中長期ビジョンと指標/KPI」カテゴリーアーカイブ

2050年 オランダはサーキュラーエコノミーになる

2050年、オランダは100%サーキュラーエコノミーになる。

今年9月、オランダ政府から大きな目標が発表されました。

欧州レベルでは2015年の12月にサーキュラーエコノミーに関する
政策パッケージが発表されていましたが、
その一歩先を行く形になります。

Screen Shot 2016-11-02 at 21.15.43
A Circular Economy in the Netherlands by 2050
https://www.government.nl/binaries/government/documents/policy-notes/2016/09/14/a-circular-economy-in-the-netherlands-by-2050/Circulaire+Economie+EN_v4.pdf

70ページほどの方針を見てみると、
世界をリードしていくという本気度が伝わってきます。

最終的に目指す姿は、
2050年までに完全なサーキュラーエコノミーを実現すること。

2050年の社会では、すべての原材料は環境に悪影響を及ぼすことなく利用・再利用され、
新しい原材料が必要になった場合には、持続可能、
かつ環境や健康に悪影響を与えない方法で取得されます。

中間目標は2030年。1次原料の使用量の半減を目指します。

背景にあるのは、危機感。

面積が小さく、人口密度が高い小国で、資源を他国に依存しています。
54の主要な原材料のうち、オランダでは68%が輸入です。
海外に依存するということは、地政学的な緊張関係の原因となり、
安定供給が脅かされると社会が不安定化することにつながります。
 
リスクの視点だけではなく、経済・雇用機会としての期待も高く、
15〜84億ユーロのGDP成長、54000の雇用創出が見込まれるとの試算もあります。

サーキュラーエコノミーにおけるビジネスの形としては、
・サプライチェーンでは原材料がより高効率に利用され
・新しく原材料を使う場合には、化石燃料由来のものは避け、
持続可能な形で生産されたもの、再生可能なもの、広く入手可能なのものを使用し
・新しい生産方法、製品設計、消費の形をつくっていく
ことを目指します。

Screen Shot 2016-11-02 at 19.14.25
A Circular Economy in the Netherlands by 2050 P17より

注目したいのが、変革を進めていく上での政府の役割。
考えられる障害を特定し、どのような方向に変えていこうとしているかを具体的に示しています。

たとえば、法規制の領域では、
廃棄物の定義を変えていくほか、
化学物質や有害廃棄物などの国際的な規制と
整合性をとっていくことも必要になってきます。

また市場のインセンティブを設計するため、
外部経済の内部化や炭素市場の設立、廃棄物への課税に取り組むほか、
政府調達の推進や障害になる補助金の撤廃を進めるとしています。

その他にも、資金や知識・イノベーションの促進の観点もありますが、
政府の役割として重要になってくるのが、国際協調の進展。

1ヵ国では当然できないことのため、
いかに他国を巻き込み、国際的な潮流としていくかが重要になります。

こうした政策パッケージを読んでいて、改めて大きな挑戦であることを感じました。

●新しく興隆している経済、ビジネスの形を積極的に取り込んでいくことが必要。
たとえばシェアリングエコノミー。循環型経済におけるビジネスモデルの1つであり、
様々ある課題を1つ1つクリアしながら、前向きに社会に取り入れていくことが求められます。

●生産者の責任範囲の拡大。これまでの拡大生産者責任(EPR)の概念が
さらに広がっていくことが想像されます。

●消費者の意識を高めていくことは重要ですが、
ふわっとした啓発では変化が加速しないため、
より抜本的に消費者の考え方や生活様式を変えていくことが必要になります。

●他国との摩擦を減らし、共通のゴールに向けて足並みを揃えられるか。
ある意味では、グローバル化し、市場をさらに開放しようという流れに反した、
経済を閉じようとする行為でもあります。

自国だけでなく、世界全体として発展していく道筋をどう描いていくのか。
持続可能な形での資本主義・自由経済のあり方とは。
そんなことも考えていく必要がありそうです。

報告書の発行者を見てみると、
環境省のほか、経済省、さらに外務省の名前があります。
省庁の壁を越えて、社会全体として目指す意志が伝わってきます。

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アップルもIKEAもH&Mも 再エネ100%が当たり前の世界へ

Beautiful Wind Turbine for Renewable  Electricity Generator
photo by epSos .de

「ビジネスで使用する電力のすべてを再生可能エネルギーでまかなっています」

もう10年もすると、こう宣言する企業が
多くみられるようになるのではないでしょうか。

RE100%という動きがあります。
使用電力を100%再生可能エネルギーに転換することを目指す
企業によるイニシアチブで、2014年に立ち上がりました。

RE100%
http://there100.org/

初期の参加企業は、IKEAやH&Mなどのスウェーデン企業、
英国の通信大手BT、スイスの再保険会社SwissRE、
ネスレやフィリップスなど12社。

今年9月には新たにスターバックスやウォルマート、
P&Gやジョンソン・エンド・ジョンソン、ゴールドマン・サックス、
ナイキなどが参加を表明し、現在は40社にまで拡大しています。

参加企業は使用電力を100%再エネにすることを年限付き目標とともに宣言します。

達成年度は2020年、2025年、2050年と参加企業によってまちまちですが、
すでに達成している企業もあります。

再エネ100%という壮大な目標。
のようにみえますが、各方面を見渡してみると、すでに様々な動きが出てきています。

なかでも進んでいる業界の一つが、IT業界です。

膨大な電力を消費するデータセンターをグリーンにしようと
呼びかけるグリーンピースのキャンペーンなどもあり、
GoogleやFacebookなどが続々と反応。
再エネへのシフトを宣言しました。

グリーンピースのCool IT キャンペーンについて
http://www.greenpeace.org/japan/ja/campaign/energy/cool_it/

(個人的にはFacebookに働きかけたこの動画が似ていて好きです)

ものづくり企業でも同様の動きは出てきています。
Hondaはブラジルで立ち上げた生産工場をすべて
再エネでまかなうべく、風力発電所を立ち上げました
先日発表されたトヨタの長期環境目標でも、
生産工程での消費エネルギーを100%再エネと水素にするとしています。

米国のオフィス家具メーカーのスチールケースはグローバル電力消費相当量の
再エネをすでに購入し、さらにはサプライヤーにも働きかけを推進。
取り組んだサプライヤーには購入時のディスカウント率で
恩恵が受けられるようになっています。

こうしてみていくと、すでに100%再エネへのシフトは
当たり前の動きのようにも思えてきます。

最後に、アップルの取り組みをご紹介します。

アップルは米国での事業はすでに100%を達成しており、
全世界での数値も87%にまであがっています。
最近では新たに中国での再エネ設備への投資を発表。
同社のウェブサイトを読んでいると、
なぜ自分は取り組まないんだろう、という気持ちになってきます。

「私たちは気候変動について、議論したいのではありません。阻止したいのです。」
http://www.apple.com/jp/environment/climate-change/

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米シティ、10年で1000億ドルを都市の気候変動対策と生活向上に


photo by Daryl I

米金融大手のシティグループが、
今後10年で総額1000億ドル(約12兆円)を
気候変動の影響軽減や、地域社会の生活向上につながる案件に
融資や投資、資金調達を通じて提供することを発表しました。

Citi Announces $100 Billion, 10-Year Commitment to Finance Sustainable Growth
http://www.citigroup.com/citi/news/2015/150218a.htm

急速に進む都市化の流れを背景に、
都市への重点的な支援を計画している点が特徴的で、
東京都も参加する気候変動への取り組みをリードする世界の環境先進都市グループ
C40(世界大都市気候先導グループ)とも恊働。

(参考:「Interview: 東京都は、環境で、世界のステークホルダーとどう関与しているのか?

地域社会の気候変動への適応施策や、
安全な飲料水へのアクセスや廃棄物管理などのインフラ改善、
低・中所得コミュニティへの環境に配慮した手頃な住宅融資などに
取り組むとしています。

シティグループは、2007年にも同様の10年間で
500億ドルを投融資する計画を発表し、
3年前倒しで2013年に達成しています。

また新たな環境目標も同時に発表され、
2020年までに05年比で温室効果ガス排出量35%、
エネルギー・水の使用量30%、廃棄物60%削減に取り組むほか、
温室効果ガスの排出量は2050年までに80%削減する長期計画も掲げています。

今回シティが発表した「10年で1000億ドル」の目標のように、
欧米企業は今後目指す方向性と到達点となる大きな旗を掲げることが得意です。

あわせて実態をみていく必要があることはもちろんですが、
こうしたメッセージの発し方によって、
従業員や投資家など、受け手の印象が大きく変わることは事実です。

実績を元に控えめに、誠実に伝えることはもちろんですが、
こうした「未来志向型」のコミュニケーションが
もっと日本企業においても広がっていくことを期待します。

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建設業の女性技能労働者、5年以内に倍増へ

construction

震災復興の本格化や、政府が打ち出している国土強靭化策に加え、
東京での開催が決まったオリンピック・パラリンピック。
建設業における需要拡大が期待される一方で、
人材不足や資材・建設コストの高騰が問題となっています。

特に建設業における技能労働者の不足は以前から
業界全体の大きな課題となっており、
就業者の高齢化や新規入職者数の低下により、
既存のインフラを維持していくことすら
危うくなってくるのではという懸念もあります。

就業者数は97年のピーク時の685万人に対し、
12年には503万人と約30%の減少。
新規学卒者の入職状況も、
97年のピークの7.8万人に対し、12年は3.4万人と半減しています。

kensetu2

kensetu
日建連 建設業ハンドブック2013「建設業の現状」より

そのような状況のなか、大手建設会社が参加する
日本建設業連合会(日建連)より、
女性技能労働者を5年以内に倍増する目標が発表されました。

女性技能労働者活用のためのアクションプラン
http://www.nikkenren.com/sougou/pdf/ikusei/09/2014_0320_01.pdf

技能労働者とは、型枠や左官、とび、鉄筋など
建設現場で活躍する様々な労働者を指します。

総務省の労働力調査によると、
女性技能労働者の割合は約9万人(2.7%)で、
製造業や全産業平均と比べて1/10以下となっています。

そこで日建連として、上記目標を達成するために
1.女性が活躍できる職種のアピール
2.現場で安心して使用できるトイレの設置などの環境整備
3.時短や帰宅制度などの出産・子育て支援
4.女性を主体とした「なでしこ工事チーム」の設置
などの施策を会員各社、協力会社と連携して実施していくことを発表しました。

私たちエコネットワークスでも、昨年から継続して
建設技能者の視点から建設業を魅力的な産業とするための
協力会社とのダイアログや、
女性が活躍しやすい組織に向けた従業員とのダイアログの
開催をご支援してきました。

construction2

「建設技能者の不足」という1社では解決できない大きな課題は、
現場、トップダウン、協力会社との連携、業界全体、国など
様々なレベルで取り組んでいくことが重要になってきます。

そのために様々なステークホルダーとのダイアログは欠かせず、
実効的なアクションに向けた対話をご支援できることは
私たちにとっても非常にやりがいがあります。

現場の人手不足に対しては、技能実習生の期間延長や、
ODAを通じてベトナムで職業訓練を実施し卒業生を技術者として受け入れるなど、
外国人労働者の受け入れ拡大に向けた動きも見られます。

一方で、給与待遇や労働条件など
そうした外国人労働者の人権への懸念や、
労働条件の改善による日本の若者確保に力を注ぐべきとする声もあがっており、
一時的な対策ではなく産業として持続的なあり方に向かうための取り組みが期待されます。

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General Millsも宣言 2020年までに原材料上位10品目を持続可能に調達

Next28-Commitment-wall

温室効果ガス排出や水、人権などの観点から
特に注目が高まっているサプライチェーンにおけるリスク。

「ビジネスの競争力の源泉は良質な原材料を
いかに確保できるかにかかっている」

とGeneral Mills(ゼネラルミルズ)の副社長が語っているように、
食品企業では、いかに持続可能な形で原材料を調達していくかが
今後の成長を左右するカギになります。

世界的な食品メーカーであるGeneral Millsは9月、
2020年までに原材料の上位10品目を持続可能な形で調達する、
という宣言を発表しました。

General Mills commits to sustainably source 10 priority ingredients by 2020

対象は購入している原材料の50%を占める上位10品目。

・オート麦
・小麦
・コーン
・乳製品
・繊維包装材
・カカオ
・バニラ
・パーム油
・サトウキビ
・テンサイ

同社の環境負荷のうち、直接の事業範囲外、
農業部分が温室効果ガス排出の2/3、
水利用の99%が発生しているため、
原材料調達に取り組むことは環境に対する責任を果たす上でも
非常に重要であるとしています。

ここでの「持続可能な形で」の定義は、
NGOや業界の環境フレームワークを基準に、
継続的に改善されている地域から、
または環境破壊につながるとされている地域以外から
調達することとしています。

着手したのは、2011年から。
WWFと協力して、人権や水質への影響、水利用、
土壌流出、温室効果ガス排出などの観点から
サプライヤーのリスク分析を実施。

環境・社会への影響が大きい10品目を特定し、
それぞれに対して戦略を構築した後、
パイロットプロジェクトに取組んでアプローチを修正しつつ、
業界全体とベストプラクティスを共有しながら
取組みを進めています。

同様の取組みは、以前ご紹介したユニリーバでも進められています

2010年に調達方針を宣言して以降、
2020年までに14品目を100%持続可能な形で調達することを目指し、
現在36%まで達成していると発表しています。

1社だけでは取り組めない、非常に大きな課題。
だからこそ、どのように影響力を行使し、パートナーと協力して、
長期的な視点を持って、進捗を管理し取組みを進めていくのかが
とても重要になってきます。

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2つの報告書が示す持続可能な都市に向けた道筋

City sunset
photo by Steve Davidson

現在、すでに世界の人口の半分は都市に住むとされ、
今後もこの都市への人口集中の流れは加速していくと見られています。

先月、都市の持続可能性を考える上で参考になる
2つの報告書が発表されました。

1つはIEA(国際エネルギー機関)によるものです。

2050年までに都市交通によるエネルギー消費は
現在の2倍になると予測されるなか、
交通システムの改善により、
安全性や人々の生活の質向上、環境負荷削減に加えて、
70兆ドルのコスト削減が可能と試算しています。

IEA shows benefits of improved energy efficiency of urban transport systems
http://www.iea.org/newsroomandevents/pressreleases/2013/july/name,39543,en.html
報告書 ”A Tale of Renewed Cities

世界30都市の事例から、エネルギー効率を改善するための目標設定や、
都市計画の策定、資金調達、実行、評価に必要な取組みをまとめています。

たとえば韓国ソウルではバスの運行サービス改善により、
走行スピードや乗客数、安全性の全てが向上しました。
またセルビアのベオグラードでは、市内の鉄道システム改善により、
6ヶ月で乗客数が3倍に増加しています。

もう1つは環境情報の開示に取り組む
CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)によるもので、
世界の大都市の気候変動への対応についてまとめられています。

Wealthier, healthier cities emerge from climate change initiatives
https://www.cdproject.net/en-US/News/CDP%20News%20Article%20Pages/Wealthier-healthier-cities-emerge-from-climate-change-initiatives.aspx
報告書“Wealthier, Healthier Cities

世界の110都市を調査したところ、
炭素排出量の削減策により、
人々はより健康的な暮らしを得られており、
最大で年間1300万ドルの省エネになっている市もあるとしています。

エネルギー効率改善により、
気候変動対応とエネルギーコスト上昇の両方に対処することで、
今回報告された9都市で合計4000万ドルのコスト削減につながったそうです

またエネルギー効率改善施策の62%は投資を呼び込む可能性があり、
実際に英国のグレイターマンチェスター州では、
長い不況にも関わらず環境配慮型製品部門は4%成長しています。

先日も、ジャカルタから北九州市に下水道について学ぶために
研修に来ていた自治体の方とお話する機会がありましたが、
都市同士のネットワークやノウハウ共有の重要性はますます高まっていきます。

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B Corp Assessmentから読み解く 持続可能な企業の要件

checklist
photo by Alan Cleaver

Shared Interestプロジェクトvol.1の続編として、
先日「B Corp Assessmentを読む会」を実施しました。

米国では、経済的利益と社会的利益を同時に追求する組織を認証する
B Corporation認証」という仕組みがあります。

B LabsというNPOが運営し、近年一部の企業の間で
取得する動きが広まっています。

認証に当たっては、最初のステップとして、
B Corp Assessmentというアセスメントを受けるのですが、
(オンラインで誰でも受けることができるようになっています)
その評価項目が独特で、とても参考になります

全部で50ページにも及びますので、
ここではいくつか特徴的な項目を紹介したいと思います。

DM Manufacturing 250+ Impact Assessment

●ガバナンス
「ミッションに社会的な価値を生み出すことが明記されているか。」
「それらのミッションを社員に浸透させるための教育が行われているか。」
「ステークホルダーから取締役会に代表が参加しているか」

ガバナンスの項目では、ミッションに関連する設問から、
社外取締役や監査など体制や透明性に関する設問が並びます。

「役員に対して利益相反をしていないか調査を行っているか」

という、ちょっと踏み込んだ設問も出てきます。

●従業員
「フルタイム社員の報酬について、最低受給者と最高受給者の間で何倍の差があるか」
「一番受給額が低い社員の時給は生活賃金(一定の生活水準を維持するために最低限必要な時間給)を何%上回っているか」
「前年比で賃金はどれだけ増加したか」

フルタイム社員やパートタイム社員、派遣社員、契約社員など、
契約形態を踏まえた賃金体系の実態が問われています。
公平な利益配分を促す意図が伺えます。

「パートタイム社員に対しては、週の勤務時間が何時間以上から健康保険が提供されているか」
「男性社員の育児休暇取得は行われているか」

米国は皆保険制度ではないため、
企業が従業員に対して提供している健康保険の内容に
対する注目が自然と高くなります。
(たとえば歯科治療を保険の対象としているかなども設問として入っています)

その他に、社員の内部昇格を推奨する質問や、
従業員による自社株取得を通じたオーナーシップに
関する質問が続きます。

日本にも社員による持株会がありますが、
安定株主の確保というよりも、利益の公平配分の意味合いが強いように感じます。

また柔軟な働き方を推奨する設問も用意されており、
「在宅勤務をしている管理職がいるか」
といった設問も出てきます。

●コミュニティ
「サプライヤーの社会面・環境面の取り組みに対する評価の実施状況、方法と頻度」

サプライヤーに対しては、チェックだけでなく、
教育・改善の仕組みがあるかどうかも問われています。

「原材料をどの程度地域から調達しているか」
「地域内での売り上げが全体の収益に占める割合」

ここでの地域とは200マイル(332km)を指します。
日本でいうと、東京~名古屋間が大体300km。
国の大きさが違うので、「地域」の概念も
日本より広く捉えている印象です。

「雇用やサプライヤーにおいて多様性を確保しているか」

多様性の対象としては、女性や民族マイノリティ、
低所得地域の居住者などを含みます。

自社で雇用するだけでなく、調達や製品を通じて
多様性に貢献することが求められています。

以上、ほんの一部を見てきましたが、
「経済的利益と社会的利益を同時に追求する組織」に対して、
かなり多様な側面が求められていることが感じていただけたかと思います。

一部社会背景の違いなどにより設問の意図がわかりにくいものもあるのですが、
是非一度オンラインでアセスメントを受けてみることをお勧めします。

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ブリヂストン 2050年までにタイヤ原料を100%サステナブル化

Bridgestone logo on the Toyota F1 car
photo by Ben Sutherland

「100%サステナブルマテリアル化」とは、
ブリヂストンが提唱するタイヤの将来技術に関する考え方です。

「持続可能な」社会の実現に向けたタイヤ将来技術について~「100%サステナブルマテリアル化」へ~
http://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2012052301.html

「再生可能資源の多様化・拡充」のテーマの下、
「新しい再生可能資源に『拡げる』」
「化石資源を再生可能資源に『換える』」
に取り組むとしています。

具体的には、
・天然ゴム生産地域の多様化
・植物由来補強繊維の多様化・拡充
・バイオマス由来合成ゴムの開発
・バイオマス由来カーボンブラックの開発
・バイオマス由来新規ゴム配合剤の開発
など。

タイヤ原料は化石資源の比率が高く、
循環資源・再生可能資源の比率が低い現状を
変えていく姿勢を明確に打ち出しています。

その他にも2050年目標として、
・CO2の2005年比50%以上の削減
・生物多様性ノーネットロス(貢献量>影響)
を掲げる同社。


ブリヂストンHPより

2050年目標を達成するために、
2020年の中期目標としてどのようなものが出てくるか、
注目していきたいと思います。

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10年目を迎えたFTSE4Goodシリーズとは

「当社は、
FTSE4Good Global Index(フィッチフォーグッド・グローバル)
に採用されました。」

CSRに積極的に取り組む企業から
このような発表を聞くことがあります。

企業が気にかける、
このFTSE4Good(フィッチフォーグッド)とは
何かご存知でしょうか。

FTSE(フィッチ)は、世界の代表的な格付け会社の一つ。

格付け会社は、顧客に財務的なアドバイスを提供することはせず、(信用度や価格を示す指数など)客観的な市場情報を提供することだけに専念しています。

同社が発表するFTSE100種総合株価指数は、MSCI指数とともに、世界の二大投資指標となっています。

同社のHPでは、
「株式」、「不動産」、「投資戦略」
など8つのテーマにそって
指数が紹介されています。

指数は全部で10万以上あるとか。

「責任投資」もその8つのテーマの1つとなっていて、
その中に2001年に発表されたFTSE4Good シリーズがあります。

http://www.ftse.com/Indices/FTSE4Good_Index_Series/index.jsp

この指標に含まれることが企業にとって意味をもつわけですが、
では、どのようにして選んでいるのでしょう。

まず、選定にあたって、一定の業種の企業は排除されます。

 タバコ生産業者
 核兵器、兵器システム製造企業
 原子力発電所の所有/運用企業
 ウランの採掘製造企業

(これを見ると、
原子力発電事業は、
「社会責任」を果たしていないと判断されているようです。)

企業を評価するカテゴリーは

 環境
 ステークホルダーとの関係
 人権
 サプライ・チェーンと労働基準
 贈収賄防止

となっています。

環境はじめとする側面と並んで
ステークホルダーとの関係構築をチェックしていることが特徴です。

こうした指数は、

・定期的に評価基準を見直し、積極的に企業に伝える

・満たすための努力を奨励する

ことを通じて、企業に影響を与えようとしているようです。

10年目を迎え、今後、どのような基準の更新があるのでしょうか。

注視していきます。

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業界比較 サステナビリティ目標が少ないアルコールメーカー

Beer - Whitstable Brewery
photo by xJasonRogersx

業界によって、取り組むテーマや度合いは異なってきます。

アルコールメーカーは他の業種に比べて
サステナビリティに関する目標/ターゲットが少ない。

-そんな調査結果が米国のGreen Researchから発表されました。

Benchmarking Sustainability Goals: Alcoholic Beverages
http://shop.greenresearch.com/products/benchmarking-sustainability-goals-alcoholic-beverages
(レポートは有料です。内容はこちらの記事からご覧になれます。)

ビール・ワイン・スピリットの大手メーカー、
アンハイザー・ブッシュ、アサヒ、ブラウン・フォーマン、
カールスバーグ、ディアジオ、ハイネケン、キリン、サブミラー
などの11社が調査の対象です。

上記企業の多くは、5つのサステナビリティ目標しか設定しておらず、
過去の他業界を対象とした調査で出てきた、
銀行7、食品加工企業10~15、PCメーカー16~18といった
数字と比べても少ないそうです。

その中でも最も遅れているのは、アサヒとフォスターズとのこと。
多くの目標がすでに達成済みで、
より新しく前向きな目標に置き換えられるべきであるとしています。

またアルコール業界の特徴としては、
水に関する目標が他業種と比べても多く設定されており、
調査対象となった全体の44の目標の内、
30%は水に関するものとのことです。

ここでの目標とは、定量的な目標が重視され、
「生物多様性に貢献する事例をつくる」といった目標や、
対象年が過去に設定されているもの・達成済みのものは
カウントの対象から外しています。

今回の調査は、あくまで「これから」に対する姿勢を
「目標/ターゲット」という側面から調査したものであり、
これだけが全てというものではありません。

調査会社のアナリストも
「特定のイシューについて目標がないからと言って、
その企業が全く取り組んでいないということにはならない」
と述べています。

「目標/ターゲット」はそれ自体が強いメッセージ性を持っており、
ただ発表するだけではなく、中身とあわせて
どうコミュニケーションしていくかという点がやはり重要になってきます。

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2013年がサステナビリティ・ビジネスのティッピング・ポイントに?

2013年には企業のサステナビリティへの投資額は今の1.5~2倍になり、
ティッピング・ポイントを迎え急速に市場が広がる。

省エネやクリーン技術、サステナビリティ保険などへの投資が
国際的な成長と密接に関係してくるようになる。

そんな予測をサステナビリティ・ビジネスに関する
リサーチ会社Verdantixが発表しました。

052011verdantix.jpg
source: verdix

2500社以上の投資傾向と過去4年間の市場トレンド、
同社の予測モデルに基づき分析を実施。

主な変化の傾向としては、

●CSO(Chief Sustainability Officer)の増加により、
企業のサステナビリティ・プログラムが拡大していく。

最近ではコカ・コーラが新たにCMO(Chief Marketing Officer)を
CSOに任命したとのニュースがありました。

●nice-to-haveからneed-to-haveへ
金融危機により、単なる倫理的な問題ではなく、
自然資源のコストと環境悪化による負の影響、
有意な競争力の観点から捉えるようになった。

●今見られる傾向の更なる加速
アジアでの需要やエネルギー・気候変動に関する厳しい政策、
サステナビリティがビジネスに与える価値の認識が
更に深まっていく。

レポートの詳細について、6月2日にオンラインセミナーが実施されるようなので、
ご関心ある方は是非。
http://www.verdantix.com/index.cfm/papers/Webinar.Home

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Join the Revolution 英Co-operativeの中長期目標

小売業でイギリスで5番目に大きなCo-operativeグループが
サステナビリティに関する「ETHICAL OPERATING PLAN」を発表しました。

同グループは食品、金融、旅行、薬品、葬儀など
幅広い分野で事業を展開しており、
150年の歴史と生協としては世界最大の600万人の会員を誇ります。

これまでもフェアトレードなどの分野で
先進的な取り組みを進めてきたCo-operativeグループですが、
今回は「Join the Revolution」と自らが宣言しているように、
意欲的・大胆な目標が並びます。

cooperative.jpg
Join the Revolution
http://www.co-operative.coop/join-the-revolution/

対象分野は8つ:
・環境
・民主的管理
・コミュニティ
・責任ある小売
・エシカルファイナンス(倫理的金融)
・協同組合
・世界の貧困
・若者

●2020年までに会員数2000万

●2013年までに300店舗増やす

●2017年までにエネルギーの25%を再生可能エネルギーに

●2013年までに、途上国からの一次産品の90%をフェアトレード認証に

●2013年までに若者の教育支援プログラムに3000万ユーロを投資

●2500万ユーロをマイクロファイナンスに融資

など、経営面と環境・社会面の目標が1つの包括的な
戦略の中に織り込まれ、強いリーダーシップの下に
取り組みが進められています。

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ユニリーバが取り組む100%持続可能な原料調達

Jukwa Village & Palm Oil Production, Ghana
photo by oneVillage Initiative

2020年までに

・10億人以上の人々の健康と生活を助ける
・製品の環境負荷を半減する
・農産物原材料を100%持続可能な形で調達する

ユニリーバが昨年11月に発表した
Unilever Sustainable Living Planの内容です。

Unilever Sustainable Living Plan
http://www.unilever.com/sustainable-living/uslp/index.aspx

農産物の持続可能な調達については、
すでに様々な原料で着手しており、

パーム油
→RSPO(持続可能なパームオイルの円卓会議)から2015年までに100%調達

紅茶(リプトン)
→レインフォレスト・アライアンス認証のものを2015年までに100%調達

ベン&ジェリーのアイスクリームの原材料→
Fairtrade Labelling Organisations Internationalから2013年までに100%調達

その他にも卵、大豆、フルーツ、カカオなどで
取り組みを進めています。

また昨年4月には、生産者向けに
「持続可能な農業ガイドライン」を発表。

Unilever Sustainable Agriculture Code
http://www.unilever.com/images/sd_Unilever_Sustainable_Agriculture_Code_2010_tcm13-216557.pdf

土壌や水、燃料、生物多様性、廃棄物、動物福祉、
社会・人的資本など11の分野で
順守すべき項目を「Must」と「Should」に分けて提示しています。

Mustが守られない場合には、
ユニリーバのサプライヤーとして不適格とみなされます。

「農産物の持続可能な調達」を重点課題に掲げ、
サプライヤーや認証機関と連携しながら
グローバルに取り組みを進めている先進的な事例です。

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世界主要企業の2050年ビジョン 「Vision 2050」

ちょうど1年前になりますが、
主要グローバル企業によって構成されるWBCSDから
2050年の世界ビジョンを展望する「Vision 2050」が発表されました。

vision2050.jpg

Vision 2050: The new agenda for business
http://www.wbcsd.org/templates/TemplateWBCSD5/layout.asp?type=p&MenuId=MTYxNg&doOpen=1&ClickMenu=LeftMenu

Alcoa、PricewaterhouseCoopers、Storebrand、Syngentaを
はじめとする14業種29社のグローバル企業が中心となり
18ヶ月以上に及ぶ20カ国200以上の企業とステークホルダーとの
対話を経て完成されたこの報告書。
(日本企業からはトヨタやソニー、東京電力、大阪ガスが参加)

2050年に90億人が良く生きられる
持続可能な社会の構築に向けた、
国際的/地域的な課題とロードマップ、
ビジネスチャンスについてまとめられています。

・特に女性の教育・経済のエンパワメントと、
環境負荷の少ないライフスタイルの浸透

・炭素や生態系などの価値を組み込んだシステム構築

・土地利用を増やさずに生産量を倍増する農表

・森林伐採の防止と人工林からの生産量増加

・2020年までにCO2排出をピークとし、2050年までに2005年比で半減

・世界全体での低炭素モビリティの提供

・資源効率を4~10倍へ

といった大きな展望の下、9つの分野について、
10年単位でのロードマップが示されています。

「私たちはすでにVision 2050を達成するに十分な知識や技術、スキルを持っている。
あとは次の10年で、資源と能力を十分に集中するために、
国際的なアクションを実行に移せるかだ。」
(WBCSD President Bjorn Stigson)

先日ご紹介したこちらの動きなど、
2020年までに森林減少をゼロに 400社のCEOが宣言
具体的なアクションが始まっています。

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フランスの「持続可能な発展の国家戦略2010〜2013」

フランスでは2007年のエコロジー・持続可能開発整備省の発足以降、
市民や地方自治体を巻き込んだ大規模な環境グルネル会議を開催するなど、
様々な取り組みが進められています。

昨年7月には、グリーンで公平な経済の構築に向けた
「持続可能な発展の国家戦略2010〜2013」が発表されました。

fr_strategie.jpg

http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/SNDD-3.pdf

世界が経済と環境の2つの大きな危機に見舞われる今こそ、
将来世代に恩恵をもたらさない新規投資はやめ、
経済、環境、社会の全ての側面が調和し合う
新しい発展の形を模索すべきという認識の下、
検討されてきたものです。

内容は9つのテーマに分かれており、それぞれ
現状と課題、戦略的方針、アクションリストがまとめられています。

1. 持続可能な消費と生産
2. 知識社会
3. 政治
4. 気候変動とエネルギー
5. 持続可能な交通と移動
6. 生物多様性と自然資源の保全と持続可能な管理
7. 公衆衛生、予防、リスク管理
8. 人口、移民、社会的包摂
9. 持続可能な発展と世界の貧困への国際的挑戦

明確な国家戦略として打ち出す姿勢。
EUの政策との整合性の図り方、
企業、労働者、地方自治体、市民を巻き込んだ検討過程、
現状抱える様々な問題への対応と今後の実行。

どれも参考になります。

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