告 (10%)

これら項目をもとに6階層にわけて企業を評価しており
2015年に評価の高い上位3階層に入った企業は
第1階層:マークスアンドスペンサー、スイスのコープグループなど
第2階層:米国マクドナルド、ユニリーバなど
第3階層:ウォルマート、ネスレ、サブウェイなど

課題認識が見られないとされた第6階層には
バーガーキングやドミノピザなどが入っています。

BBFAWのプログラムディレクターは
「今回の投資家声明によって動物福祉がニッチな倫理の問題ではなく、
重要なビジネスリスク・機会であることが明らかになった」とコメントしています。

参考:動物福祉と動物愛護の違いについてはこちらから

ーーーーー
参照:
The Business Benchmark on Farm Animal Welfare 2015 Report
BBFAWプレスリリース 

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日本からは花王 WWFが選ぶサステナビリティ調達優良企業は?

WWFは、6月に、消費財・小売・食品企業の業界団体Consumer Goods Forum(CGF)
の会員企業256社の開示情報をもとに
サステナビリティ調達の取り組み状況についての調査結果を発表しました。

調査対象となった原材料は
・森林破壊と気候変動への影響が大きい:パーム油、紙、パルプ、牛肉、木材、乳製品、豆
・水資源の使用量、汚染度が高い:綿、サトウキビ
・乱獲が懸念される:マグロ、白身魚、熱帯エビ、養殖エビ、養殖鮭、食物連鎖の低層にいる小魚
の14点です。

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写真:同レポートP8:調査対象14品目

WWFは、上記14品目についてCGF加盟企業256社が調達している量の割合が
世界全体の生産量において大きいことを指摘した上で
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写真:同レポートP6:14品目の世界全体生産量
におけるCGF加盟企業256社の調達量(緑:小売業、青:製造業)

・アニュアルレポートでサステナブル調達について開示しているのは対象企業のうち48%
・調達方針や戦略について進捗報告を行っているのは46%
・森林破壊ゼロ方針を出しているのは36%で、それに対して期限付きの定量目標を設定しているのは20%
・上記14の原材料に対して期限付きの定量目標を設定しているのはわずか9%(以下の22社)で
目標通りに取り組みが進んでいるのはそのうちの14社のみ

であることを報告し、サステナビリティー調達の実現に向けて本格的に行動を起こしているのは
一部の企業のみであると訴えています。

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写真:同レポートP8:調査対象14品目に対しての調達取り組みで「優良」と評価された22社

日本企業も、味の素、伊藤園、明治、キッコーマン、キリンホールディングス、
資生堂、伊藤忠食品、イオン、ローソンなど77社が調査対象でしたが、
今回優良企業と評価されたのは花王のみでした。

WWFは、CGF加盟企業に対し
2020年までに全ての調達においてWWFの推奨基準をクリアした調達先だけを採用することを目指し
実現のための期間付き定量目標と行動計画を提示することを呼びかけています。

先日参加したFSCジャパンセミナー「企業の責任調達」では
花王の購買部門統括の方が
「花王は消費者の意識が高まっていくことを予測し、先進的な調達方針を打ち出してきた。
環境NGOからの圧力は年々高まる一方、日本の消費者意識の高まりは感じない。
人々の意識が変わらないと、責任調達にかかるコストは全て売り手が負担することになる。」
と語っていました。

しかし世界全体を見渡すと
ニールセンが昨年世界の消費者対象に行った調査では、
「サステナビリティにコミットする企業にもっとお金を払ってもいい」
と回答した人の割合が2013年の50%から2015年には66%に増加しており
とくに1980年代から2000年代初頭に生まれたミレニアル世代の若者においては
その割合が73%に及びます。

ニールセンのレピュテーション担当者はこの調査について
「『社会的責任を果たし環境にやさしい』というイメージを若者に与えられる企業は
市場シェアの獲得機会に加え、今後大きな購買力を持つことになる
ミレニアル世代との強力なつながりを築くチャンスも手にしている」と述べています。

グローバル市場で事業を行う企業はもちろん
変化の早いいまの時代、
日本の消費者にもいつ変化が訪れるかわかりません。

ーーーーーーー
参照:
WWFプレスリリース 
WWF報告書 Slow Road to Sustainability

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2050年、海では魚よりプラスチックが多くなる!?

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Photo by epSos .de

今月発表された世界経済フォーラムの報告書によると、
世界のプラスチックの生産量は1964年の1500万トンから
2014年の3億1100万トンへと50年で20倍以上に増え
今後20年間でさらに倍増するそうです。(報告書P.10)

この中から少なくとも年間800万トンのプラスチックごみが海に流れ出ており
(なんと1分間にごみ収集車1台分が海に流れ出ている計算!)
このままいくと、海に漂うプラスチックごみの量は
2050年に魚の数を上回ると警告しています。(P.7)

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写真:世界経済フォーラム”The_New_Plastics_Economy” P.14
上から「プラスチック生産量」「プラスチックと魚の比率:重量換算」
「プラスチック製造による石油使用量」「プラスチック製品のライフサイクル全体で発生する温室効果ガス量」

また、プラスチック容器包装の95%は
1回使用されただけで捨てられており
その経済損失額は年間約9兆~14兆円に上ります。(P.10)

UNEPも、2015年11月に生分解性プラスチックが海に及ぼす影響について
報告書を出しており
環境にやさしいイメージのある生分解性プラスチックは
分解に約50℃の温度が必要なため
海ではほとんど分解されないことが明らかにされています。

特にマイクロプラスチック(直径5mm以下のプラスチック微粒子)は
鳥や海洋生物による誤摂取が多いだけでなく
ウイルスなどの有害物質を吸着・運搬してしまうため
生態系に年間数十億ドル分の環境被害をもたらしているそうです。

報告書では、「生分解性」とのラベル付けが
人々のポイ捨てを助長する点を指摘しています。
プラスチックごみを減らすための技術的な特効薬がないことも断言しており
プラスチックの製造から廃棄まで責任を持って管理することの必要性を訴えています。

※UNEP報告書についてはプレスリリースを参照

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コカ・コーラ 100%植物性ボトルを発表

cocacola

コカ・コーラは6月3日、ミラノで開催されているWorld Expoにおいて、
100%植物性プラスチックでできた
ペットボトル容器「PlantBottle」を発表しました。

Breakthrough Innovation Showcased at World Expo Milan
http://www.coca-colacompany.com/plantbottle-technology/coca-cola-produces-worlds-first-pet-bottle-made-entirely-from-plants

サトウキビを原料とするPlantBottleは、
2009年から開発が続けられ、
植物性原料の比率が30%の容器の導入がすでに始まっていました。

同社は2020年までにすべての新製品において
PlantBottleを導入するという目標を掲げており、
今後は今回発表された100%の容器が導入されていくことになります。

(日本コカ・コーラも4月に2020年の環境目標を発表し
容器包装に関する目標のほか、従来のエネルギー削減・廃棄物・水
に新たに「持続可能な農業」を重点分野に加え
調達にも配慮した取り組みを進めていくとしています)

この発表に対し、WWFの担当者からは
新しいイノベーションを歓迎しつつも、
植物性資源があわせもつトレードオフについてもしっかりと調査をし、
化石資源からバイオ資源にシフトするにあたり
土地や水に新たな負荷をかけないことが重要である、
とのコメントが出されています。

実はこの生分解性プラスチックが及ぼす
環境影響については、依然議論があるところです。

たとえば英国全土で今年10月から導入されるレジ袋の有料化では、
ゴミ問題の解決策の1つとして期待されている
生分解性レジ袋について、環境技術がまだ確立されておらず、
リサイクルの取り組みを阻害する可能性があるとして、
課税の対象外としていた当初の方針を変更し、
課税対象とする旨の方針が発表されています。

Government U-turn extends plastic bag charges to biodegradable bags
http://www.businessgreen.com/bg/analysis/2350508/government-u-turn-extends-plastic-bag-charges-to-biodegradable-bags

英国のこの制度は、1枚5P(5ペンス=約10円)の税金をレジ袋に課すもので、
ウェールズやスコットランドなどすでに他の地域では導入され、
大きな成果をあげています。

ちなみに、英国大手小売のマークス&スペンサー(M&S)では、
レジ袋の有料化を2008年より独自に始めています。

レジ袋の購入費用はWWFとMSC(海洋管理協議会)と共同で取り組む
Forever Fishというプロジェクトに寄付され、
海洋保全のための教育活動にあてられる他、
M&Sでは近海で獲れる美味しいけれど知名度が低いサカナを
積極的に販売するなどの取り組みを行っています。

foreverfish

話は戻って、植物性プラスチックの問題。

バイオ燃料でも同様ですが、
化石燃料の「真の」代替資源となるためにも、
より一層の議論や研究が待たれます。

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生物多様性をめぐる議論の最新動向 愛知ターゲットとSDGs


photo by Dan McKay

以前エコネットワークスでは、
生物多様性に関する地球規模での状況を評価した
地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)の和訳を
担当しました。

現在また、国際的な生物多様性に関する文書の翻訳を担当する機会があり、
最新状況について理解を深めようとグリーンエコノミーフォーラム主催の
セミナーに参加してきました。

「COP12・地球規模生物多様性概況・愛知ターゲットとSDGs/ポスト2015開発アジェンダ~SDGsの在り方・生物多様性に関する各セクターの取組みを考える~」
http://geforum.net/archives/648

生物多様性条約COP12での主要議題や、
2015年以降の国際的な開発目標である
持続可能な開発目標SDGsと生物多様性との関係性などが
セミナーの主なテーマです。

先日発行された地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)で
中間評価がなされているように、
愛知ターゲットで示された20の目標の達成状況は
楽観視できる状態ではないのですが、

●生物多様性の話が自然保護・野生動物保護の話だけでなく、
持続可能な利用の観点から、貧困や開発と結びついた
議論が積極的に展開されていること

●生態系サービスの評価・数値化の精緻化が
少しずつ進んでおり、2018年に生態系サービスに関する
国際的な評価レポートがIPBESから発表されること

●企業の自然資本の情報開示の標準化の動き(CDPやNCC)が
今後数年で急速に進んでいくであろうこと

など、最前線の動向を知ることができました。

生物多様性に関する枠組みは、
気候変動の規制や拘束性を重視した枠組みとは異なり、
より各セクターの主体性を重視し、どのように
動機付けをさせていくかという観点が中心です。

良い面、難しい面の両面がもちろんあるのですが、
2015年9月の発表に向けて議論が進められている
SDGsの目標設定にも大きく影響を与えていくことが考えられます。

引き続き最新状況に注目したい分野です。

※2014年7月に出たオープン・ワーキング・グループ成果文書の仮訳が
IGESから出ています。改めて目を通してみたのですが、
かなり包括的な議論がなされています。まだの方は一読をお勧めします。

「持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループの提案についての序論」
http://www.csonj.org/mdgsnews/owg-sdgs-japanese-translation

※この分野は言語面でも新しい用語がどんどん出てきています。
“biodiverse”という用語も、一見聞きなれているような気がしますが、
最近まで辞書になかった言葉です。
サステナビリティ翻訳HACKS:biodiverse = 「生物多様性豊かな」

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環境保全プログラムの価値を可視化、損保ジャパンSAVE JAPANプロジェクト


photo by Dave Dugdale

近年、企業の社会貢献活動が本業との関連性をより意識して
戦略的に行われるようになってきているなか、
活動がもたらす価値の把握・可視化(SROI:社会的投資収益率)
への関心が高まっています。

以前ご紹介したゴールドマン・サックス刑務所の取組みのように
雇用などに直接つながる社会プログラムの評価は算出もしやすく
事例が出てきていますが、国際的にも珍しい環境保全プログラムの
社会的価値算出に今回損保ジャパンが取り組みました。

国内初、環境保全プログラムにおける社会的価値の算出~「SAVE JAPAN プロジェクト」の3年間の活動成果を見える化~

対象となったのは、同社が2011年度から取り組んでいる、
全国の環境NPOなどと協働して、いきものが住みやすい環境づくりと
生物多様性への理解向上を目指す市民参加型の
SAVE JAPANプロジェクト」。

環境保全活動への市民参加、生物多様性への理解促進の
変化を可視化し、価値づけ、貨幣化を行っています。

SROI(社会的投資収益)は、生じた社会的価値を、
活動に要した費用で割ることで算出されます。

社会的価値は、環境保全型イベントによって行われた活動に
費やされたボランティアの労働サービスを賃金評価することや
参加NPOの新規入会者数による財政効果、
パブリシティ効果の広告費換算などを通じて算出されます。

計算の結果は、SROIは年々上昇し、取組み3年度目となる
2013年度は1.12と投資額を上回る社会的便益が創出されていることが確認されました。

「SAVE JAPANプロジェクト」の最終目標は希少生物の保護ですが、
短期的成果として保護が達成できるものではないことを考慮し、
生物多様性保全の直接的な評価は行われていません。

それでもこうして取り組みの成果が
客観的な説得力を持つ形で可視化されることで、
関係者のモチベーションにつながるほか、
周囲の理解も得られやすくなり、より一層活動が加速していくことが期待されます。

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ウナギにマグロ 土用の丑の日に考える持続的な漁業資源管理


photo by Norio NAKAYAMA

7月29日の昨日は土用の丑の日でした。

6月にニホンウナギがIUCNの絶滅危惧種に指定されたことを受け、
今年はいつにもまして、ウナギに対する関心が高まっている気がします。

普段それほど環境に関心がない友人が、
牛丼チェーンで販売されているうな丼を見て、
自分に言い聞かせるように一言。

「こういう所で安売りされているウナギを気軽に食べるから、ダメなんだよね」

資源管理なき薄利多売という問題の本質を
感覚的に言い当てていて、印象的でした。

一方、グリーンピースの調査結果を見る限りスーパー各社の反応は鈍いです。
ウナギを本当に食べられなくなる日が間近に迫っているという
強い危機感を感じます。

グリーンピース:SAVEうなぎ~薄利多売で進む絶滅への道

こうした状況に対し、パルシステム生活協同組合は、
対策として不買も1つの方法として検討しながら、
適切な資源管理を行っている漁業組合と協力して、
ウナギ、食文化、産地・生産者を守る方法を選択しました。

パルシステム:シンポジウム「うな丼の未来」で報告 末永く、うなぎと共に迎えたい「土用の丑の日」

ウナギを「食べ続けたい」からこそ、
適切な取り組みを行っている生産者を積極的に「食べて」応援し、
売上の一部や寄付されたポイントを資源保全活動に活用する
活動に取組んでいます。

適切な資源管理が行われているかを判断する1つの基準として、
漁業者および加工・流通過程を認証する
MSC(海洋管理協議会)認証があります。

6月にはカナダのマクドナルドが、
欧州、米国拠点に続いてフィレオフィッシュをすべて
MSC認証のエコラベル付きに切り替えることを宣言しました。

McDonald’s® Canada now serving Marine Stewardship Council certified sustainable fish in its Filet-O-Fish® sandwich

同社は2年ほど前から、欧州拠点でMSC認証ラベルの取得
取組んでいます。

残念ながら日本のマクドナルドではまだそうした動きは
報道されていませんが、率先した取り組みを期待したいところです。

MSCはMarine Stewardship Councilの略です。
ここに登場する”Steward”という単語について、
翻訳ブログで解説をしていますのであわせてご覧下さい。

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コーヒー豆かすがミルクや野菜に変身 スターバックスの食品リサイクルループ


photo by Andy

コーヒーショップの食品廃棄物の大部分は、
コーヒーを抽出した後にでる豆かすです。

スターバックスは3月末、水切りしたコーヒー豆かすを回収し、
乳酸発酵飼料や堆肥として再生利用する仕組みを開発しました。

スターバックスが 「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」 に基づく
「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)」 認定を2件同時に取得
http://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2014-933.php

これは政府の食品リサイクル法に基づく
「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)」 の認定を受けており、
コーヒー豆かすを飼料や肥料として利用した
国内初の事例となります。

これらの飼料や堆肥で育てられた牛のミルクや野菜は、
一部の店舗でドリンクやサンドイッチの原料として使用され、
野菜は別途販売もされます。

starbucks
スターバックスのリリースより)

乳酸発酵技術を利用したこの新しいリサイクルの仕組みの開発には、
コンタクトレンズで知られているメニコンが関わっています。

同社はコーヒー豆が持つ抗酸化物質や多孔質な構造が
牛の飼料や野菜の堆肥として有効であるという研究を進めており、
今回の開発のカギとなりました。

1社では解決できない課題を、他社との「共創」によって
価値創造につなげる1つの事例です。

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捕鯨問題でも出てくるAnimal Welfare(動物福祉)って?


photo by Raymond Bryson

IWC(国際捕鯨委員会)による南極海での
調査捕鯨の「科学的目的」の否定や、
鳥インフルエンザなどに関する海外のニュースを見ていると、
しばしばAnimal Welfare(アニマルウェルフェア、動物福祉)という
キーワードが登場します。

日本ではあまりなじみのないこの言葉。
気になったので少し調べてみました。

動物がかわいそう。。。といった動物愛護とは異なる概念で、
混同してしまうと問題の本質が十分に理解できなくなります。

神奈川県動物愛護協会の解説によると、
動物福祉と動物愛護の違いとして、以下の点が挙げられるそうです。

動物福祉(Animal welfare)は、
科学的根拠に基づき、動物が受ける必要以上の苦痛を排除するなど、
「動物の身体的、行動的、精神的な要求の充足度」を満たし、
動物のQOL(生活の質の向上)をはかるもの。

一方の動物愛護は、主観で「かわいそう」と思う事柄に対し、
「かわいそうではない」状態にすること。
日本では飼育放棄された犬猫の保護や殺処分反対の活動が大半を占めます。

社団法人畜産技術協会では、畜種ごとに定めた2011年のガイドラインにおいて
動物福祉ではなくあえて「アニマルウェルフェア」という用語を使い、
「快適性に配慮した家畜の飼養管理」と定義しています。

動物福祉の考え方の基盤となっているのは、1979年に
英国農業動物福祉審議会(Farm Animal Welfare Council)が
定めた「5つの自由(Five Freedoms)」と呼ばれる原則です。

「1.飢えと渇きからの自由」
「2.不快からの自由」
「3.痛み、傷害、病気からの自由」
「4.正常な行動ができる自由」
「5.恐怖や悲しみからの自由」

この5原則を柱に、欧州ではEU指令に基づき、
2012年に従来型のケージ(鳥かご)による採卵養鶏が禁止され、
2013年には母豚のストール(閉じ込め)での飼育も禁止されました。

米国やカナダ、オーストラリアでも
業界団体が独自にガイドラインを設定するなど、
動物福祉の実現に向けた取り組みが進められています。

背景には、BSEや鳥インフルエンザなどの国際的な家畜の病気が、
人への感染症の原因となって人間の健康を脅かすようになってきたことで
施策が進展してきたという指摘もあります。
欧米におけるアニマルウェルフェア─動物福祉畜産の動向–

動物福祉に配慮して、家畜をストレスがない自然な状態で
健康に飼育することで、病気の発生を減らし、
安全な畜産食品を実現することで人間の健康につなげるという考え方です。
(一方で、自然放牧すれば病気を防げるとは限らず、
科学的な分析が必要だとする指摘もあります)

欧米においては大手企業も動物福祉に取り組むようになっており、
たとえばバーガーキングは2012年に、
2017年までに平飼い卵を100%とすることと、
雌豚用小型ケージの使用撤廃に取り組む業者からしか
調達しないことを宣言しました。

Burger King Corp. Makes Industry-Leading Commitment to Enhance Animal Welfare Standards in its U.S. Supply Chain

単に「かわいそうだから反対している」と捉えるのではなく、
大きなトレンドとして考え方から理解しておきたい概念です。

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小山市の生協と農家 ネオニコチノイド系農薬ゼロへ


photo by R_P_F

「ネオニコチノイド系農薬を一切使いません」

栃木県小山市の「よつ葉生活協同組合」は、
2013年度からネオニコチノイド系農薬(ネオニコ系農薬)を一切使わない
お米の販売体制を確立しました。

脱ネオニコ系農薬 小山の生協、農家と協力
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014010902000130.html

ネオニコ系農薬とは、
タバコの有害成分であるニコチンに類似していることから
名づけられた殺虫剤で、作物の受粉を媒介する
ミツバチの大量死との因果関係が疑われています。

欧州では予防原則の観点からネオニコ系農薬の
健康や環境への潜在的な影響が問題視され、
EUの独立機関である欧州環境庁が発行している
予防原則の観点から最新の知見をまとめた報告書
“Late lessons from early warnings: science, precaution, innovation”
(早期警告からの遅すぎる教訓:科学、予防、革新)

でも取り上げられています。

昨年12月1日からは、3種類のネオニコ系農薬
(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の
使用規制が始まりました。

詳しくは↓
EUでネオニコチノイド系農薬の規制スタート!
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/eu/blog/47604/

同生協では、数年をかけて勉強会を開催し、
ネオニコ系農薬を使わないお米作りを研究してきました。
お米以外にも、ホウレン草や小松菜、ネギでもネオニコ系農薬ゼロを達成し、
取り組みは他県にも広がっているそうです。

ネオニコ系農薬の問題は、
以前専門文書の翻訳を担当したこともあり、
ENWのメンバーも数年前から関心を持って動向を注視していました。

しかし日本では逆に残留基準を高めようとする動きになっており、
今後のさらなる関心の高まりと取り組みの広がりを期待します。

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進む規制の動き 侵略的外来種の対策に向けて

Invasive Species: Stripy Croc
photo by Lizette Greco

アライグマ。マングース。セアカゴケグモ。

「侵略的外来種」とよばれる、
地域固有の生態系に悪影響を及ぼす外来種の規制・対策が、
各地で問題になっています。

日本でも今年6月、法律が改正され、
新たに在来種との交雑種が規制対象になる、
特定外来生物が付着している輸入品への措置が追加されるなど、
対策の強化が進められています。

詳しくはEICネット
「外来生物法の改正 ~外来種対策の強化に向けて~」
http://www.eic.or.jp/library/pickup/pu130807.html

欧州でも、9月に新たな規制案が
欧州委員会より提案されています。

New EU Action to protect biodiversity against problematic invasive species
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-13-818_en.htm?locale=en%E3%80%80

欧州で生息する外来種は1万2千種以上。
そのうち、約15%が侵略的外来種と見積もられています。

生態系への影響の他、経済面でも
健康、インフラ、農業への被害など少なくとも
年120億ユーロの経済損失をもたらしているといいます。

陸続きの欧州では、ある国で対策を進めても、
隣国から新たに持ち込まれれば効果がないため、
加盟国間の協力が大きな課題となっています。

法案では、EU共通の侵略的外来種リストを作ることを提案。
該当種は将来域内で輸入、購入、利用、放出、購入が禁止となります。

他に、防止策として外来種の侵入防止や経路の洗い出しと対策、
早期警戒・対応策として繁殖が確認された場合の駆除など、
管理対策として広範囲に繁殖していた場合の被害の最小化などが
含まれています。

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世界が注目 熊本市の地下水保全プロジェクト

2006 03 19 - Hike the Geek - Watershed Preserve 024
Photo by candid

3月22日は「世界水の日」でした。

同日、UN-Water(国連水関連機関調整委員会)から
優れた水管理の取り組み事例を表彰する
“Water for Life(命のための水)”大賞が発表され、
水管理部門で熊本市の地下水保全プロジェクトが受賞しました。

2013年の国連“生命の水(Water for Life)”最優秀賞(水管理部門)を熊本市が受賞しました。
http://www.kumamoto-waterlife.jp/kiji/pub/detail.asp?c_id=1&id=110

熊本地域では、
阿蘇山から噴出した火砕流や溶岩が幾層にも堆積し、
大地に降った水が長い年月をかけて地層の中で濾過され、
地下水として蓄えられてきました。

地下水は、これまでの水道や農業での利用に加えて、
震災により再度活況となっている飲料水ビジネスや、
水道水に比べて安くあがるため、
コスト削減目的に工場などで大量に利用されています。

熊本市では、周辺地域の地下水位が、
使用量が75%減ったにも関わらず、
20年前と比べて約5メートル下がったそうです。

日本では、実は地下水に関する法律がなく、
地下水は土地所有者が自由に使える状態となってしまっています。

同市では、独自に条例を制定。
年間3万立方メートルを超える地下水利用者に対し、
許可制にするとともに、節水と涵養対策を義務付けています。

地下水の涵養活動、と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、
その手法として注目されているのが、水田。

通常の植え付け時だけでなく、冬水たんぼとして
冬にも水を張ったままにしておいたり、
転作田湛水として小麦などの刈入れ後の期間に水を張るなどして、
ゆっくりと水を地下にしみ込ませていきます。
(涵養する水田や森が減ったり荒れてしまったことも地下水減少の原因です)

実施にあたっては、協力農家を募り、
水を張った農家に対して助成金を付与します。
地下水の使用者はその費用を負担します。

同地域に工場があるソニーやサントリーなど、
大手企業が独自に展開をする場合もあれば、
中小企業などはくまもと地下水財団を通じて行うケースもあります。

同財団のプログラムには、お米を食べることで
地下水涵養に協力する「ウォーターオフセット事業」も展開しています。

地下水については、早急に国として、
「公水」と定め、保全ルールを整備することが求められています。
日本の地下水をめぐる現状については、橋本淳司さんの
日本の地下水が危ない」が詳しく、
お勧めです。

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CBDが報告書を発表 注目高まる「都市化と生物多様性」 

少し前になりますが、
生物多様性条約事務局が都市化と生物多様性に関する
報告書を発表しています。

Cities and Biodiversity Outlook
http://www.cbd.int/doc/publications/cbo-booklet-2012-en.pdf

2000年から2030年にかけて、
世界の都市部は3倍に拡大し、
都市人口は倍増して約49億人に達すると予測されています。

下記の予測を見ていただければわかるように、
これまで、多様な生物種が集まる
生物多様性ホットスポットは都市部と
比較的離れたエリアに存在していましたが、
今後は生物多様性ホットスポットにも
都市化の影響が及んでいくことになります。

■中国とインドの都市化予測


オレンジ…人口集中地域
水色、青…生物多様性ホットスポット
(報告書P13、14より)

しかし2030年までに都市化されると
予測されている土地の60%以上は開発がこれからのため、
低炭素型で資源効率の高い都市開発を促進できれば
影響は限定的に抑えられるとしています。

都市における生物多様性に対する認知は高まってきており、
様々な研究も進んできています。

・ベルギーでは開花植物種の50%以上がブリュッセルに、
ポーランドの鳥種の65%がワルシャワにみられる。

・都市の樹冠面積が10%増えると気温が3~4%低下し、
エアコンに使用されるエネルギーの削減につながる。

・木々が近くにあると子どものぜんそくやアレルギーが
比較的少ない。

など。

報告書では各地の先行事例が取り上げられており、
日本からは金沢市の加賀野菜ブランドを通じた
環境・農業・食の保全と地域活性化の事例が
紹介されています。

持続可能性のどの問題を考えるにあたっても、
今後「都市化」は欠かせない視点です。

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持続可能なコスメは南米から Sustainable Cosmetics Summit開催 

Green Leaf of a Bio Plant in Nature
photo by epSos.de

世界中の化粧品・コスメ企業が集まって
美容業界の持続可能性について話し合う
Sustainable Cosmetics Summitが次回
9月にブラジルのサンパウロで開催されます。

Sustainable Cosmetics Summit
http://www.sustainablecosmeticssummit.com/Lamerica/

オーガニック製品に関する研究やコンサルティングを行っている
Organic Monitorが事務局を務め、
ロレアルやエイボン、P&Gなど、
世界中の化粧品・化学・小売・包装・認証業界から参加者が集まります。

今回の会議のテーマは、「生物多様性と倫理的な調達」。

原材料調達は世界的に関心が高まっている分野であり、
化粧品メーカーにとっては製品の原材料の供給源ともなるため、
避けては通れないテーマです。

ご存知のように、ブラジルは生物多様性の宝庫で、
近年、新たな製品開発を目的に
ロレアルやユニリーバ、ジョンソン&ジョンソンなどの企業が
現地に研究開発センターを相次いでオープンしています。

規制の議論はなかなか進んでいませんが、
個別の企業では色々な取り組みが出てきています。

ブラジルの化粧品最大手のナチュラ(Natura)は、
今年の世界で最も持続可能な企業の2位に選ばれており、
様々な生物多様性保全・調達プログラムを展開。

アニュアルレポートでは、事業を通じて生み出された
経済・環境・社会の側面のプラスとマイナスの価値を、
「Natura Value Chain」と定義し報告するなど、
独自のフレームワークでの取り組みは参考になります。

その他にも、化粧品第2位のグルッポボチカリオ(Grupo Boticario)や、
シムライズ(Symrise)やジボダン(Givaudan)などの香料メーカーも
現地で生物多様性保全・調達プログラムを展開しています。

会議では色々な事例の紹介もあるようです。
当日の様子はオンラインでは見られないようですが、
また何か情報があったらご紹介したいと思います。

こちらの会議、ブラジルの次は11月に香港で開催予定です。
日本からは花王が参加して事例を発表するほか、アジア特有の課題として
・動物実験(たとえば中国は化粧品の動物実験を義務化)
・ハラル認証化粧品(ブタ由来とアルコール成分を使わない化粧品)
・アーユルヴェーダと化粧品
などの議題も取り上げられるそうです。

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