広がる水ATM インドで成功するBOP×CSRモデル

2017 / 10 / 2 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Fund clean water in India

途上国で展開する社会貢献プログラムを単発で終わらせず、
持続可能なモデルにしていくためには何が必要か。

今少しお手伝いしているプロジェクトのヒントになればと思い、
インドの社会起業Waterlife Indiaの話を聞いてきました。

企業からの寄付資金を元に浄水設備を設置し、
地域に安価に水を販売することで持続的な運営を実現する
CSR+BOPともいえるこのモデル。

地域社会に与えるインパクトは大きく、その複製可能な方法が注目され、
現在ではインド15州で4500の設備を運営するまでになっています。

ステップはこう。

きれいな水が供給されない貧困地域を特定

地方政府に土地利用、水の汲み上げ、電気の利用に関する協力を取り付ける

きれいな水の必要性を住民に教育し、利用者のプレ登録を募る

政府または企業の資金を元手に浄水設備を設置

利用者に対し容器1杯ごとに課金するモデルで安価に水を販売
(1割ほどの利用者には配送サービスも提供)

売上により運営・メンテナンス費用を賄い、スタッフには地域住民を教育して雇用

費用の一部は地域の健康・衛生教育活動にも充てられる

10年にわたって維持管理を約束

同団体は様々な企業とパートナーシップを結んでおり、
たとえばスズキの子会社 Maruti Suzukiはこの1年で4基を設置しました。
https://www.marutisuzuki.com/press-release-16-july-2016.aspx

こちらは独のBASFの映像です。

10層フィルターにより浄化された水の販売価格は20リットルで7ルピー。
市販の水は40ルピーということを考えると格安で、
紅茶いっぱい分の値段とほぼ同じです。

日本に住んでいる感覚では、これなら絶対に買う、となりますが、
それでも大切なのは住民への教育だと言います。

変化の鍵となる子どもと女性にターゲットを絞り、教育活動を展開。

さらにWaterlifeの場合、設置前に利用者のプレ登録を行い、
顧客基盤を作ってからスタートすることでリスクを減らすという
アプローチをとっています。

清算はすべてプリベイド式のカードで電子化されており、
細かな顧客ニーズの分析も可能です。

きれいな水が安定的に利用でき、病気にかからず
健康に生活を送ることができるようになるメリットは大きく、
世界銀行からビジネスモデルとインパクトについて分析した
レポートも出ています。

Waterlife: Improving Access to Safe Drinking Water in India
http://documents.worldbank.org/curated/en/586371495104964514/pdf/115133-WP-P152203-PUBLIC-17-5-2017-12-28-1-WaterlifeCaseApril.pdf

インドでは2014年から一定規模以上の企業に対し、
過去3年の平均純利益の2%を事前活動に寄付することを義務付ける法律ができています。
(現在は社会起業も対象に拡大)

参照:CSR Asia「インドの企業:CSRへ2%の支出義務

義務化により地域のニーズとかけ離れた活動が行われる、
汚職に利用される、などの懸念の声もあがっていますが、
Waterlife Indiaは社会の流れを機会としてうまく活用しながら、
地域の社会課題に根ざすニーズを着実に市場に育てるモデルにより活動を加速させています。

photo by Milaap.org

このエントリーをはてなブックマークに追加

Sustainability Frontline もっと学びたい方へ

この記事で取り上げたテーマについてより詳しく知りたいという方は下記よりご連絡ください。より詳しい内容理解 / 勉強会でのライトニングトーク / 社内セミナーでの話題提供など、一緒に学びを深める機会を作っていきたいと思います。

お名前
メールアドレス
企業名、団体名
詳しく知りたい内容など

プライバシーポリシーに同意する