これからのグッドデザインはRepairbilityとRecyclability

2017 / 7 / 21 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by Kamil Kaczor

EUで、これからの品質基準を考える上で注目したい採択がありました。

まだ決議(resolution)の段階で、法的拘束力はありませんが、
製品の長寿命化と、修理しやすさを要求する内容です。

Making consumer products more durable and easier to repair
http://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20170629IPR78633/making-consumer-products-more-durable-and-easier-to-repair

EUが何を求めているか。

・長寿命化のために、修理しやすさなどを品質基準に入れ込む
・1ヵ月以上修理にかかる場合、保証を拡張する
・リペア、中古品市場を拡大させるための政策
・独立した修理事業者に行く自由を認める
・安全上の理由を除き、バッテリーやLEDなどの重要部品は分解可能とする
・修理しやすさをラベルに表示する

根底にある考え方は、Repairbility=修理のしやすさ

サーキュラーエコノミーを実現する上でも、重要なコンセプトの一つです。

一部の人にはよく知られている、約1億人がボランティアとしてかかわる
iFixitというコミュニティがあります。

スマホから車まで、様々な製品の分解・修理情報が共有されていて、
製品が壊れて困ったときに、ここに行けば、
大抵のものの修理マニュアルや修理に必要なパーツを得ることができます。

先日創業者の方の話を聞く機会があったのですが、一部のメーカー、
たとえばHPは自社製品の修理しやすさのレビューをiFixitに依頼しているそうです。

たくさん売ることが前提となっている既存のビジネスモデルでは
メーカーにとっては新しい製品に買い替えてくれないと困るわけで、
また修理する方が新しく作るよりもコストがかかるという状況では、
「修理しやすさ」を製品に導入することは容易ではありません。

しかしそれが3DプリンターやICT・IoTの発達により、技術的にも
乗り越えられる環境が整ってきており、そうした動きが起き始めています。

A工場で製造 → B店で販売 → 各家庭で廃棄

という従来の一方通行型のサプライチェーンから、

製造は大きな拠点で一括して
販売は販売店やオンラインを通じて
修理・部品交換は販売店のほか、小規模な拠点を各地に設け、地域コミュニティとも連携
同時にそれらを回収の拠点とし、効率的な再利用・再生利用につなげる

という複雑系のサプライチェーンを構築していく動きに向けて、
HPは実際に検討を進めています。
またオランダのアムステルダム市は、IKEAと協力して郊外には大型店舗、
中心部には部品販売・修理拠点を設置するような街づくりに取り組んでいます。

EUの施策の背景には、77%が買い替えよりも修理して使う方がいい、
と消費者が望んでいるということもありますが、
多くの電子機器がアジアや米国で製造され輸入されている状況を変え、
域内に修理市場を作り出すことで雇用を発生させたいという思惑もあります。

企業にとっては両面あり、ネジで固定するよりも(=修理しやすい)
糊で貼り付けることで(=修理しにくい)
薄くしたり使う部品数を減らしたりできるメリットがあります。

一方、分解しやすければ、回収後の分解・分別・再利用・再生利用も容易になります。
(手間がかかりすぎるため捨てられている現状があります)

修理しやすさをビジネスに導入するには、メーカーは作って売ることが仕事、
売って儲ける、という既存モデルからの転換が必要です。
そしてシェアリングエコノミーの拡大に対応していくために、
転換せざるを得ない状況になっているとも思います。

修理のしやすさ(リペアビリティ)とリサイクルのしやすさ(リペアビリティ)。
グッドデザイン賞にも是非、取り入れてほしい基準です。

※先日、「サーキュラーエコノミー」に関する勉強会を行ったのですが、
「修理しやすさをどう導入するか」をテーマに続編をやったら面白いかなと思っています。
関心がある方がいれば、問い合わせフォームかFacebookからご連絡ください。

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