海産物にQRコード? ブロックチェーンで高まる調達の透明性

2018 / 9 / 6 | 執筆者:EcoNetworks

エコネットワークスでは今年の6月に、
環境NGOグリーンピース・ジャパン(以下グリーンピース)による調査結果の英訳を
ご支援させていただく機会がありました。

調査結果は、昨年9月から今年1月にかけて
大手小売業18社(うち16社が回答)を対象に行なったもので、
ウナギ加工品の調達に関するアンケート調査と、
各社が販売した蒲焼きのDNA検査結果をとりまとめたもの。

調査から、ウナギの調達はサプライチェーンが不透明で、
トレーサビリティに重大な欠陥があること、
また、ニホンウナギは絶滅危惧種であるにもかかわらず、
処分量の回答があった5社だけでも昨年販売実績で、
約2,730kgの加工品が消費されずに廃棄されていた事実が明らかになりました。

不透明なウナギ調達の実態―大手小売業のウナギ加工品(蒲焼き)の調達に関する調査
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20180604_Briefingpaper_Eel.pdf 

ウナギに限らず、海産物(加工品含む)のサプライチェーンについては、
その漁獲・養殖方法による生態系への影響や、
東南アジアなどにおける児童労働や強制労働など、
関わる労働者の人権の観点などから、さまざまな課題が議論されてきています。

日本でも、私達が口にする海産物や、缶詰などの加工品には
東南アジアを中心に世界中の漁場で調達されているものが多くありますが、
スーパーでの日々の買い物の際、それらが、
どこでどのようにして調達されてきたものなのか、
それを食べることで世界にどのような影響があるのか、
そこまで考えて購入する消費者はまだまだ多くはないでしょう。

そもそも、なぜ海産物のサプライチェーンに関する情報の開示は進まないのでしょうか。
その背景には複雑なサプライチェーンの構造があります。


https://www.oxfamamerica.org/static/media/files/Supermarket_Responsibilities_for_Supply_Chains_Rights_report.pdf

エビの加工食品ひとつを例にとってみても、
養殖業者、加工業者(殻をむく、背ワタをとるなど)など
さまざまな業者が関わっていることから、
それぞれの状況を把握することはこれまで困難だとされてきました。

そのような中、海産物のトレーサビリティ向上に向けて注目されているのが、
仮想通貨の技術として知られているブロックチェーンです。

WWFでは同技術を活用した漁業情報トラッキングシステムの開発プロジェクトを実施。
将来的には消費者は店頭でスマートフォンをかざすだけで、
収穫された場所や時期、船舶名や収穫方法といった情報を得られるようになるとのことです。
https://www.wwf.org.nz/?15961/Blockchain-Transforming-Seafood-Supply-Chain-Traceability (WWF, 2018.8.31)

またフランスの小売大手のカルフールはすでに導入していた
畜産物向けのブロックチェーン技術を、
今後はサーモンなどの海産物にも拡大する、と発表。
https://www.undercurrentnews.com/2018/08/23/carrefour-looks-to-leroy-for-blockchain-salmon-program-for-france-china/ 

小売りまでのサプライチェーンに関し、透明性のある情報を消費者に伝えることは、
今や世界では企業の社会的な責任と見なされつつあります。

小売店に留まらず、レストランなどで提供される食材にもQRコードが添付される、
といったことも、近い将来あるかもしれません。

海外で持続可能な水産業に向けた関心が高まる中、
日本の企業も無関心なままでいることは大きなリスクにつながりかねません。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは
MSC・ASC認証を取得した海産物の使用が予定されていますが、
日本の企業には、こうした海外の動向を踏まえ、さらに先を見据えた対策が期待されます。

(リサーチャー 岡山奈央)

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