オリンパス、アリさんマークの引越社の事例から考える

2016 / 3 / 4 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Téléphone ancien
photo by Frédéric BISSON

2月中旬、8年をかけて法廷闘争が行われていたオリンパスと
上司の不正を内部通報した社員の方との間に、
ついに和解が成立しました。

「内部通報で配転」和解 オリンパス、社員に解決金
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021802000266.html

上司が取引先から社員を引き抜こうとしていることを
コンプライアンス窓口に通報したところ、通報内容が上司に漏れ、
専門外の部署に不当に配置転換させられたとして裁判で争っていました。

和解では会社側が不当な人事があったことを認め、和解金1100万円を支払い、
社長メッセージで全社員に内容を通知するとしています。

内部通報者の保護が不十分な問題に対しては、現在
消費者庁が公益通報者の保護に関する検討会を開催し、
企業側が不当な対応をした場合の罰則規定も含めた議論が行われています。

適切に機能する内部通報者制度の整備は、人権保護に対する要請が高まるなか、
特に腐敗リスクの高い途上国で操業する多国籍企業にとっての重要テーマで、

・通報者が使いやすい制度をどう整備するか
・通報者の安全をどう担保するか
・通報内容の信頼性をどう高めるか

といった点が課題になっています。
たとえば鉱山会社のAnglo Americanでは、通報者にだけ番号が通知され、
その番号を入れると対応状況を確認できるシステムを導入しています。
BEST PRACTICES AND CHALLENGES FOR WHISTLEBLOWING SYSTEMS IN MULTINATIONAL COMPANIESより)

しかし実際にはこうした問題は途上国の話だけではなく、
足元の日本でも数多く起きています。

従業員が立ち上がり、会社の不当な行為に改善を求めている別の事例としては、
ネットで恫喝動画が200万回以上も再生されたことでも有名になった
アリさんマークの引越社の例があります。

これまで長年にわたって行われていた
長時間労働の強制や固定残業代制の悪用、
引越中の破損に対する従業員への弁償金請求などの問題が表面化。

現・元従業員の方たちが労働組合を結成して会社と闘う様子は
「ガイアの夜明け」でも放映されました。

私も番組を見ていましたが、
不当な圧力に屈せずに自らの権利を主張し、
闘う姿には心を打たれました。

従業員が泣き寝入りせずこうして声を上げることは、
会社にとってもよいことです。

労使間の一定の緊張関係はあった方がいいですし、
何よりも耳の痛いことがちゃんと上層部に伝わり
対処される風通しの良い社風は、
適切にガバナンスが機能するためにも必要不可欠だからです。

こうした声に真摯に向き合っていくことは、
会社にとっても長期的な利益につながっていくはずです。

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