スカッとでは済まないクレーム対応

2018 / 10 / 25 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

「人をバカにして笑った」と大声で罵倒され、土下座させられた

商品の入れ方でお客様の言われるようにしたつもりが、少しでも気に入らないと、
強い言葉や態度で罵倒される

約2時間一方的な要求を訴えられ、拒否したところ、馬鹿、低能、社会人失格など
罵倒雑言を浴びせられた

食事にしつこく誘われた。体を触ったり顔を近づけたりしてくる

背中や腰を触ってきて「この辺が痛いんだから貼ってくれ、手が届かないだろ?」
と言われた

・・・いずれも、実際にあった悪質なクレームの一部です。

調査では、回答者の70%が業務中に客からの迷惑行為に遭遇したことがある
と答えました。

悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査 分析結果~サービスする側、受ける側が共に尊重される社会をめざして~

実施したのは、繊維・衣料や医薬・化粧品、食品・流通などの
産業別労働組合であるUAゼンセン。

対象はスーパーマーケット、GMS(総合スーパー)、住生活関連、
百貨店、ドラッグ関連、専門店、家電関連の7業種で、
接客対応している流通部門の組合員約5万人が回答しました。

その実態は深刻です。

近年迷惑行為が増えていると回答したのは、全体の約半数

最も発生頻度が多い「暴言」には、
ブス・ババァといったセクハラ、アホ・低能といった人格否定、
さらには土下座の強要・金品の要求といった違法行為まで、様々です。

そうした行為により「強いストレスを感じた」人は半数以上。
精神疾患にまで発展した人もいます。

対応については、謝り続けたと回答した人が48%。
上司に引き継いだ人は37%。毅然と対応した人は、全体の1/4にとどまります。

引き継ぐ上司がいるかどうか、現場の従業員に与えられている権限の有無、
対応知識を持って接客にあたっているかどうか。
正社員か非正規社員か、雇用形態にも関わってくる部分です。

対応のために必要な措置については、
企業としての組織体制の整備を求める声が最も高く(40.8%)、
クレーム対策の教育(37.8%)、法律による防止(37.5%)、
消費者への啓発活動(36%)と続きます。

悪質クレームが問題化している背景を、報告書では
7つの観点から分析しています。

①消費者の地位向上と権利意識の高まり
②企業への不信感の増大
③急激なメディア環境の変化
④フリーダイヤル化と携帯電話(スマートフォン)の普及
⑤規範意識の低下に伴う苦情障壁の低下
⑥過剰サービスによる過剰期待
⑦社会全体の疲労と不寛容化

こうした問題は、今後、ますますエスカレートしていくことも想定されます。

テレビで放映されているような、
我慢を前提に「スカッと」して終わり、
で済むものではありません。

労働者の権利、消費者の権利に関わる、人権に関する問題です。

権利に関する概念が希薄、または
特権として誤って理解されている日本社会において、
企業はリスクマネジメントの観点だけでなく、
ある種の日本固有の「人権問題」としても捉え、
対応していくことが求められます。

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