真の意味でのサステナビリティ プラスチック問題を通して考える

2019 / 7 / 1 | 執筆者:EcoNetworks Editor


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昨年、Starbucksが2020年までに全世界の店舗でプラスチックストローを廃止する、と宣言したことは記憶に新しいと思います。McDonald’sも2025年までに全世界においてストローをはじめ、その他パッケージをリサイクル可能にする、と宣言しました。また、先月大阪で開催されたG20サミットにおいても海洋プラスチックゴミ問題が中心議題の一つとして取り上げられました。

(参考レポート:「海洋プラスチック汚染のいま 欧州の動きから」)

英国でサステナビリティのコンサルタントとして仕事していると、自社のプラスチック製品やパッケージをよりサステナブルなものに変えたいという相談がよく来ます。私はこうした相談を通して、真の意味でのサステナビリティとは何かを考えるようになりました。今日においてサステナビリティとは経済面、社会面、環境面など、様々な面においての持続可能性を目指すことを意味します。サステナビリティを推進するための方策を立てる際には、多角的な視点をもち、それらの相互関係を考えることが大切ということです。

たとえば、とある英金融業界のクライアントから、プラスチック製のカードを biodegradable(分解可能)な材料に変更したいという相談を受けた時の話なのですが、ここで durability(耐久性)が問題になりました。いくらサステナブルな選択をしたつもりでも、結局カードが摩耗に弱く、その結果再発行以依頼が増え、その度に封筒に入れてカードを送っていたのでは環境負荷が逆に増えてしまうのではないか、という懸念が生じたのです。

似たような話は他にもあります。英国のとある大型スーパーマーケットチェーンも近くプラスチックの包装を廃止することになっているそうですが、例えばプラスチックを紙の包装など、よりサステナブルな材料に変えると、約3倍のコストがかかるそうです。また、紙の包装にしたことによって重量が増え、運送により多くのCO2が必要になる可能性もあるとのことです。


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また、英国小売業のMark&Spencerにおいては一部店舗で包装なしの食品量り売りコーナーができましたが、ここでは包装がないので、いかにして消費者に安全で衛生的なものを届けることができるかが課題となっているようです。そこで、レジにて購入者に衛生管理についてのアドバイスをするなど、対策を取り始めているそうです。

このように、サステナビリティを考える際には、様々な視点を考慮して真にサステナブルな選択であるかどうかを見極める必要があります。

しかし、複雑に捉えるあまり、何の対策も取らないまま、周りが動き出すのを待っているという日本企業が多いのも事実です。この点、イギリスのとあるアウトドア製品企業のサステナビリティ担当者は、「待っていても問題は悪化の一途をたどるばかりで、前進できない。いいと思うことがあれば、ある程度見切りをつけて実行していくことが我々の責任と考えている。」とおっしゃっていました。新しい包装ポリシー導入に際して、サプライヤーが本当に協力してくれるのか?という懸念があったそうですが、分かりやすいガイドライン周知を徹底したところ、多くの下請け企業が快く協力してくださったそうです。これをきっかけとして、業界全体へのポジティブな影響の波及がはじまっている、とのことでした。

気候変動など、地球の問題は日に日に深刻さを増しています。真の意味でのサステナビリティとは何か? 自社のオペレーション全体について広く専門家の意見も踏まえて検討しつつも、先陣を切って行動を起こしていくことが、今後日本企業にも求められるのではないでしょうか。

(サステナビリティ・コンサルタント 中久保 菜穂@英国/日本)

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