栄養へのグローバルアクセス指数2016

2016 / 1 / 27 | 執筆者:Yurie Sato 佐藤百合枝

nutrition index
写真:Global Access to Nutrition Indexウェブサイト

世界では8億人が十分な食事をとれず、20億人が栄養不足の状態にありますが
60億人が太り過ぎで、肥満による経済損失は、医療費や生産性損失によって
世界のGDP総額の約2.8%にあたる2兆ドル(約12兆円)に上ります。(*1)

オランダのGlobal Access to Nutrition Foundation
栄養問題解決には企業が果たす役割が大きいとして
世界の22の食品・飲料メーカーを対象とし
肥満撲滅や栄養改善への取り組みをランキング化した
Global Access to Nutrition Index2016を発行しました。

Global Access to Nutrition Indexイニシアチブの投資家声明に署名している
投資家の総資産は3兆ドル(約355兆円)になります。

本指標では「ガバナンス、製品、アクセシビリティー(提供する健康的な食品が入手しやすいか)、
マーケティング、ライフスタイル(従業員と消費者の健康)、
ラベリング(充実した情報提供によって消費者の商品選択に影響を与える)、
エンゲージメント」の7つの視点から
栄養価の改善や肥満撲滅につながる
「コミットメント、取り組み、情報の開示状況」を評価します。

トップ3には、栄養分野の社会課題解決を事業活動のコアに位置付けている
ユニリーバ、ネスレ、ダノン、
日本企業からは、ガーナでの取り組みが評価された味の素が15位となっています。

トップ3の主な評価ポイントは
ユニリーバ:栄養分野のリスク・機会分析を行うための
ガバナンスシステムが確立されている。
独自の栄養素分析・記録システムを世界中の全ブランドで使用し
外部・内部専門家が定期的にレビューを行っている。
ネスレ:最高ガバナンス機関が承認した明確な戦略をもとに
「健康的な食品へのアクセス向上」「商品の成分見直し」「責任あるマーケティング
に取り組んでいる。
ダノン:手ごろな価格で提供できる健康的な食品の開発と
積極的なステークホルダーエンゲージメントを行っている。

日本企業で唯一対象になっている味の素は
途上国での活動が高評価を受け、
出産適齢期の女性や産後1000日後の子どもに焦点をあて
大学や政府、NPOとともに行っている「ガーナ栄養改善プロジェクト」が
栄養不足解消の先進事例として取り上げられています。

特に、現地での生産や現地に適した流通ネットワークをつくると同時に
消費者への栄養教育を行うなど
包括的な取り組みを行っている点が評価されました。

味の素の栄養関連取り組み全体への改善案としては、
・会社としての”健康な食品”の定義が不明確
・責任あるマーケティングと栄養表示へのコミットメントが不十分
・ステークホルダーエンゲージメントの事例は公開されているが
フィードバックの反映度やステークホルダーエンゲージメントの構造が不明瞭
・ラベリング、マーケティング、流通など主要分野の戦略における経営陣の意見が見えない
などが挙げられています。

財団の代表は、「消費者の健康意識が世界中で向上している中で、
栄養課題への取り組みは企業責任を果たすだけでなくビジネスチャンスでもある」と述べています。

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※1: 世界人口の約3割、過体重か肥満 報告書 http://www.afpbb.com/articles/-/3032306

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