3万人の大量脱退 このままでいい?企業と労働者の関係性

2018 / 9 / 4 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by Toshihiro Oimatsu

3ヵ月で3万人以上の組合員が脱退
-約4万6千人いた組合の規模が3割以下に。

今年の春に起きたJR東日本最大の労組、
東日本旅客鉄道労働組合での出来事です。

経緯は東洋経済オンラインの記事に詳しいです

JR東労組「3万人脱退」で問われる労組の意義~JR労組の脱退問題続報、「無所属」が大量発生

この異常事態の直接のきっかけとされるのが、
今年の春闘で会社側に提起したストライキ権の行使。

基本的には、本来の業務以外に参加しない
「非業務スト」ということでしたが、
要求が認められない場合は指名された組合員が
業務を拒否する「指名スト」も計画していました。

ストライキは欧州では労働者の当然の権利として認められており、
日常的に行われ、市民の理解もあります。

一方の日本では、ストはほぼ絶滅したといっても過言ではありません。

今回の大量脱退の背景には、
「お客様に迷惑がかかる」「高給をもらっているのに理解が得られない」
といったストに対する批判だけでなく、
これまでの組合運営のあり方に対する不満、
さらには事実として、あるいは意図的に作り上げられてきた
労組に対する負のイメージがあります。
(特にJRにおいては、国鉄の民営化に伴う複雑な歴史があります)

ストだけでなく、労働組合自体も、存在感は年々低下しています。
最新の調査では、推定組織率はわずか17.1%しかありません。

企業別に労使が協調する労働組合の形は、日本独特のものです。
正社員を中心に組織され、非正規雇用の拡大など労働環境の劣化に
十分な対応ができてこなかったことは事実です。

またその前提となる労使の「信頼関係」は、非常に曖昧な言葉で、
ともすると日本においては大きくマイナスに働くこともあります。

こうした労働組合を巡る状況に対し、もっと危機感を持つべきではないでしょうか。

企業のCSRレポートを見ても、
労働組合を組織する権利は認めていても、
実態としては組織されてない、あるいはどれだけ活動しているかわからない
というケースがほとんどです。

大切なことは、従業員の権利が守られ大切にされていること。
そしてステークホルダーとしての従業員の声が経営に届く仕組みがあり、
ちゃんとその声が反映されていること。

従来の労働組合の形にこだわる必要はありません。

個人で加入できるユニオンを認め会社側も参加を後押しする、
従業員代表が経営やCSRの委員会に参加する、
従業員が株式を保有するコオウンドの形態をとる、
通報制度が積極的に活用される状況を作るなど、
その会社独自の形を模索してもよいと思います。

健全な対話ができていないことに、もっと労働者側も、そして経営側も、
危機感を持つべきではないでしょうか。

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