2020年には35兆ドル⁉~米国市場のESG投資最新トレンド

2019 / 6 / 8 | 執筆者:EcoNetworks Editor

私は以前、消費財メーカーのCSR推進部で7年ほど、部立ち上げの黎明期からCSR推進やコーポレートコミュニケーションに関わる業務に携わってきました。その後、夫の海外転勤に伴って退職し、6年ほど仕事からは離れていたのですが、昨年帰国して今度は外部から企業を支援する立場でCSRの世界に関わり始めました。

CSR担当だった2000年代後半から2010年代前半、CSRの領域は変化・発展を続けていましたが、その後の5年でまたさらに大きく変革していることを感じています。特に、事業との結びつきの強まりや資本市場においてもCSRの重要性が一層増し、ESG投資の市場規模も膨らみ続けています。

そこであらためてESG投資のトレンドを勉強していたところ、米国の興味深いレポートに出会ったのでぜひご紹介したいと思います。

High Meadows Institute
Sustainability in Capital Markets: A Survey of Current Progress and Practices
http://www.highmeadowsinstitute.org/sustainability-capital-markets-survey-current-progress-practices/
2019年3月25日

本レポートは同社が2015年に行った米国資本市場におけるESG統合の調査の最新版で、この3年間でのESG統合の変化を報告しています。

以下簡単に内容を要約しました。

概況
・この3年間で資本市場におけるESGが主流になりつつあり、ESGの運用資産は2016年の23兆ドルから増加して、現在30兆ドルになり、2020年までに35兆ドルになると予測されている。
・PRI、NGO、テクノロジー、データサイエンスなどマルチステークホルダーによる取り組みや、資本市場におけるあらゆるステークホルダーは、ESGのプラットフォームへの統合を加速してる。(パッシブ投資のESG統合など)
・明らかに資本市場におけるESG投資は拡大してきているが、一方でいまだに米国資本システムにおいて課題が多く残り、ESG投資のリターンを向上させ顧客にどう価値を生むかは疑問が残る。

ESG統合を後押ししている主な要因
・投資家の人口統計の変化 (特にミレニアル世代や女性の興味と投資力が向上)
・金融サービスのデジタルイノベーション
・気候変動に関するパリ協定や国連のSDGs

課題・カウンタートレンド
・ESGの定義不足と企業がESGのパフォーマンスを測定し報告するための規格や標準化された枠組みの欠如(一方欧州では任意ガイドラインが導入済)
・経営陣のESGに対する理解不足
・ESG統合を推進するための人材とインフラ不足
・金融選択法の可決により小規模投資家の株主提案が不可能に
・パッシブ投資家や商工会議所などによるESG統合を阻む動き
・気候変動に関する企業のロビー活動
・短期的な投資運用成績を優先する組織
・データプロバイダへの不信感

後半は、資本市場における各ステークホルダー(アセットオーナー、アセットマネジャー、投資コンサルティングファーム、証券取引所、信用格付機関、ブティックアセットマネジャー、ESG測定及び報告機関、規制当局及び業界会計機関、インデックス提供者および上場投資信託)での動きを紹介しています。

興味のある方は是非レポート詳細をご覧下さい。

急成長しているパッシブ投資にESG統合をするという潮流がある一方で、どうリターンを高められるかについては個人的に注目したい点です。サステナビリティの重要性は明らかなものの、リターンの高さは期待値に過ぎない部分もあり、どう実証され市場に影響を与えるか、今後も最新トレンドをウォッチしていきます。

(CSRアドバイザー 早川貴子)

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