IoTがもたらすサステナビリティの未来

2016 / 1 / 8 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

"Activate the world" (or: what "mobile" really means)
photo by Mike

IoT = Internet of Things
モノのインターネット化。

最近あちこちで耳にするようになったキーワードです。

物体(モノ)をインターネットに接続し
相互に通信・制御させることで、
モノ同士のダイナミックで自律したやりとりが可能になります。

IoTはライフスタイルやビジネスモデルに大きな
インパクトがもたらされると期待されていますが、
この動きはサステナビリティとも大きな関わりがあります。

ではどのような関係があるのでしょうか。

IoT関連の主要キーワードである
「インダストリアル・インターネット」と
「インダストリー4.0」
について調べてみました。

まずは「インダストリアル・インターネット(Industrial Internet)」。

GEが2012年に発表したコンセプトで
モノから生まれるデータを収集・分析、
活用することで新たな価値を生み出す、としています。

GEのアニュアルレポートをみると、
インダストリー・インターネットが顧客にとっての価値につながることが
事例とともに紹介されており、「1%の力」として
1%の燃費改善により航空業界で300億ドル、電力業界で660億ドル、
1%のシステム効率改善により鉄道業界で270億ドル、
ヘルスケア業界で630億ドルの
コスト削減につながるといいます。

ge
GE Annual Report 2014 P16-17

もう1つのコンセプトが「インダストリー4.0」。
ドイツが産官学で取り組む新しい製造業のコンセプトです。

国際競争力を高めるため、
地域ごとの産業クラスターをデジタル化・ネットワーク化し、
「省エネと資源の効率化」「生産の柔軟性とオーダーメイド化」
「低コスト化とスピード化」に取り組みます。

ドイツ科学エンジニアリングアカデミー(acatech)の
インダストリー4.0に対する見方は興味深いです。

・サステナブル経済の新たな可能性の幕開け
・需要分だけ製品が製造され、資源利用が最適化される
・生産ラインの機器が自動でスタンバイ状態になることで約12%の省エネになる
・機器のデジタル化が進み、不良品発生率が減少する
・シミュレーション技術が進み、試作品製作の時間と資源が短縮される

そのなかでも私が特に関心を持ったのが、
ドイツ製造業の地位をたしかなものにするために――インダストリー4.0の活用案
インダストリー4.0ワーキンググループ最終報告書)
」(原文ドイツ語)のP111にある
「所有/使用」の概念の変化に関する部分です。

今後、製造、組み立て、使用、リサイクルなどの情報は
すべて製品内に保存されるようになります。

また、製品は「使用の権利」として販売されることになります。
リースに近い扱いとなり、製品そのものの所有権、
さらには原材料の所有権は販売後も製造元が保有することになります。

するとどうなるかというと、
電子回路のレアアースなどの所有権が製造元にあることがわかり、
再利用がより適切にできるようになります。
使用状況が分析できると、回収された部品の状態がすぐにわかり、
再利用化が効率化されます。

これはある意味では、生産者が廃棄・リサイクル段階まで責任を負う
拡大生産者責任の考え方が部品レベルで徹底されるようになるということでもあります。

私もこれから理解を深めていく段階ですが、
こうしたインダストリー4.0とサステナビリティの関連性を
研究している科学者チームがポツダムにあるようなので、
ドイツ在住のメンバーと一緒に最新動向をウォッチしていきます。

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