炎上事例からどう学ぶ? ジェンダーと、多様性と、人権と

2017 / 9 / 5 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Burning
photo by Susanne Nilsson

ユニ・チャーム「ムーニーマン」やサントリー「頂」。
昨年はマクドナルド「怪盗ナゲッツ」に資生堂「インテグレート」。
企業CMの炎上が多発しています。

その多くは、ジェンダーを巡るもの。

メディアの立場からジェンダーと表現について考えようと、
9/9に朝日新聞ジャーナリスト学校主催で
ジェンダーとメディア ステレオタイプを超えて」が開催されます。

そこで「海外の状況から日本のメディアが学べること」をテーマに
お話する機会をいただき、改めて色々な事例を見ているのですが、
勉強すればするほど、感じることがあります。

それは、こうした個別のケースからの学び方。

人権研修やeラーニングなどで事例として紹介されることがありますが、
これはOK、これはNG、と表面的になぞるだけでは不十分で、
人々が何について不快に思ったのか、なぜ怒ったのかを
しっかりと掘り下げていくことがとても重要だと感じます。

多くの場合、その根っこは差別や尊厳の問題につながっていて、
そこで「人権」というキーワードにいきあたります。

児童労働や強制労働といった人権問題は、
わかりやすいですが遠くに感じてしまいます。

一方で身近な炎上事例は、近くて入りやすいです。

そうした事例で人権と言われてもすぐにはピンときにくいかもしれませんが、
仮に直接的・意図的ではなくても、間接的に差別を肯定する、
現状を固定化するようなメッセージとなっていることがあります。

だからこそ、炎上してしまった事例の背景をしっかりと理解することは
人権に対する一人ひとりの感度を高める上で有効です。

私のお勧めは、グループで問題点についてディスカッションすること。

複数でみることで、自分とは違う受け取り方に気づく機会となり、
他者に対する想像力が生まれます。
(あの人まったくアンテナが立っていない、ということも明らかになったり…)

さらに有効なのは、人や地域によって判断が分かれるものを取り上げて議論すること。

人権は明文化されているものもありますが、
社会の価値観の変化に伴い、範囲が広がっていくものでもあります。

たとえば、こんな事例はどうでしょうか。

「散らかった家の中をお母さん1人で片付けるCM」
「お父さんが簡単な家事をやり、失敗する様子を描くCM」

いずれも2018年以降、英国では広告表現の規定に違反して
NGとなる可能性があります。

英国は性差別的広告を禁止へ
http://webronza.asahi.com/business/articles/2017072700003.html

規制と聞いて反射的に表現の自由はどうなるの、、、と反応するのではなく、
その背景をしっかりと理解し、議論を繰り返すことで、
人権や多様性に対するリテラシーが高まり、
リスクの未然防止につながっていきます。

そしてそれは人権デュー・ディリジェンスを
有効に機能させるために重要なことでもあります。

よく人権教育は難しく、興味を持たれないという声を聞きますが、
私自身、こうしたセミナーでの経験も踏まえながら、面白く、
意識や行動の変化につながるプログラムを考えていけたらと思います。

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