日本で、世界で、高まる「非正規雇用」への注目

2017 / 1 / 3 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Shaking hands
photo by Melissa Wiese

12月20日、政府から同一労働同一賃金ガイドラインの案が示されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

将来的に「非正規」という言葉をなくすことを目指し、
基本給や賞与他手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の4項目について、
問題になる例、ならない例を整理しています。

女性活躍や働き方改革の推進と共に
やっと本格的な議論がスタートした感がありますが、
実は「非正規雇用」は国際的にも注目が高まっているテーマです。

昨年11月、国際労働機関(ILO)から
「非正規雇用(non-standard forms of employment、NSFE)」
に関する報告書が発表されました。

Non-standard employment around the world: Understanding challenges, shaping prospects
http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/—dgreports/—dcomm/—publ/documents/publication/wcms_534326.pdf

実はこれ、非正規雇用をテーマとした初めての包括的な報告書になります。

背景にあるのは、非正規雇用の世界的な高まり。

非正規という働き方の形態は以前からあったものですが、
近年その割合が世界で増加しています。

背景には、国内の議論で出てくる雇用崩壊や規制緩和といった点に加え、
経済危機による若者の失業率の増加、
国際的な移民の増大、さらにはクラウドソーシングの発達など、
様々な要因があります。

ILOの報告書における「非正規」の4分類(報告書P8)
-一時雇用(季節労働や日雇いなど契約期間の定め)
-パートタイム(労働時間)
-直接雇用(派遣労働)
-偽装請負(個人事業主扱いなどの契約形態)

「非正規雇用」に対してどう対応するか。
CSRの文脈でも重要なテーマです。

たとえば組織の社会的責任に関するガイドラインISO26000を見てみると、
場当たり的な労働をできるだけ回避することや
すべての労働者に対するディーセントな(人間らしい働きがいのある)
労働の提供などを求めています。

一方で情報開示という観点からは、
GRIのガイドラインをみても非正規に関する項目はありません。
(一部G4-LA2、GRIスタンダードのDisclosure 401-2では
正社員にのみ提供している給付についての開示要請はあります)

ただ、増えることはあっても、減ることは考えにくいこのテーマ。
今後の議論の高まりとともに、何かしらの要請は出てくるものと考えられます。

どのような項目が考えられるかについては、参考までに、
ISFJ日本政策学生会議という学生による政策提案でのフォーラムで、
過去に「非正規労働CSR」を提唱した論文を紹介します。

そこでは非正規労働に対する取り組みを測る指標として
以下のような項目を挙げています。

非正規労働に関する
-基本情報(割合、男女比、平均年齢、平均勤続年数)
-待遇・福利厚生(平均時給、賞与、退職金、保険、等)
-企業内制度(組合加入割合、教育制度、正社員登用)

政府として、社会全体として、対応が求められる大きなテーマですが、
「雇用関係」の在り方が今後変化していくことは確実であり、
企業としても従来の「正規と非正規」(で差があって当然)という考え方ではなく、
労働者保護と競争力向上の両面を踏まえた上で、
「人的資源」についてどのような考えを持ち、施策と発信を行うのか、
議論を進めていくことが求められます。

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