2020年仕事の未来 世界で500万人分の職が失われる

2016 / 2 / 5 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

The Future Is Here
photo by Alisa Perne (Alisa26)

毎年1月末に行われる世界経済フォーラムにあわせて
様々な発表がありますが、今年、仕事の未来をテーマにした
興味深いレポートが出ました。

The Future of Jobs
Employment, Skills and Workforce Strategy for the Fourth Industrial Revolution
http://www.weforum.org/reports/the-future-of-jobs

世界的に関心を集めている「第4次産業革命」が
雇用やスキル、人材戦略に
どのような影響を与えるかについて分析が行われています。

第4次産業革命はここでは
人工知能や機械学習、ナノテクノロジー、ロボティクス、
3Dプリンティング、遺伝学、バイオテクノロジーなどを含む
広範な概念として扱われており、
雇用に対しても大きなインパクトを与えると予測されています。

・2015〜2020年の間で710万人分の職が失われる。その多くは事務・管理業務を担うルーチン系のホワイトカラー
・コンピューター・数学分野、建築・工学分野では新たに200万人分の雇用が創出される
・製造・生産分野も雇用に関して衰退が進むが、新しい技能獲得や生産性向上の潜在性がある
・今後重要視されるようになる仕事は、データ分析と
新しいビジネスモデルや顧客層に対応できる専門化した営業

産業やビジネスモデルに影響を及ぼす要因としては、

・すでに影響を実感できるもの:仕事の性質の変化・柔軟な仕事、
モバイルインターネットやクラウド技術、ビックデータ
・先3〜5年で影響が出てくるもの:人口知能、機械学習、ロボット化や自動運転

などが挙げられています。

その他にも興味深い指摘がなされているのですが、
私が気になったのは日本でよく耳にする文脈とのギャップです。

国内の雇用に関する話題では、
少子高齢化により労働力人口が不足するため女性や高齢者の活躍を、
といったことが盛んに喧伝されています。

労働条件の問題などもあり、実際に外食産業は人手不足にあえいでおり、
人材業界で働く知人に聞いても売り手市場で
企業は常に人材を求めているという話を聞きます。

実態がどうなっているかいうと、
過去20年で生産年齢人口は約890万人減少しましたが、
女性や高齢者の就労拡大により
就業者数の減少は約100万人と小幅にとどまっています。

しかし一貫して増加しているのは非正規雇用で、
すべての産業でその比率が拡大し、若年男性も含め
世帯の主たる稼ぎ手が非正規雇用者である割合も増えています。
(内閣府税制調査会「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」)

技術革新やビジネスモデル変革による、必要とされる労働力とスキルの変化。
それに伴う「技術的失業」。
国際的な非正規化の増加トレンド。
労働力人口の減少と高齢化。
給与ではなく意義や目的を重視する働く価値観の変化。

雇用や働き方の話は本来様々な要因が複雑に絡み合うテーマですが、
女性活躍やLGBTなど「ヒト」への注目が近年高まるなか、
十分な掘り下げがなく表面的に語られている印象があります。

企業はこうした労働に関する変化を
より大きな観点からメガトレンドして捉え、
そのうえで人財戦略や働きがい、多様な人材の能力発揮について
説明していくことが求められています。

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